経理担当でも会社の業績に貢献できるのか?
経理のお仕事をされている方は、「経理って、何の仕事をしているの?」と聞かれたことがあるのではないでしょうか? 「会社の業績に経理は貢献できているのだろうか」と感じてしまうこともなきにしもあらずです。
「お仕事は何ですか?」と聞かれたときに、説明しやすい職業にちょっとした憧れはありませんか。大工さん、工芸品製造、教師、バスガイド、通訳、販売職…。想像しやすい仕事は、会社にも社会にも「貢献している」感があったりします。
一般的に経理担当は、説明しづらく想像が難しい職業です。営業や製造部門のように、かかった経費と得られた売り上げ、領収金額から会社の業績への貢献金額を算出することはできません。ただ、派手さがないので目立ちませんが、経理は間違いなく業績に貢献しています。
経理の仕事は、当たり前が素晴らしいと自覚する
経理の小さな喜びに、「合わない、合わない、どこだ、どこだ、……あった、これか!」という瞬間があると思います。どうしても合わないことも稀にはありますが、経理は「一円まできっちり合わせる」のが当たり前です。
また、「○年間で△千万円横領」というようなニュースを知ると、経理担当はいろいろ考えるかもしれません。どうやってそんなに盗んだのだろう? 偽の領収書でも作ったか? 仮払金か未払金、仮受金あたりをいじったかな? 雑損失だらけにしたとか? といろいろな可能性が浮かんできます。
「会費振込口座の印鑑と通帳を預かっていたから、好きな時に好きなだけ引き出して使った」と自白したと聞けば、監査は?調査は?帳簿は?と新たな疑問が湧いてきます。
経理担当者の多くは、一円まで経理上の金額を合わせるために努力しますし、知識が十分でも横領はしません。どうしてと聞かれれば、それが当然だからと答えるでしょうし、会社もそう信じているから経理を任せてくれています。金額が合わなくても放置しそうなら、現金を抜いて自分のポケットに入れそうなら、担当なんてさせないはずです。
当たり前に金額を合わせ、不正をせず、信用されて、会社のお金を触っていることは、それだけでもかなり役立っているとまず自覚しましょう。大絶賛されなくても(実際褒められることは余りないと思いますが)、それは間違いなく素晴らしいことです。
経理の仕事はどこまでも広がりがある
似た系統の仕事でも、税理士や公認会計士は自ら望んでその職業に就いた方が多いでしょうが、経理担当の場合、「なってしまった」ケースも少なくないはず。何だかさっぱりわからない段階で、足し算と引き算ができれば大丈夫、というような励ましを頼りにスタートするケースも結構あるようです。
どこかパズルを組み合わせていくような細かく単調さのある作業には、向き不向きがあるようにも思います。基本的には、月毎、年毎に同じことの繰り返しで、直接的に必要な知識と企業ごとの特殊事項を会得すれば、つまらないと感じ始めるかもしれません。
しかし、その先がチャンスです。資格取得やセミナー参加を通じて、会計や経営の知識を増やし、機会があれば自分のアイデアを会社に提案する、といったこともあり得るでしょう。根拠となっている数字を具体的に理解していれば、より建設的な提案ができるはずです。
また、例えば製造業ならば、自社製品について少し調べてみるのもいいかもしれません。原材料のことや他社の類似製品なども知ることで、経費削減などを考える時も違う視点が持てるでしょう。新しくやれることはまだまだあるはずです。
数字の意味を伝える技術を磨く
そして、「経理って、結局何をしてるの?」にあらゆる角度から答えられるようになることが、経理にできる最大の会社貢献だと思います。「経理担当はよくわからない」と思われている限りは、意義も意味も貢献も伝わらないでしょう。どんな仕事をしていて、どんな書類を作っていて、それが何を現しているのか、相手に分かるように伝えられれば、間違いなく双方に有益です。
何がどう積み上がって、最終的にどの程度の利益が出るのか、どこかで何かを工夫した時に、どう変わっていくのか。ある意味、経理関連書類は会社そのものです。経営陣に聞かれていつでも即座に説明できるためには、まずは自分が細かいところまでしっかり理解している必要があります。よく言われますが、わかっているつもりでも、他人に説明できないのは、やっぱりわかっていないからです。
具体的な数字をみんなにしゃべりまくれ、ということではもちろんありません。例えば、機会があれば雑談のネタとして、経理の概略や用語、活用法などを、できるだけ専門用語を省いて、理解してもらえるように説明してみるのはどうでしょうか。「なるほど、経理ってそういうことしてたのね」と少しでも興味をもってもらえたら、少し嬉しくありませんか。
経理担当は間違いなく会社に貢献しています
ここまで、経理担当の会社貢献についてお伝えしてきました。大きく目立つものではありませんが、間違いなく経理担当は意味ある貢献をしています。必要以上に堂々とすることはありませんが、申し訳ないような気分になる必要もありません。さあ、次の「お仕事は何ですか?」に備えましょう。