法人税の節税方法としては、損金の増額が有名です。損金を増やすことは無駄な出費を増やすことではありません。今は損金になっていないものを損金扱いできるように工夫する、いずれ必要なものを前倒しで支払いをするというように出費自体を増やすわけではありません。今回は法人税の節税方法について説明していきます。
1)基本的な節税方法
法人税の節税方法の前に法人税について説明します。法人税の計算方法を理解することは節税を行うには大切です。
1. 法人税の計算方法
法人税は以下の式で求めます。
法人税=課税所得×法人税率
会計上では「利益=収益ー費用」で計算されますが、税法上では「所得=益金ー損金」で計算されます。しかし、全く別の書類が必要というわけではなく決算書上の利益をもとに法人税法による申告調整が行われ所得になります。この所得に法人税率がかけられ納税額が決まります。
よって所得が低くなれば法人税は安くなるということです。所得を低くする方法は主に益金を減らす、あるいは損金を増やすことにあります。
2. 法人税率が変わるライン
また、法人税は課税所得金額と資本金の額により法人税率が変わります。法人税率が変わるラインを知っておくと、そのラインをギリギリ超えた場合に対処できます。
中小企業の場合、課税所得が800万円が基本的なラインです。少し超えてしまうというような場合は益金や損金の見直しにより800万円以下にできるかもしれません。800万円以下にすることで大幅な節税となります。さらに資本金が1億円以下であることも条件です。
2)益金を減らす方法
1. 仕入割戻を損金とする
・雑収入で仕訳をきらない
益金を減らす方法の基本として、仕入時の割引の扱い方があります。仕入時に大量仕入することにより割引を受けた場合の処理方法です。仕入れた際に割引をしてもらった時は、その分の金額を「雑収入」として仕訳をする場合が多くあります。しかし雑収入にすると益金が増えることとなってしまいます。
・資産の減額として扱う
そこで雑収入ではなく、「棚卸資産」の減額として処理をします。つまり仕入の減額として扱うということです。会計処理の手間はありますが、益金を減らすという意味では有効な手段です。
3)損金を増やす方法
1. 未払金・未払費用の見直し
未払金や未払費用は損金として扱うことができます。これは期末に損金をもう少し増やしたい場合に有効な手段です。例えば、社内教育のための資料を必ず購入する予定がある場合に期中に買ってしまうという方法です。ここで注意しなければいけないことは無駄遣いとなることです。ここで急いで購入するものを決定したことで、後から他のものも購入せざるを得ないとなっては意味が節約になりません。また、従業員のための慰労会のタイミングを期末にすることで損金の増加が望めます。
2. 固定資産の見直し
固定資産は金額が必然的に大きいものとなります。固定資産は通常、耐用年数により毎年減価償却費として費用計上されていきます。例えば、固定資産1000万円のものを耐用年数10年で償却すると、1年で費用となる償却費は100万円です。一方で耐用年数が5年の場合は1年で費用となる償却費は200万円です。極端な例ですが、償却年数を減らすことで損金の額は大きくなります。
4)まとめ
いかがでしたでしょうか。法人税を節約する方法は大きく分けて、「益金を減らす」あるいは「損金を増やす」という方法があります。当期のみ益金が上がり過ぎて、法人税が上がってしまうのを防ぎたいのか、毎年法人税を出来るだけ減らしたいのかでどの方法で節約するかが変わります。当期のみ有効な手段を選び、次期に困らないようにしましょう。