経理部の一大イベント「決算」について解説します
経理部の仕事の一大イベントに、決算が有ります。決算について基本的なことを知っておきましょう。
経理の仕事の1年の仕上げは決算です。月々も月次試算表などを作成しますが、決算時には、一段と緻密に数字を拾い上げます。気の抜けない仕事ですが、作り上げた時の達成感もまた格別です。
目次
- 1年間の決算「本決算」
- 半年を経過したところで行う上半期の決算「中間決算」
- 単独決算(個別決算)
- 子会社や関連会社の業績も含めて計算する「連結決算」
- まとめ
1)1年間の決算「本決算」
決算書は会社にとっての成績表のようなものです。3月決算や、12月決算の会社が多いですが、決算期をいつにするかの決まりは有りません。決算日の翌日から決算日までの1年間を、1会計期間として決算を行います。
1年の総まとめが「本決算」になります。帳簿の中身を再点検して、科目の間違いがないか、消費税等は正しく計上されているか、計上漏れのものは無いか等、確認作業も求められます。
決算の発表に用いられる決算書は、主に次の3つになります。
- 貸借対照表(B/S)・・バランスシートとも言われます。会計期間の資産、負債、純資産の状態を表します。
- 損益計算書(P/L)・・会計期間での収益と費用の状態を表します。
- キャッシュフロー計算書(C/F)・・会計期間のキャッシュフロー(現金の流れ)の状況を、営業活動、投資活動、財務活動の区分ごとに表します。
2)半年を経過したところで行う上半期の決算「中間決算」
事業年度が半年を経過した時点で、中間決算を行う企業が多く有ります。事業年度の中間時点での財務状況を明らかにすることで、経営に関する修正を計りやすくするためです。予算と実績を対比して、問題点が有れば解決方法を探ります。
中間決算のメリットとしては、
- 社の内外に業務実績を明らかにできる。
- 業務実績に対し、適切な処置を早めに講じることが出来る。
- 年次決算の作業を軽減できる。
企業によっては、3カ月を1Q(クゥオーター)として、1Qごとに決算作業をして、売り上げ予想や仕入れの見直しを行う所も多く有ります。経済の流れがスピードアップしているので、より中間決算は重要性が高くなっています。
3)単独決算
会社が1社だけの場合の決算は単独決算になります。しかし、事業が拡大していくと、仕入れ部門を独立させたり、販売部門を独立させるなどして、子会社を持つケースが良く有ります。その場合に、親会社は親会社、子会社は子会社で決算をすると、それぞれが単独決算をしていることになります。
決算書の形としてはシンプルですが、数字の中には親子間の取引も計上されます。そのため、売上高を膨らませたり、親会社の利益や損失を、子会社を使って調整する例なども数多くあり、本当の姿が見えずらくなっていく傾向に有りました。
4)子会社や関連会社の業績も含めて計算する「連結決算」
近年グローバル化の波も有り、連結決算が重要視されています。それには前項にあげたような理由もありました。
連結決算は、親会社を中心とし、子会社・関連会社の業績を一体表示するようになります。親会社の支配が認められる会社は、子会社として全ての数字が連結されます。親会社の影響力が有ると認められる会社は関連会社として、持ち分法が適用されます。
親会社・子会社の連結決算のやり方として、大まかに言うと次のようになります。
- 個別に作成された親会社と子会社の財務諸表を合算します。
- その後、連結調整作業として、次のようなものを消去してゆきます。
- 親会社の投資額・子会社の資本金・棚卸資産に含まれる未実現利益
- グループ間の債権、債務、取引高
- 連結財務諸表を作成します。
5)まとめ
単独決算では計上されたはずの利益が、連結決算をするとどこかに行ってしまう。などと言うことが起きると、実際の姿は何だったのか?となります。 会社の内容を判断する成績表としての決算書が、意味のないものにならないように、連結決算を求める風潮が強くなっています。
日本に古くからある、同族意識に支配されたグループ企業間の取引の不透明さが、海外の投資家に嫌われ、企業価値を比較する場合などにおいて、同業他社との比較がし易い連結決算の普及を、急速に後押ししています。