決算書の見方わかりますか?知っておきたい損益計算書の基礎
情報としての決算書
昔から「情報を制するものは世界を制す」と言われます。ほとんどの家庭にインターネットが普及し、様々な情報を取得することが容易になり、携帯電話・スマートフォンも一人一台持つのが当たり前となりました。
今や世の中は情報であふれています。現代に生きる私たちは、このあふれかえった情報の中から必要なものを抜き出し、その情報に自分なりの判断を加えて行動していかなければなりません。
たとえば、ファッションに興味を持っている人がいたとします。しかし、いくらファッションに興味があるとはいえ、全てのファッション誌をチェックすることはできません。そのため、いくつかの雑誌を選んで購入します(情報の取捨)。購入した雑誌に載っている洋服やコーディネートの中から、自分に似合いそうなものを見つけて判断し、購入するのです。
このような情報の利用方法は経営においても同様で、たくさんの情報の中から自分に必要なものを抜き出し、そこに自分なりの判断を加えて経営に生かしていく必要があります。もちろん、必要な情報か否かは人によって異なるため、一律に有用な情報とそれ以外の情報を分けることはできません。しかし、現代社会においては、この情報の見極めが非常に重要となってきます。
会社経営に有用な情報は様々なものがあり、必要となる情報も千差万別です。しかし、唯一これだけは、どの会社でも有用だと言い切れる情報があります。それが「決算書」です。
1)決算書とは
決算書はその会社の財務状況や業績を表しており、売上高や仕入高はもちろん、社員の給料や事務所の家賃、借入金や手形の残高、保有する備品(固定資産)の残高等、情報が詰まっている「宝の山」です。しかし、これらの情報は、利用しようという気が無ければただの数字の羅列になってしまいます。
2)決算書の利用方法
決算書の情報は、株式市場で株式を売買するための大きな判断材料となりますし、経営者にとっては今後の経営計画に無くてはならないものです。また、金融機関にとっても、融資を実行するか否かの判断を下す重要な情報となります。
決算書の情報は利用の仕方を理解している人にとっては非常に重要なものですが、決算書の見方が解らないという方も多くいるのが事実です。そこで今回は、決算書の中でも重要な損益計算書の見方を簡単に説明したいと思います。
3)「売上高」と「当期純利益」の見方
ここに決算書の一例があります。やはり、決算書を見るときに一番目につくのは、一番上に表示される「売上高」と一番下に表示される「当期純利益」ではないでしょうか。
決算書の売上高は会社の規模を表し、年商がどれぐらいの会社なのかということがわかります。
「当期純利益」は会社の最終的な利益を表します。また、銀行や株主が最も重視するのもこの当期純利益です。
よくニュース等で、「上場企業の最終利益が過去最高になりました」と言っているのは、この当期純利益が過去最高になったことを示しています。
決算書の見方という観点から言いますと、最近の傾向としては売上高よりも当期純利益を重視する傾向にあります。私も顧問先の決算書をチェックする場合には、最初に売上高を確認しますが、やはり当期純利益を最も重視しています。
4)「営業利益」と「経常利益」の見方
決算書を見るうえで次に見るべき点としては、「営業利益」と「経常利益」があります。この二つの利益は、本業でどれだけの利益が出ているかを示すものです。つまり、株や固定資産の売買等、本業とは関係の無い「特別利益」や「特別損失」を加味する前の利益となります。
営業利益と経常利益が赤字だと、利益を出すべき本業で赤字を出していることになります。したがって、この二つはなるべく黒字を確保しておきたいものです。
次に、決算書上で「販売費及び一般管理費」と記載されている部分を見ていきましょう。 この販売費及び一般管理費の中には人件費や交際費など、仕入以外の様々な経費が入っています。決算書には販売費及び一般管理費の内訳書が必ず入っていますので、この内訳書を確認し、自分の会社の無駄な経費をチェックして経費の削減に役立てることができるでしょう。
決算書上の「営業外収益」「営業外費用」「特別利益」「特別損失」については、金額がそれほど大きくないか、大きい金額が計上されたとしても一過性のものですので、さほど気にする必要はありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。決算書の見方は利用する立場によって様々ですが、経営者や経理担当者が決算書を確認する場合には、上記のような点に注意して決算書を確認してみましょう。