通勤時間で学ぶ会計知識|一般会計と特別会計は何がどう違うの?
一般会計と特別会計について学ぼう
皆さんは「一般会計」と「特別会計」という言葉の意味や違いについてご存知でしょうか。おそらく、一般会計も特別会計も「聞いたことはあるが詳しいことはよくわからない」といった回答が多いのではないかと思われます。この一般会計も特別会計という言葉も、実は企業の会計で使用される言葉ではなく、国や自治体の会計において用いられている言葉なのですね。
ではそれらは具体的にどのような会計のことであり、その二つはどのような点が異なっているのか等について説明することに致します。
[目次]
■1)「一般会計」とは何?
■2)「特別会計」とは何?
■3)「一般会計」と「特別会計」は何がどう違うの?
■4)特別会計は何に使われているのか?
■5)国民として両方に関心を払うことが大切
■1)「一般会計」とは何?
では「一般会計」からご紹介することにしましょう。
一般会計とは文字通り一般的な会計のことで、国や地方自治体における収入、即ち歳入と支出、歳出を1年間(4月1日から3月31日まで)で区切って、経理をすることを言います。また後述する「特別会計」が生まれたこともあり、特別会計以外の全ての会計を指す言葉と言うことも出来ます。ちなみに企業が行う会計は一般会計とは言わず、企業会計という言い方をしますよね。
■2)「特別会計」とは何?
次に「特別会計」とは何かですが、この特別会計も国や地方自治体の会計制度の一つですが、一般会計で経理処理されることが原則としながらも、特別な支出と特別な収入において一般会計と分けて経理処理が行われる場合のことを言います。
その特別な支出や収入とは何かということですが、国や自治体の行政事業は実に多岐に渡り、一つにまとめてしまうとかえってその事業の計数評価、即ち費用対効果や適正な事業運営がなされているか等わからなくなってしまう場合があります。
例えば)
身近な例で言えば、水道事業などそうです。
地方自治体の各水道局は水道料金収入で運営が賄われていますが、これらがもし全て税収として合算されてしまったら、水道を提供するためにどのくらいのコストが必要なのか、現在の水道料金の負担は適性なのか等がわかりにくくなってしまいます。そこでそうした特定の事業等は一般会計と切り離して、その事業毎に会計を特別に行いましょうという考え方の元に生まれたのが特別会計なのです。
では特別会計にはどのようなものがあるかということですが、先ほどご紹介した水道事業等、このようなものがあります。
■3)「一般会計」と「特別会計」は何がどう違うの?
いよいよ本題である「一般会計と特別会計」の違いについてです。
まずは既にご紹介した通り、会計の対象となる事業区分が異なることが挙げられます。保険に関する事業や水道に関する事業などは、一般会計ではなく特別会計となっている訳です。
次に、そうした対象区分以外、つまり経理的な手続きや処理において何か違いがあるかということですが、実は一般会計と特別会計に違いはありません。つまり例外的な違いがあることはありますが、それはあくまで法律で定めることが出来た場合にのみ、異なる処理をすることが「可能」となっています。よって「違いがある」というより、特別に法律を作って「違う処理を行うことが「出来る」という理解が正しいと言えます。
では、そうした法律で定めた手続きや処理の違いにはどのようなものがあるかと申します。
例えば)
・「歳入歳出規定」
一般会計は歳入歳出、即ち収入と支出の範囲は限定されません。対して特別会計は、お判り頂いたとおり事業等が特定されることから必然的に歳入と歳出の範囲が限定されています。つまり特別会計は勝手に収入や支出を計上出来ない訳ですね。
・「決算剰余の処理」
会計処理をした結果、「剰余金」(即ち歳入から歳出を差し引いてお金が)余った場合…
以上の例のような限定的な項目に限られており、基本的な経費の処理方法は同じと考えて良いと言えます。
■4)特別会計は何に使われているのか?
国の特別会計の使い道としては、多岐にわたりますが、平成28年度の純計額である201.5兆円のうち92.2兆円が国債償還費に充てられています。 その他の特別会計としては、年金、労働保険、財政投融資、エネルギー対策、東日本大震災の復興などに使われています。 なお、国の特別会計については、以下の3種類のみが財政法によって認められています。
1:事業特別会計
特定の事業を行う場合に設置される会計で、公共事業や保険事業、融資事業などがこれに該当します。2:資金特別会計
外国為替資金や財政投融資などの特別会計がこれに該当します。3:区分経理特別会計
交付税や国債整理基金、エネルギー対策などがこれに該当します。■5)国民として両方に関心を払うことが大切
一般会計と特別会計のそれぞれの意味や違いについて、ご理解頂けたでしょうか。大切なことは、意味や違いを知るだけではなく、私達の血税がどのように使われているかを知ることが出来るものでもありますから、その点に関心を払い、注視し続けることだと言えます。