収入印紙の購入方法や使用するタイミングによって異なる勘定科目とは
収入印紙の勘定科目は、購入してすぐ使用するのか保管するのかで仕訳方法が異なります。
基本的に収入印紙に消費税はかかりませんが、買い方によっては消費税がかかります。
今回は、収入印紙の勘定科目をテーマに解説していきたいと思います。
収入印紙とは
そもそも収入印紙とは、印紙税を納めたり手数料を支払ったりするための証票で、領収書や契約書などの「課税文書」に記載されている購入金額や契約金額に応じて定められた金額の収入印紙が必要です。
印紙税が課税される課税文書に必要額の収入印紙を貼り付け、割印をすることで納税したとみなされます。
収入印紙による徴収対象には以下の項目が含まれます。
・罰金
・科料
・訴訟費用
・印紙税
・登録税
使用料や手数料の支払い手段として用いられる収入印紙は「印紙税」とも呼ばれており、印紙税法によって規定された課税文書に印紙税が課税されます。
<参考>国税庁:印紙税の手引
収入印紙の勘定科目
収入印紙の勘定科目は、「租税公課」か「貯蔵品」として仕訳されます。
租税公課
収入印紙を購入してからすぐ課税文書に貼り付ける場合、勘定科目は「租税公課」とします。
使用目的がなんであれ、収入印紙を貼り付けて使用したならば、すべて租税公課とすることができます。
貯蔵品
収入印紙が必要なときにすぐ使えるようまとめ買いすることもあるでしょう。
すぐに使用するなら「租税公課」として仕訳しますが、すぐに使用しないなら「貯蔵品」として仕訳します。
会計処理のタイミングは、購入時でも決算時でもどちらでも可能です。
ポイントは、購入した収入印紙の中で使用したものと保管してあるものの金額や枚数を正確に管理しておくことです。
“租税公課とは「租税」と「公課」を合わせた勘定科目のことで、簡単に言うと、必要経費として認められている、あるいは経費で落とせる税金や公的な負担金のことを指します。”
<引用元>経営ハッカー:租税公課とは?|どのサイトよりも詳しくてやさしい税の話
収入印紙を必要とする課税文書
印紙税が課税されるのは、印紙税法に規定されている20種類の文書のうち非課税文書ではない以下のような文書が対象となります。
・土地の賃借権の設定あるいは譲渡契約書
・金銭消費貸借契約書
・請負に関する契約書
・約束手形
・為替手形
・株券
・出資証券
・社債券
・定款
・継続的取引に必要な契約書
・金銭や有価証券の受取書
消費税がかかる場合もある
収入印紙を郵便局やコンビニエンスストアなどで正規に購入すれば消費税はかかりませんが、金券ショップなどで定価よりも安く収入印紙を購入する場合には消費税が加算されます。
会計処理を行う際は、消費税の有無にも注意が必要です。
会計処理の仕訳例
200円の収入印紙を20枚購入した場合の仕訳例を、「収入印紙を購入してすぐに使用した場合」と「まとめ買いをして保管した場合」でご紹介します。。
郵便局やコンビニエンスストアなどで購入した収入印紙をすぐに使用した場合の仕訳は以下のとおりです。
郵便局等で購入した収入印紙
借方の勘定科目:租税公課
借方の金額:4,000円
貸方の勘定科目:現金
貸方の金額:4,000円
金券ショップで購入した1枚180円(消費税8%)の収入印紙
収入印紙の仕訳
借方の勘定科目:租税公課
借方の金額:3,600円
貸方の勘定科目:現金
貸方の金額:3,888円
消費税の仕訳
借方の勘定科目:仮払消費税:288円
200円の収入印紙を20枚購入し、すぐに使用せず保管した場合の仕訳例は以下のとおりです。
まとめて購入し「貯蔵品」として計上する
借方の勘定科目:貯蔵品
借方の金額:4,000円
貸方の勘定科目:現金
貸方の金額:4,000円
200円の印紙を3枚使用した場合
借方の勘定科目:租税公課
借方の金額:600円
貸方の勘定科目:貯蔵品
貸方の金額:600円
180円の印紙を3枚使用した場合
借方の勘定科目:租税公課
借方の金額:540円
貸方の勘定科目:貯蔵品
貸方の金額:540円
決算時に貯蔵品として計上することもできる
購入時は租税公課としてまとめて計上し、決算時に残っている収入印紙の金額を貯蔵品として計上しなおすことができます。
200円の収入印紙を40枚購入し、決算時に10枚残っていた場合の仕訳は以下のようになります。
購入時は「租税公課」で計上
借方の勘定科目:租税公課
借方の金額:8,000円
貸方の勘定科目:現金
貸方の金額:8,000円
決算時に残っていた10枚を「貯蔵品」に切り替える
借方の勘定科目:貯蔵品
借方の金額:2,000円
貸方の勘定科目:租税公課
貸方の金額:2,000円
まとめ
収入印紙を購入してすぐ使用するなら「租税公課」として計上し、まとめ買いをして保管しておく場合は「貯蔵品」として計上します。
金券ショップ等で定価以下の収入印紙を購入する場合は、消費税の扱いに注意して会計処理を行いましょう。