経営者に簿記の知識は必須!資格取得のすすめ
経営者にとって欠かせないのが簿記の知識です。最近は便利な会計ソフトがあるため、簿記の知識がなくても帳簿を付けることは可能です。しかし簿記を少しでも勉強することによって、財務状態や経営状態がよく判るようになります。
特に日商簿記検定はレベルごとに級が分かれており、体系的に勉強するのに適しています。この記事では日商簿記検定について詳しくご紹介します。
簿記とは?
簿記は、個人や企業が行う経済活動の流れを体系的に記録するものです。家計簿も簿記の一種と言っても差し支えないでしょう。家計簿は自己流で好きなように付けて構わないのに対し、企業や個人事業主が備え付けるべき帳簿には一定のルールがあります。
簿記には「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があります。単純に「簿記」というときには複式簿記を指すことがほとんどです。単式簿記の代表的なものは一般家庭の家計簿です。基本的に家計簿には収入と支出しか記録しません。たとえば、スーパーで2,000円使ったとなると「食費 2,000」とだけ記録することでしょう。
これに対して複式簿記では、「お金を使った結果、資産がどれだけ減ったのか」というところまで記録します。「食費 2,000 / 現金 2,000」といった具合です。単式簿記よりも正確に経営状態や財政状態を把握できることから、企業や法人が行う会計では複式簿記が用いられます。青色申告特別控除の要件となっている記帳も複式簿記で作成する必要があります。
日商簿記1級、2級、3級の違い
日商簿記とは複式簿記の検定試験で、全国の商工会議所が主催しています。1級から4級がありますが、主に受検されるのは1級から3級です。各級の特徴を簡単に説明します。
参考リンク:商工会議所の検索ページ
・日商簿記3級
商業簿記が出題範囲です。中小企業や個人商店が行う経理事務を想定しており、複式簿記の基礎を学ぶことができます。青色申告に必要な損益計算書・貸借対照表の作成方法についても日商簿記3級の範囲です。
・日商簿記2級
商業簿記に加えて、工業簿記の試験も加わります。商業簿記は3級の内容をより細かく学ぶもので、工業簿記は材料費、労務費、経費から原価計算を行うものです。企業の財務担当者に必須のレベルです。
・日商簿記1級
商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算の4科目になります。最も高度な簿記知識が必要となり、大学などで専門に勉強する人に求められるレベルです。合格すると税理士試験への受験資格が得られます。
・経営者に求められる簿記レベルは「2級」
経営者としては最低でも日商簿記2級レベルは身につけておきたいものですが、まずは3級でも構いません。基本的な仕訳の方法や貸借対照表、損益計算書の意味がわかるようになります。会計ソフトに全ておまかせだったという人でも、簿記を学習することによって経営状況を深く知ることができるようになります。
2級の商業簿記は3級の知識をより掘り下げるものです。有価証券の扱いや、本支店会計が追加されます。基礎ができていればそれほど難しくありません。さらに2級には出題範囲に工業簿記も追加されます。こちらは商業簿記とは毛色が違うものの、経営管理を行う上で必要な知識です。基礎的な原価計算も含まれるため、工業分野以外にも応用できます。
経営者の仕事と勉強の両立は可能か?
日商簿記3級の取得には「30時間が必要」と言われています。1日1時間で1ヶ月、1日30分しか取れない方でも2ヶ月あれば取得可能です。経営者は何かと忙しいとは思いますが、しばらくの間集中して取り組むことによって短期取得が可能となっています。
日商簿記3級、2級程度なら予備校に通う必要はありません。市販の書籍でもわかりやすいものが数多く出版されています。本屋さんに行って使いやすそうなものを選ぶと良いでしょう。日商簿記試験を受験することを〝周囲に公言する″のもひとつの方法です。合格しないと恥ずかしいという、良い意味でのプレッシャーがかかります。
簿記資格取得のためのオススメ勉強法
簿記の取得にはとにかく手を動かすことが大事です。参考書を眺めているだけでは簿記の知識がなかなか身につきません。自ら電卓をたたいて仕訳問題をこなすことによって、次第に記憶が定着していきます。
そうは言っても腰を据えて勉強するのは難しいかもしれません。最近ではスマートフォン向けのアプリも出ています。電車やタクシーでの移動中のすきま時間を利用して勉強すると良いでしょう。
オススメは過去問題集を解くことです。一通り試験範囲の勉強が終わったら、多少あいまいな部分があっても過去問題集に取り組んでみましょう。似たような問題が繰り返し出題されることも少なくありません。すでに解いた問題でも満点が取れるまで繰り返し行うことで、自然とミスが少なくなってきます。
興味がある方はぜひチャレンジを
試験勉強なんて学生時代以来という人も多いかもしれませんが、目標に向かって勉強するのは日々の張り合いになります。簿記について一通り学ぶことによって、今まで以上に経営状態に対して興味が湧くはずです。まずは日商簿記3級からチャレンジしてみてはいかがでしょうか?