経理担当者なら知っておきたい!会計ソフト月次チェックのススメ
会計ソフトの月次チェック、はじめから最後までチェックするというような効率の悪いチェックをしてはいないでしょうか。全部チェックしようとすると膨大な時間が必要ですし、なによりチェック工数が多いと見落としをする可能性もあります。
筆者が会計事務所に勤務していたとき、複数の会社や個人事業主のチェックをする必要があったため、ポイントに絞ってチェックするようにしていました。こうしたチェック方法は、会計事務所だけでなく、一般企業の経理の効率化にも役立つはずです。
今回は、資産・負債・費用・収益ごとにチェックしておくべき項目と月次チェックのためのコツをご紹介します。
1.「資産」でチェックしておきたい科目
■現金
まずチェックしたいのが、小口現金を含めた現金です。現金の場合、借り入れができる銀行と違い、まずマイナスになることは考えられません。会計ソフトからひと月の現金の動きを追って、マイナスが発生した場合は、まず入力が間違っていることが考えれます。おそらく、実際の現金残高は計算していると思いますので、照らし合わせながら現金の過不足がないか確認しましょう。
■預金
預金口座は、通帳記入を行えば現金とは違って、収支と残高が取引の分だけしっかりと記録されます。そのため、月次チェックをする際は、預金残高と会計ソフトの残高があっているかを確認すれば大丈夫です。仮に、残高が正しくない場合は会計ソフトに誤りがあると考えられます。
■売掛金
売掛金は、取引先から支払いが先延ばしで行われる場合に用いる勘定科目です。売掛金をチェックする場合は、前回までの売掛金がしっかり清算されているか、未回収の売掛金残高と比較して漏れはないかを確認します。チェックの度に請求書を見返すのは労力がかかりますので、表計算ソフトなどを利用して一覧にしておくと便利です。
以前、筆者の勤めている会社で経理を担当した際、未回収ではなかったものの、残高と回収額が微妙に異なり、先方から振込手数料が変更した旨の連絡が行き届いていなかったということが発覚したことがありました。会社の経営にも関わるため、回収できているかのチェックは重要です。
■仮払金
会社によっては、社員の旅費を仮払金で一度処理することもあるでしょう。実際にあった事例ですが、飛行機代として仮払金を支払ったものが、社内で連携がとれておらず、旅費交通費として処理したために、一致しないということがありました。こうしたミスを防ぐためにも、仮払金の一覧を作って、見比べながらチェックするということ、日付が遠いものは生産されていないか確認するようにしましょう。
2.「負債」でチェックしたい科目
■買掛金
買掛金は売掛金と反対の意味で使われる科目です。売掛金同様に、買掛金のチェックによって支払いが行われていないことが発覚することがあります。同様に買掛金が発生する場合は一覧にして置き、チェックしやすいようにしておくと便利です。
■預り金
預り金は、源泉徴収税や社会保険料など、従業員の給与から控除するときなどに主に使われる科目です。一致していない場合、過剰、もしくは少なく控除している可能性、もしくは科目自体を誤っている可能性があります。
会計ソフトでチェックする前に、源泉徴収と健康保険税など補助科目をつけているとチェックしやすくなります。社会保険は年に数回しか変化しませんが、源泉徴収は残業代含めた給与に応じてなので、誤りが発見しやすいです。
ちなみに、貸借対照表で負債の下部にくる「資本」についてはほとんど動きがないため、チェックする項目から外しても問題ないでしょう。
3.「費用」・「収益」でチェックしたい科目
■雑費
勘定科目は、何に使ったのかをこと細かく示すために設定されているものですから、通常経理を行っていく中で雑費を用いることはあまりありません。雑費を使う場合、監査の際などにつっこまれやすいポイントになるため、雑費にあげる必要のないものは雑費に計上しないほうがよいです。雑費に計上する場合は、理由を明確にできるように準備しておきましょう。
■雑収入
雑費と同様に理由で、雑収入もあまり発生しにくい科目です。理由は、雑収入は基本的に営業における収入とは性質の違うものであるため、です。雑費同様に使用した根拠を明確にしておく必要があるでしょう。実際会計事務所に勤務していた際は、雑費や雑収入については念入りに確認していました。
4.月次チェックのためのコツとは
ひと通り大項目をチェックした後は、ほかの項目において誤りがないかのチェックになります。全てをチェックすると大変ですので、ここではチェックのコツをご紹介します。特に、残高試算表を見ただけでは分かりにくい費用や収益のチェックに役立つので、活用してみましょう。
■前月と比較する
支払い家賃や支払手数料など、前月とあまり変わりのないものは、前月分の残高試算表などをもとにして確認していきましょう。特に、前月と比較して消耗品や水道光熱費などの変動費部分で桁が違っていたり、差が激しかったりする場合は誤っている可能性もあるため、疑わしい項目は総勘定元帳をもとにチェックしていきましょう。
■前年と比較する
科目によっては、前年と比較するのも良いです。特に、税務署のチェックを考えると前年と大きく違っている場合は、確認されることもありますので、前年と比べて変わったところはないか、特に重きを置いて確認するようにしましょう。ちなみに前年との比較は、会社の経営状況を知る一つの足がかりにもなります。
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