エクセル経理の限界はどこにあるのか?その見極めポイントとタイミングを解説
経理の仕事は、現金管理、日々の売上や支払計上、売掛金や未払金の管理等、様々な数字を取り扱っています。そんな日々の数字を、会計ソフトの導入を検討しているものの、全てエクセルによって管理しているという会社もまだまだ多くあります。
しかし、やはり会計ソフトに比べると、エクセル経理でできることには限界があります。エクセル経理の限界、そして会計ソフトに乗り換えるポイントとタイミングについて解説します。
エクセルだけで経理はできる?
エクセルのみで経理処理をすることも可能なように思えますが、エクセルはもともと表計算ソフトとして作られたもの。経理処理として数字を管理するのは、本来のエクセルの用途とは異なっているため、どうしてもできることに限界があるのです。エクセルでは難しい処理は、たとえば以下のようなものになります。
①消費税の処理
例えば通信費1,080円の支払いをした場合、通信費1,000円、消費税80円の計上をしなければなりません。
会計ソフトであれば総額を入れるだけで、自動的に費用と消費税をそれぞれ計上してくれますが、実はこの計上を一度に行うというのは非常に複雑な処理で、エクセルで対応するのは非常に大変です。
②元帳への転記
複式簿記の場合、一つ一つ違う科目を様々な元帳に転記していく必要があります。たとえば現金で通信費を支払った場合、まず現金出納帳に記載をし、そのあと通信費の元帳にも転記をする必要があります。掛けで支払った場合は、売掛金元帳と通信費の元帳の他に、取引先別の売掛金元帳にも転記をしなければならず、非常に多くの処理が必要となります。
会計ソフトであれば自動でそれぞれの元帳に転記をしてくれますが、エクセルで自動転記の機能を作り上げるのは大変難しいと思われます。
③借方・貸方の判断
複式簿記の場合、科目ごとに借方、貸方の性質を理解して集計をする必要があります。たとえば現金のような資産であれば、借方を集計した金額から貸方を集計した金額を引き、借入金のような負債であればその逆です。
このように資産・負債・費用・売上によって借方と貸方の集計方法が異なり、この特徴を踏まえながらエクセルで集計するというのは非常に複雑な作りが必要になってしまいます。
会計ソフトはとてもよくできている!
会計ソフトは数字を打ち込むだけで、裏側で様々な複雑な計算や処理を行ってくれています。どんなにエクセルが得意な人でも、この仕組みを作り上げるのは非常に骨が折れるでしょう。
たとえ仕組みを作ることができたとしても、作成者がいなくなってしまうと、マクロの式がおかしくなってしまった場合などに、「対応できる人が誰もいない」といった事態にもなりかねません。また消費税率が変わったり、軽減税率が導入された場合などにも、会計ソフトであれば瞬時に対応できますが、エクセルであればマクロの式を最初から組みなおさねばならない…といった手間があります。
会計ソフト導入のタイミングは?
取引件数が少なかったり、同じ取引ばかりで仕訳パターンは限られているといった場合は、エクセルのみで対応できるかもしれません。しかし取引件数や仕訳パターンが増えてきたら、やはり会計ソフトへの乗り換えを検討すべきかと思います。
会計ソフトに乗り換える見極めポイントは、「費用対効果」があるかどうか。会計ソフトの導入が、エクセルのマクロを組むための人件費や、計上にかかる時間を削減したり、計上や計算の正確性の向上に貢献するのは間違いありません。
そういった人件費や時間の削減、計上時の正確性等のコストが、会計ソフトを導入するために必要なコストを上回っていれば、会計ソフトを導入する良いタイミングです。
エクセルを補助として使うと効果的
最近は多くの会計ソフトが市場に出回っており、サポートの手厚さや機能によって価格も様々です。経理処理にかかるコストはなるべく安く抑えたいという会社がほとんどかと思いますので、会計ソフトの値段と機能を比較して、一番合ったものを選びましょう。
「高度な機能はそこまで充実していなくて構わない。それよりもコストを安く抑えたい」場合、エクセルを補助的に使うのがおすすめです。
また会計ソフトを導入していても、締めが終わった後に、科目ごとに月末時点の残高をエクセルで管理しておけば、確認したいときにわざわざ会計ソフトからデータを落とす手間なく、すぐに数字を把握できます。エクセルで残高を一目で確認することで、もしも誤った計上をしていた場合に、すぐに気がつくことができるというメリットもあるのです。
エクセルのみで経理処理を行うことの限界を把握し、「費用対効果」を意識して会計ソフトを導入するタイミングを逃さないようにしましょう!