法人事業税とは?法人税や法人住民税との違いなどをわかりやすく解説
法人が治めるべき税金といえば法人税や法人事業税、法人住民税などがまず筆頭にあげられることが多いものです。
今回は、これら法人税の中から「法人事業税」をピックアップして解説していきます。
法人税等とは
「法人税等」とは、法人税、法人事業税、法人住民税の総称です。
同じ法人税でも法人税は「国税」で、法人事業税と法人住民税は「地方税」となります。
国税と地方税では納付先こそ国と地方で異なるものの、どちらも法人税法で法人に定められた納税の義務です。
法人税等の納税期限はそれぞれの法人の事業年度によって異なっており、事業年度が終了した翌日から2ヶ月以内に納税しなければ延滞税がかかってしまいます。
法人事業税とは
法人事業税とは法人の所得に課税される税金のひとつで、法人事務所や事業所がある都道府県に納付します。
法人事業税の税収は、道路整備や消防警察などの行政サービスなど、公共のサービスや施設のために使われます。
法人事業税は、収益事業を行う公益法人や公益法人ではなくても公益事業を行なっているとみなされる法人に課される税金です。
法人事業税の特徴は、税金であるにもかかわらず経費として計上できることです。
つまり、所得が赤字の場合は法人事業税は非課税となります。
法人事業税の計算方法
法人事業税の計算式は以下のとおりです。
所得×法人事業税率=法人事業税額
税率は都道府県ごとに定められており、法人の種類や課税所得、事業開始年度によって異なります。
東京都の場合
平成29年(2016年)4月1日から令和元年(2019年)9月30日の間に事業年度が開始される東京都の普通法人の法人事業税率は次のとおりです。
課税所得が400万円以下の法人:3.4%
課税所得400万円超800万円以下の法人:5.1%
課税所得800万円超の法人:6.7%
なお、平成31年(2019年)10月1日からは以下の税率になります。
課税所得が400万円以下の法人:3.5%
課税所得400万円超800万円以下の法人:5.3%
課税所得800万円超の法人:7.0%
“平成 31 年度税制改正における地方税法等の改正により、平成 31(2019)年 10 月 1 日以後 に開始する事業年度の法人事業税の税率の改正が行われました。”
<引用元>東京都主税局:平成 31(2019)年 10 月 1 日以後に開始する事業年度に 係る法人事業税の税率について
法人税との違い
法人事業税は地方税である一方、法人税は所得にかかる国税で、納税者が税額を計算してから申告・納税します。
法人事業税は公益法人でない法人にも課税されますが、法人税は公益法人等には課税されません。
法人税の計算式は以下のとおりです。
課税所得×法人税率−控除額=法人税額
法人住民税とは
法人住民税は、法人の事務所や事業所がある自治体に納税する地方税で、「市町村民税」と「都道府県税」の2種類があります。
考え方としては個人が納税する住民税とまったく同じで、各自治体によって税率が異なる「法人税割」と資本金や従業員数などに応じて計算される「均等割」をあわせた金額が納税額となります。
法人事業税とは異なり、赤字で法人税額が0円であったとしても納税義務が生じます。
法人住民税の計算式は以下のとおりです。
法人税割+均等割=法人住民税額
法人が納税する税金の種類
法人税、法人事業税、法人住民税の「法人税等」だけでなく、その他にも法人が納めるべき税金には以下のようなものがあります。
国税
消費税
印紙税
源泉所得税
地方税
固定資産税
償却資産税
都市計画税
法人事業税を納税する法人を対象とした「地方法人特別税」は、令和元年(2019年)10月1日以降に開始する事業年度からは廃止され、法人事業税の税率に復元される予定でしたが、税制改正によって調整が加わり、「特別法人事業税」が創設されることになりました。
<参考>国税庁:第1編 法人税法等に関する改正
“地域間の財政力格差の拡大、経済社会構造の変化等を踏まえ、県内総生産の分布状況と比較して 大都市に税収が集中する構造的な課題に対処し、都市と地方が支え合い、共に持続可能な形で発展するため、 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税を創設。”
<引用元>総務省:都道府県税関係
まとめ
法人事業税は「法人税等」として法人税と法人住民税とセットで語られることが多い税金です。
同じ法人税というくくりの中でもそれぞれ特徴や計算方法、納付先などが異なるので、税金の違いをしっかりと認識しておくことが重要です。