限られた条件で利益を最大化する「最適ミックスセールス」とは | 飲食店経営の基礎知識
飲食店のメニューでどれを売っていくべきか、悩んだ経験はありますか? 限られた条件の中で利益を最大化する方法は非常に有効です。今回はあなたの悩みを解決するヒントとなる方法を紹介します。
目次 1)最適セールスミックスとは 2)お店の利益アップのためには、どれを選ぶ? 3)飲食店の制約条件 4)まとめ
1)最適セールスミックスとは
どの飲食店にも従業員や在庫、そして時間といった資源には限りがあります。その限りある資源を「制約条件」と呼びますが、制約条件の中でどのメニューに力を入れていくか決める事を「最適セールスミックス(メニューごとの組み合わせ)」と言います。最適セールスミックスを行う理由は、利益を最大化するためです。
制約条件が複数の場合もありますが、今回はシンプルに制約条件が1つだった場合で考えていきましょう。
2)お店の利益アップのためには、どれを選ぶ?
今回は、どのランチメニューに力を入れると利益がアップするかをみていきます。小さい店舗なのでキッチンの作業できる時間が限られているとお考えください。つまり、今回の例では、制約条件が時間ということになります。 「変動費」というのは、商品が一個売れると増加するコストのことで、ここでは材料費と考えていただければ良いでしょう。「限界利益」とは、販売価格から変動費をマイナスした利益の事です。
時間が制約条件になっているので、一分で大きく稼ぐ商品が大事と考えます。
一個あたりの限界利益 ÷ 一個作る時間
で一分あたりの限界利益を計算します。
結果は次の通りになりました。 一分あたりの限界利益は焼鳥定食がトップでした。
そこで焼鳥定食の販売に力を入れたケースを見ていきます。チキンソテーの販売数が減って焼鳥定食が増えています。オムライスは変化していません。 販売総売上も限界利益もアップするという結果が出ました。
逆に、販売価格が高く、一見儲かりそうなチキンソテーに力を入れた場合には、販売総売上も限界利益が下がってしまいます。 キッチンで作業できる時間が決まっている場合(この場合、累計時間が5,430分で固定)には、素早く提供できる焼鳥定食が効率よく稼げるのです。
3)飲食店の制約条件
制約条件は他にもあります。あなたのお店はどんな条件があるでしょうか? 代表的なものを見ていきたいと思います。(制約条件が一個の場合を想定しています)
・ 販売数量に制約・・・・・一個あたりの限界利益額
販売数量が決まってしまっている場合には、一個あたりの限界利益が高いものを中心に販売していけば、利益は高まっていくでしょう。
・ 売上総額に制約・・・・・メニューの限界利益率
お客様が買ってくれる金額の相場もあるかと思います。例えばコース料理を3,500円で提供しないとお客様に売れない場合、販売価格は決まってしまいますね。
その制約条件の中で利益を出すには、コースの料理構成を考えるべきです。限界利益率が高い料理で構成することでコースの利益も高まるでしょう。
・ 加工時間に制約・・・・・時間あたりの限界利益額
これは2で見たケースと同じ条件です。限界利益は高いが時間のかかる肉料理、限界利益は少ないが時間がほとんどかからない冷奴。どちらが効率よく利益を稼ぎ出せるでしょうか?
どのお店にも時間の制約があります。その条件の中で利益の最大化を目指す場合には、時間当たりの限界利益を中心に考えましょう。
冷奴を派生させたメニューを増やして(普通の冷奴、食べるラー油冷奴、ねぎ塩冷奴など)顧客単価も上がった店があります。冷奴ですと、作るのにほとんど時間がかからないので、最初の一品として提供しやすく、ほとんどのお客様が頼んでくれるようになったためです。
4)まとめ
何種類もメニューがあると、どれを重点的に攻めるか判断に迷うと思います。その場合は今回の最適セールスミックスが一つの判断基準になるはずです。
利益の最大化を図るために、商品構成の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。 悩んでいる方はぜひ今回のケースをご活用ください。
分析して売上アップを考えるための方法として、前回のカテゴリ分析、前々回のABC分析もぜひ参考にしてみてください。 https://keiei.freee.co.jp/2015/10/02/category-analytics/ https://keiei.freee.co.jp/2015/09/02/uriagebunnseki-abc/