今さら聞けない!?伝票制と振替伝票の役割・違いを解説
伝票の仕組みについて
経理業務を行うにあたって、ほとんど会社で使用されている伝票。何気なく使っているものですね。でも実は、意味や仕組みがあやふや…という人もいるかと思います。
今回は伝票制や振替伝票についてご説明します。今さら人に聞けないと思っている人は、これを機会に覚えて下さいね。
1)伝票制と振替伝票の役割について
そもそも、「伝票」とは何でしょうか?日々の取引を記入する仕訳帳との違は何でしょうか?仕訳帳は基本的にノート形式で、一つずつ取引を記入していきます。パソコン上で作業する場合もありますが、一度に何人かで仕訳を入力することはできません。
しかしそれでは、目まぐるしく動く会社の活動に対応ができませんよね?そこで、仕訳帳の代わりに用いられるのが伝票です。
伝票とは、入出金やその他の取引内容を記入するための紙片です。紙片と言っても、取引に関する責任を明らかにする証拠書類となるため、適切に保管しておく必要があります。
伝票には、金銭の入金を記す「入金伝票」、出金の際に使用する「出金伝票」、「仕入伝票」、「売上伝票」、「振替伝票」などいろいろな伝票があります。
2)振替伝票の仕組み
上記で見た通り、伝票にはいろいろな種類があります。ここでは、特に振替伝票についてご説明します。
はじめに、入金伝票ですが、これは当然入金に関する取引にしか使用できません。出金伝票は現金が出ていった時に使うものです。
しかし、日々の実務上の取引では、掛仕入や手形など、現金を通さない取引が発生する場合があります。この時に重宝されるのが振替伝票です。 振替伝票は、借方、貸方の勘定科目を任意で設定できるので、現金を通さない取引の伝票を起こすことができます。(ちなみに、取引を伝票に書くことを起票といいます。
2)1、3、5伝票制について
次に、各伝票制についてご説明します。伝票制には1伝票制、3伝票制、5伝票制の3種類があります。
・1伝票制
名前からわかる通り、仕訳伝票という1種類の伝票で日々の取引を起票することです。仕訳伝票は、振替伝票とほぼ同じです。振替伝票は、現金を通さない取引などその他の取引が対象となりますが、仕訳伝票は一切の取引を起票することができます。
・3伝票制
「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」を用います。入金取引を起票する入金伝票、出金取引のための出金伝票の他に、振替伝票を使用します。
・5伝票制
3伝票制の「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」に加え、「仕入伝票」「売上伝票」を使用します。
仕入伝票は、商品の仕入れ取引を起票するための伝票のことです。取引をした日付や商品名、仕入れ先、金額などを記入します。仕入伝票では、取引は原則としてすべて「掛け」で行われたものと仮定されます。
売上伝票は、商品が売れた際に使用する伝票です。取引日や商品名、得意先名などを記入します。売上伝票も、仕入伝票と同様に「掛け」で行われたと仮定されます。
売上、仕入の返品や値引きは、売上伝票及び仕入伝票に赤字で記入します。
5伝票制では、仕入れや売上はそれぞれの伝票で起票するので、振替伝票は、それ以外の取引で使用することになります。
一例を挙げると、掛仕入れで払うべきお金である買掛金に対して、支払手形を振り出した場合などに振替伝票で起票します。 借方:買掛金 / 貸方:支払手形 となります。
振替伝票は、他の伝票では振り分けることができない取引について使用する伝票ということになります。
【伝票を知ることは取引実務の第一歩】初心者の為の会計伝票留意点。
まとめ
今回は、伝票制のしくみと、振替伝票に役割についてご説明しました。仕訳伝票を用いた1伝票制は全てを兼ねることができますが、実務上では、3伝票制や5伝票制を用いているところが多いようです。どの伝票制を適用するかは、その会社の取引実態に合わせて決めるとよいでしょう。