「監査対応」って何? 知っておくべき経理の基礎知識
会社勤めをされている人の中には、「監査対応」という言葉を聞いたことがある人がいるかもしれません。しかし、具体的に何をすれば良いのかはご存知ないのではないでしょうか?
「来週会計士の方が来るから、監査対応よろしく」なんて急に言われたら、あなたはきちんと対応できますか? 監査のときに経理としてテキパキと対応できるように、普段から準備しておきましょう。
1)監査を受ける意味を知ろう
そもそも何故会社が監査を受けているのかというと、会社が作る「決算書」、つまり会社の財政状態を表す貸借対照表や、会社の経営成績を示す損益計算書などの内容が、偽りなく作られているのかを、独立の立場にある第三者にチェックしてもらうためです。
そうでないと、「この決算書は本当に正しいもののか?」となり、株主や投資家は信用してくれません。信用できる決算書を作らないと、株主や投資家にお金を出してもらえずに、会社は資金繰りに困ってしまいます。ちなみに上場会社など、一定の会社は監査を受けることが強制されています。
2)資料をきちんと作らないと、粉飾になってしまう!?
では、何をもって「この決算書は正しい」と判断するのでしょうか。決算書の数字は、普段の会社の活動をもとにして作られているわけですから、その会社の活動の記録をチェックすることで確認できます。
会計士は活動の記録をチェックしている途中で少しでもおかしいと感じたら、自ら取引先に「取引先はこう言っていますが、この記録は本当にあってますか?」と指摘されたり、過去の数字と比べて「今期はあまりに数字が違いすぎませんか?」などと指摘されらりします。
帳簿の誤りが単なる会社の記録ミス程度なら、決算書の修正がきくかもしれませんが、意図的に売上の水増しをしているような悪質な場合だと、いわゆる「粉飾」をしていると認定されてしまう可能性があります。
万が一、監査の結果が「決算書は正しくない」ということになったら、会社としての信用を失い、大きなダメージを受けることになります。
3)経理は何を準備しておけばいい?
それでは、監査対応のために、経理担当者の方は何を準備すればいいのでしょうか? 会計士もやみくもに会社に資料をよこせと言うわけではなく、最低限必要な資料だけを要求してきます。では、必要最低限の資料は、どのように絞るのでしょうか。
その基準は「量」と「質」です。「量」とは「金額」のこと、「質」とは「取引の内容」のことです。従って会計士からは、監査の対象期間の中で発生した「金額の大きい取引」と「重要な取引」の資料を用意して下さいと言われるでしょう。
たとえば、商品の販売などで言えば、注文書だったり請求書だったりが必要になるかと思いますので、会計士からこういった資料を要求されてもサッと提出できるように、普段からきちんと整理・保管しておきましょう。
まとめ
&「監査対応」という名前だけ見ると難しそうですが、普段からきちんと処理をしておけば、焦ることは何もありません。精度の高い資料を速やかに提出できると、会計士の心象もとても良くなります。資料の適切な整理・保管を心掛けて、スムーズな監査対応を行いましょう。