経理部の仕事の内容と流れを日次、月次、年次でまとめました
経理部の仕事はどんな流れになっているのでしょう。流れをつかめば、仕事はやりやすくなります。
会社の組織図などを見ますと、経理部は経営者と直接つながっている所が多いようです。会社の売り上げや仕入れ、経費などを取りまとめ、経営状態を知る為の数字を扱う部署だからでしょう。
そんな経理のお仕事を、毎日は何をするのか、ひと月の中では何をするのか、一年の流れはどんなものか、見てみましょう。
目次:
- 日々の経理業務
- 月次の経理業務
- 年間の経理業務
- 月別の主な経理業務
- まとめ
1)日々の経理業務
毎日行う経理の業務は、「現預金の管理」が一番大事になってきます。現金の出入りと、預金口座の出入りは、毎日チェックしましょう。日々の現預金の動きを見れば、大体の仕事の流れがつかめてきます。
現金や預金の入出金時には、 それに伴う納品書や請求書、領収書の発行やチェック、整理、保管と、仕訳作業が有ります。細かい作業ですが、その後の集計の基本になる大事な作業です。
会社によっては、日々の売り上げの管理も、経理の仕事になっている所が有ります。売上の集計と、売上伝票や納品書の発行が、日々の業務に加わります。
伝票や帳簿類は、法律で保管の義務が決められています。保管期間も帳簿に応じて決められています。近年は確定申告もデジタル申告が有りますが、帳簿は原本の保管が求められますので、きちんと整理して保管しましょう。
2)月次の経理業務
月次の主な仕事には、請求書の発行・売掛金の管理と、仕入れや経費につての支払いが有ります。
売上は通常ひと月ごとに締日を決めて、売上請求書を発行し、決められた支払日に集金します。今では、集金は銀行振り込みになっている所がほとんどです。取引金額が大きくなると、約束手形や為替手形を発行する取引先も出てきます。
締日や支払い日は得意先ごとに違いますので、それらの把握も大事になってきます。請求書通りに支払ってくれているか、差額が有ればその内訳は何か等を調べる必要があります。
売上とは逆に、仕入れや経費については、仕入れ請求書等に基づいて、支払日に支払いをします。先方の請求通りに支払うのではなく、先方よりの請求書に間違いがないか等のチェックもします。
ごくまれにですが、新聞や業界誌などを勝手に送りつけてきて、代金を請求してくるような、よからぬ会社も有ります。勝手に送ってきた分には支払い義務は有りませんので、こちらが注文したものかどうかのチェックも大事です。
給与計算が経理の仕事になっている会社も有ります。その場合は、間違いの無いように計算と支給を行ってください。給与に関しては、今回は細かい説明は割愛させていただきます。
月々の業務の締めくくりは試算表と損益計算書の作成になります。その月の儲かり具合や、資金の動き、余裕度合いなどの判断材料になりますので、大事な資料です。
3)年間の経理業務
企業には決算日が有ります。 1月1日から12月31日を1年として活動している会社でしたら、決算日は12月31日となります。多いのは、3月31日を決算日としている会社です。これらの決算日を1年の締めくくりとみると、経理部の1年は決算に向かって流れていると言ってもいいでしょう。
決算日の2か月以内に決算の集計業務を終結させ、税務署に決算申告をします。決算で計算された各種の税金も期限までに納付します。株主総会を行っている会社でしたら、決算日より3カ月以内に株主総会を開催します。
何年かに一度税務署の監査が入ります。きちんと書類が整理できていれば、何も問題は有りません。
その他、月別に所得税や社会保険の分野で1年の集計をしていく月が有ります。次項で紹介しましょう。
4)月別の主な経理業務
4月を新年度(決算日3月31日)とする会社が多いので、4月スタートで説明させていただきます。
〈4月〉
- 年次決算処理
- 固定資産税第1期納付(納期限は条例で決まりますので、地域によって違うことも有ります。)
〈5月〉
- 法人税・地方税・消費税・確定申告の処理、納付
- 自動車税の納付
- 有価証券報告書の作成
〈6月〉
- 株主総会
- 個人住民税の特別徴収新年度
〈7月〉
- 賞与の支払い
- 固定資産税第2期納付
- 納期の特例適用者の場合、源泉所得税の納付
- 労働保険料の申告と納付
- 社会保険料の算定基礎届提出
〈8月〉
- 消費税中間申告と納付
〈9月〉
- 中間決算準備
〈10月〉
- 中間決算処理
〈11月〉
- 法人税・地方税・消費税の中間申告処理及び納付
- 半期報告書の作成
- 年末調整用の「扶養控除申告書」と「保険料等申告書」の配布
〈12月〉
- 賞与の支払い
- 年末調整
- 固定資産税第3期分納付
〈1月〉
- 償却資産申告書の作成、提出
- 納期の特例適用者の源泉所得税の納付
- 法定調書合計票、給与支払調書等の作成、提出
〈2月〉
- 年次決算準備(各種書類の整理、再確認、来年度予算計画等)
- 消費税の中間申告及び納付(直前期の消費税額が400万円超4800万円未満の場合)
- 固定資産税第4期分納付
〈3月〉
- 年次決算準備
- 贈与税の申告及び納付
5)まとめ
会社全般の様子を数字から知ることが出来るから、経理の仕事は面白いと思えるようになります。数字合わせだけでない経理の仕事の大事な要素に、会社の損益の様子を知り、資金ショートなどを起こさないように手立てを考えることが有ります。
経理の仕事である数字の集計は、過去の集計になりますが、未来を予測する大事な資料にもなると考えると、益々面白みを味わえるのではないでしょうか。