【一人経理必見】法人決算の際の税理士とのやりとりで押さえておきたい5つのポイント
一人経理ってめちゃくちゃ大変・・・
一人経理の皆さん、こんにちは。 3月決算の法人の方は、今が一番忙しい時期ではないでしょうか。 何からやったらいいのか?税理士さんとはどんな関係を作るといいのか? 今回は、一人経理の方が押さえておきたいポイントをまとめてみました。 [sc:houjinkesai_header_728_90] [目次] 1)一人経理の決算スケジュールと手順をおさらいしよう 2)「申告書の作成は税理士さんにお任せ」という人こそ気をつけたい5つのポイント 3)まとめ
1)一人経理の決算スケジュールと手順をおさらいしよう
法人の場合は、原則決算日から2ヶ月以内に申告、納税を行なう必要がありますが、法人税、住民税、事業税の確定申告期限は届け出によって延長することができます。 〈参考〉法人の確定申告期限は延長できる? 手続き方法と2つの注意点まとめ
ただ、納税の期限は延期されませんので、忘れずに見込み納付を行ないましょう。 見込み納付額が確定額より少なくなってしまうと、不足分については利子税が発生します。 多く支払った場合は、更生の手続きをすることで還付を受けることができますので、迷ったら少しだけ多めに納税しておくのがおすすめです。 〈参考〉損金不算入!?交際費など無申告や過少申告したらどうなるの?
一人経理さんの場合、申告、手続き関係は税理士さんにおまかせ!というケースも多いかもしれません。とはいえ、通常業務に加えての決算関連業務はかなりの負担になりますよね。 そこで一つアドバイスをすると、まずは手を動かしてみるのがオススメです。手を動かすことで、心理的な余裕が生まれて視野を広く持つことが可能になります。
では、数ある決算業務の中でも、確実に経理担当者がやらなくてはいけないことを4つピックアップしたので、ここから始めていきましょう。
1. 預金/借入金残高の確定(決算日を越えたらすぐ)
期末時点の残高証明書を取り寄せて申告書に添付するのが確実です。料金は銀行によって異なりますが、324円〜864円程度のことが多いようです。 有料サービスの場合、事前に申し込みをしておくと決算後に郵送してもらうことも可能です。 ネット専業銀行の一部では、自分でPDFをダウンロードして無料で発行できますので、この機会にネット専業銀行の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
2. 棚卸(決算日を越えたらすぐ)
小売業や卸売業はもちろんですが、在庫を持たない事業を営んでいても棚卸が必要なケースがあります。 身近なところでは切手や、販促用のノベルティなども対象となります。期中にまとめ買いしたものがないか、確認してみましょう。 ただし、通常の年に比べて特に増えていない消耗品などについては、継続して同じ処理をすることを要件として、棚卸を省略することもできます。 〈参考〉消耗品費等(法人税法基本通達):国税庁
3. 売掛金、買掛金の確定(決算日以降最初の決済期日後に)
月末締め、翌月末払いの場合は、入金や支払いがひと通り終わるタイミングまで待ってから確認していきます。なぜなら、金額にズレがあった時に取引先との認識合わせがしやすいためです。 締め日から決済日まで2ヶ月以上空いてしまう取引先については、必要に応じてメールなどで適宜確認を行いましょう。また、「売上代金を前受した」「仕入代金を先払いしている」などのいわゆる「期ずれ」がある場合も、実態に合わせた修正が必要です。 売掛金、買掛金の残高がマイナスになっている取引先はありませんか? 記帳の誤りでなければ、期ずれを起こしている可能性があります。 売掛金のマイナス残高は前受金、買掛金のマイナス残高は前渡金など、適切な勘定科目に振り替えておきましょう。
4. 未払金、未払費用などの確定(税理士さんにデータを渡す前ギリギリまで)
たまたま発生した支払いや、不定期な支出など、決算の忙しさに紛れて見落としてしまうことがあります。 予想外の請求書が届くことに備えて、未払金、未払費用の確定はできる限りスケジュールの後ろの方に行なうのがおすすめです。 さらに、注意が必要なのは、スポット費用だけではありません。 毎月発生する電気代や水道代など、支払った当月の支出として計上していませんか? 期中の処理としては問題はないのですが、決算のタイミングでは発生主義での記帳が必要になりますので、忘れずに当期の経費に含めましょう。2)「申告書の作成は税理士さんにお任せ」という人こそ気をつけたい5つのポイント
決算データを渡すまでが自分のお仕事、そこから先は税理士さんのお仕事、と思っていませんか? 確かに税理士さんはプロですが、会社の数字、実態に一番詳しいのはあなたです。 税理士さんとのやり取りで気をつけたいポイントをまとめたので、ご参考にしてください。
1. どう処理したいのかはっきり伝える
複数の処理方法が選択できるケースでは、全て税理士さん任せにせずに、きちんと意思表示できるようにしましょう。その処理が可能かどうかは税理士さんに判断してもらえばOKです。
2. 税理士さんより自分がよくわかっているポイントを意識する
誤解のある言い方かもしれませんが、「間違っているかもしれない」という気持ちで決算書をチェックしましょう。 複数人での作業では、情報共有漏れによる間違いのリスクが高まります。決算データが確定したら、「伝え忘れや、反映されていない事象がないか」を念頭に、補助残高などを中心に、全項目を確認していきます。
3. 情報共有は効率的に行う
請求書や通帳コピーなどをメール、FAXで送っているという方も多いと思います。誤送信や、FAXを誤って破棄、どのメールにデータが添付されているのか探すのが大変・・・などなど、忙しい決算時期には避けたい事態ですね。クラウドサービスなどを活用して、双方で同じデータにアクセスできるように工夫すると、データの更新があった時にも簡単にアップデートが可能です。無料でも高品質なサービスも増えてきましたので、使いやすいものを選んで、クラウドでのデータ共有にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
4. わからない時は、ずばり聞いてしまう
決算整理仕訳を見ていると、「どうしてこんな処理が必要なんだろう?」と思うことがありませんか?わからない時は、遠慮せずどんどん質問しましょう。会計ソフトによっては、帳簿に表示されないコメントをつける機能もありますので、教えてもらった内容はコメントとして追記すると、勉強にもなっておすすめです。
5. 何事も早めに相談する
国内の法人の約20%が3月決算と言われています。 あなたの会社の決算期に、税理士さんは、他にも決算業務を抱えて大忙しの可能性が高いです。 スケジュールについて、自分一人では解決できなさそうな問題についてなどなど、できるだけ早めに相談しましょう。 〈参考〉法人数:国税庁3)まとめ
いかがでしたか?一人経理は大変なことも多いですが、決算業務にも主体的に関わっていくことができるやりがいのあるポジションです。 できることから始める、周囲と密にコミュニケーションすることを心がけて、元気に決算を乗り切りましょう!
Text=小林 奈津子 [sc:houjinkesai_header_728_90]