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2015年04月09日(木)

ヘッジ会計・ヘッジ対象・ヘッジ手段、これっていったい何の役に立つの?

経営ハッカー編集部
ヘッジ会計・ヘッジ対象・ヘッジ手段、これっていったい何の役に立つの?

 

ヘッジ会計の活用法とは?

ヘッジ会計 2001年3月期から導入された「ヘッジ会計」ですが、初めて聞いた人にはいったい何のことなのかほとんどわからないシロモノでもあります。ここではヘッジ会計とそれにまつわる諸概念(対象、手段)の解説を通して、この会計方法への理解を得るとともに、その活用法について考えたいと思います。

1)「ヘッジ会計」とは何か

まず「ヘッジ」という意味について考えましょう。これは「損失を回避する」という意味だと思ってください。そのうえでそれぞれの概念を読み直すと損失を回避するための「会計」「対象」「手段」となります。 「ヘッジ手段」には様々なものがありますが、ここではわかりやすくするために「先物取引」に限定します。また「ヘッジ会計」の処理には2種類ありますが、これも同じ理由で原則的とされる「繰延ヘッジ」に限定して解説します。

「先物取引」とは何か

まず「先物取引」についてですが、例えば大豆1トンを4.8万円で6か月後に買うという約束をするような取引を言います。

例えば、とある企業が6か月後に大量の大豆を使用する予定があるので、現時点での大豆の現物価格4.8万円で予算を立てたとします。この価格で購入できれば利益が十分に出るのですが、もし大幅に値段が上がると採算が取れない可能性があります。そこで企業は値下がりによる利益拡大という可能性を捨てて、より確実に採算が取れる方法を採ることにします。それが「ヘッジ取引」です。

「先物取引」を説明すると、例えば、1トン4.8万円の大豆を1000トン、6か月後に購入することをいいます。例えば、この「先物取引」後6か月後大豆の値段が1トン5万円に値上がりしたとします。この時、現物価格と先物価格は連動するという前提から、大豆の先物価格が5.1万円に値上がりします。このタイミングで、企業が購入しておいた大豆を売却すれば(5.1万円-4.8万円)×1000トン=300万円の利益が出ます。

このお金を使って現物の大豆を1000トン購入すると、5万円×1000トン-300万円=4700万円の仕入れ値がかかります。6か月前の予算では4.8万円×1000トン=4800万円の仕入れ値を予想していたので、結果的に100万円安く仕入れられたことになりました。

この時、大豆を購入するという取引自体を「ヘッジ対象」、それに対して損失を回避するために購入した先物大豆の取引が「ヘッジ手段」と呼ばれます。損失を回避されるべき対象と、損失を回避するための手段、というわけです。 そしてこの取引の一連の流れを財務諸表に記録する方法が「ヘッジ会計」なのです。

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2)「ヘッジ会計」って何の意味があるの?

先ほどの例の場合、「ヘッジ会計」を使わなければ会計処理上では、まず「先物取引」において300万円の利益を上げていることになります。そしてそのあと、「先物取引」とは無縁のところで、仕入れ値が100万円低減できた事業についての計上が行われます。

そのため、「ヘッジ手段」によって損失を回避し、あまつさえ利益も出していたという事実が反映されません。これを「ヘッジ会計」「繰延ヘッジ」という処理の仕方をすれば、「先物取引」で生じた300万円の利益を、大豆事業の計上に合わせて計上するという方法を採ることができます。こうすることによって株主や証券会社、投資家から見てもヘッジ手段の有無が見て取れるうえ、事業主からしても経営状況がより正確に理解できるようになるのです。

この「ヘッジ取引(ヘッジ手段とヘッジ対象)」の見極めの精度を上げていくことで、価格変動に左右されない商売ができるようになるのです。

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3)「ヘッジ会計」を使いこなす

しかし、この「ヘッジ取引」「まぐれ」であってはいけません。まぐれによってヘッジが成功してもそれは「ヘッジ取引」とは認められないのです。「ヘッジ取引」の有効性の判定は監査業者によってなされます。判定は事前テストと事後テストの2回にわたって行われます。

事前テストでは以下の内容を確認します。

・ヘッジ対象のリスクとヘッジ手段の明確化 ・ヘッジの有効性の評価方法を「文書で」明示 ・ヘッジ手段の有効性を事前に予測 後付けで「ヘッジ取引だった」ということは出来ないのです。

事後テストでは、以下の内容を確認します。

・ヘッジ取引時以降も継続的な高い有効性が保たれているかの確認 ・ヘッジ買い支持型の時価又はキャッシュフロー変動の比率分析等を使って有効性を評価 ・変動費率が80~125%の範囲内であればヘッジ対象と手段との間に「確かに関係があった」と認められます ※決算日には有効性判定を行い、最低6か月に1度は実施のこと

これらを満たして初めて、「ヘッジ会計」を適用できるのです。

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まとめ|勝ちにいくのではなく、負けない戦い方をする

まとめ いかがでしたでしょうか。「ヘッジ取引」をうまく使いこなせば、かなり強力な武器になることが分かったのと同時に、「ヘッジ取引」を利用するにはかなりの精度を求められることもわかったのではないでしょうか。中国の思想家で戦略家の孫子は「兵法」の中で「勝つことよりも負けないことが大事だ」と言いました。「ヘッジ会計」やそれにまつわる「ヘッジ取引」にはその孫子の思想と通じるものがあると思います。「負けないための戦略」、それがヘッジという概念なのです。

本業で勝つためにも、バックオフィス業務の作業効率を効率化し、事業拡大、事業成功に導いていくことも必要です。その為にもクラウド会計ソフトの導入を検討してみてください。「負けない為の武器」はここにあります!

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