税務調査のシーズン到来!法人の代表者なら知っておきたい税務調査の知識
税務調査は断ることができる?
税務調査には「強制調査」と「任意調査」があります。強制調査は、令状のある強制的な税務調査であり、国税局の査察部(いわゆるマルサ)が担当しています。この査察部は脱税案件を扱っている部署であり、1件あたりの平均脱税額は1億円以上となっています。
通常の調査は「任意調査」を意味します。任意とはいえ税務調査を完全に受けないと断ることはできません。任意調査には「事前に日程の連絡がある税務調査」と「事前の予告なしで突然やってくる税務調査(現況調査)」があります。ほとんどが前者の場合で、この場合は企業の都合の良い日に税務調査を行うことが可能です。
税務調査の時期、人数、日程で調査の厳しさがわかる?
法人の場合、税務調査は一般的に4~5年に1度行われます。同じ税務調査でも調査官の来る人数・日数はさまざまです。一人で一日の場合もあれば、二人で二日の場合もあります。人数が一人で日数が一日であれば、比較的簡易な調査になる可能性があります。二人で二日以上の場合は、ある程度時間を割いて隅々まで確認されます。
税務調査は1年中行われていますが、やはり確定申告の時期は少なく、11~12月が多いです。税務署の異動が7月に行われることが多く、異動先で8~10月に事前調査を行い11~12月に実地調査に入ることが多いです。調査官は通常、実地調査に来る前に事前調査をします。具体的には会社の決算書を見て、前年対比から異常値を把握したり、周辺の情報を集め整合性を確認します。事前調査が終了し、調査官が会社を訪問して行う実地調査の開始となります。
税務調査をする会社の決め方は? 赤字の会社は調査に入らない?
税務署はどうやって税務調査をする会社を決めているのでしょうか。税務署では、国税総合管理システムというシステムを使って、提出された申告書の異常値を見つけて選定します。多額の特別損益がある、売上の急増急落、利益の急増急落、同業同規模他社と比較して、売上や利益が少ない会社などを選定して調査先の候補とします。
「赤字法人には調査は入らない」という噂話をよく聞きますが、実際のところは税務調査の40%以上(H23年度)は、所得がない法人に対する税務調査であったという国税庁データもありますので注意が必要です。
税務調査の一日の流れは?
税務調査の具体的な一日目の流れは、初日は朝10時に始まり、午前中は聞き取り調査を行うことが多く、社長の経歴や会社の設立経緯、取引先や従業員の人数、最近の業界の状況等を質問してきます。一見世間話に近い内容ですが、調査官は調査の糸口になるものを探っています。そして午後になると総勘定元帳や、領収書・請求書等の書類を17時頃まで確認します。
2日目も黙々と帳簿をチェックしながら、時折質問してくるのが通常です。早いと2日目は午前中で終了する場合もあります。調査には代表者の立ち会いが必要ですが、ずっと立ち会い続ける必要はありません。一日目の午前中以外は元帳等の書類の確認になりますので、税理士が対応する場合が多いです。
税務調査時の心構えは?
税務調査にあたって大事なのは、特別な意識をしないことです。調査では、帳簿の中身を調べることが主なので、今更慌ててもすべて過去のことなのです。日常の経理が完璧に行われていれば問題はないです。
税務調査を受ける際の心構えのポイント
- 分からないことは即答せず、調べてから正確な回答を行う
- うそは言わない
- 余計な話をしない
の3点です。
1,2は当然なこととして、中でも大事なのは3の「余計な話をしない」ことです。それなら大丈夫と思われるかもしれませんが、これができない社長は意外に多いです。社長は元優秀な営業マン等と話すことが好きな人が多い傾向にあり、聞かれていないことも話してしまうことはあります。税務署内では「聞き上手な調査官は出世する」と言われているぐらいなので、充分注意して頂きますようお願いします(笑)
まとめ
税務調査が入った時に役立つ知識、一日の流れ、心構えについて説明してきましたが、いざ入られてから書類を揃えるのは時間的な制約もありますので、日頃からしっかり準備し慌てないようにしたいものです。