償却資産税の対象となる資産や計算方法についてわかりやすく解説
償却資産税とは
事業を運営するための設備や資産には、固定資産税の一種である「償却資産税」が課税されます。
償却資産税は、1月1日の時点で所有している償却資産の価格を基準に算出された税額を、固定資産税と同じく市区町村に納付します。
事業のための資産には「自動車」や「土地・建物」なども含まれていますが、これらの資産には別途課税されているため、償却資産税の対象外となっています。
償却資産税の対象を正確に把握しておけば、特例などを活用して税負担を軽減させることも可能です。
償却資産税の対象となる資産をすでに手放していることを申告しないままでいると、前年に引き続き償却資産税が課税されてしまうので注意が必要です。
償却資産税の対象となる資産
償却資産税の対象となるのは、所得税法や法人税法において「減価償却資産」とみなされている資産です。
以下は飲食店や小売店、医療系施設の償却資産の一例であって、これらの償却資産以外であっても事業で使用するもののほとんどが償却資産の対象となると考えることができます。
飲食店の償却資産
店内でお客さんがくつろぐための家具類、店内の備品、レジやテレビ冷蔵庫、販売機などの電化製品、調理に使用する用具類など
小売店の償却資産
商品を陳列するためのケース、冷蔵庫や冷凍庫、レジなど
医療系施設の償却資産
医療機器類、待合室などに設置するソファや事務所の家具類や備品など
償却資産を申告する際は、市区町村が公開している資産名のリストを参考にしながら、事業用の資産の名称と種類を提出書類に記入する必要があります。
償却資産税の対象とならない資産
償却資産税の対象とならないのは、個別に課税されている自動車や土地・建物、衛生設備、火災報知設備などです。
「耐用年数が1年未満」や「取得価格が10万円未満」、「3年均等償却した20万円未満の資産」についても、償却資産税の対象とはなりません。
例えば、「10万円未満のパソコン」は一括で費用として計上できるので償却資産とはならず、「10万円以上20万円未満のパソコン」を3年均等償却を行なっている場合も償却資産とはならず、どちらも償却資産税の対象外となります。
償却資産税の計算方法
償却資産税の計算方法は以下のとおりです。
課税標準額(1,000円未満切り捨て)×税率=償却資産税額(100円未満は切り捨て)
標準税率は1.4%となっていますが、税率は市区町村ごとに設定されます。
課税標準額
申告した資産には、それぞれの「取得価格」と耐用年数に応じて定められた「減価率」て計算された「評価額」があり、すべての資産の評価額の合計が「課税標準額」となります。
評価額の計算式
初年度:取得価格×(1−減価率×1/2 )=評価額
2年目以降:取得価格×(1−減価率)=評価額
令和元年度(平成31年度)2019年度の評価額と償却資産税額の計算例は以下のとおりです。
資産:ルームエアコン
取得年月:平成29年(2017年)12月
取得価格:30万円
耐用年数:6年
減価率:0.319
初年度(平成30年度)の場合
取得価格300,000円×(1−減価率0.319×1/2)=評価額250,000円(1,000円未満切り捨て)
令和元年度(平成31年度)の場合
取得価格300,000円×(1−減価率0.319)=評価額200,000円(1,000円未満切り捨て)
以上のように資産ひとつひとつの評価額を算出し、すべての資産の評価額を合計すると課税標準額となります。
償却資産税の免税点
償却資産税の免税点は150万円です。
このため、課税標準額が150万円に満たない場合は償却資産税は非課税となりますが、申告手続きは行わなければなりません。
まとめ
償却資産の課税標準額が免税点を超えなければ償却資産税はかからないものの、申告を免れるわけではないため、償却資産税の減価率や計算方法などを市区町村のホームページ等でチェックしておくことをおすすめします。