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2019年05月29日(水)

管理会計とは?財務会計との違いから活用例まで解説

経営ハッカー編集部
管理会計とは?財務会計との違いから活用例まで解説

 企業の会計には「管理会計」「財務会計」の2種類が存在します。名前は似ていますが、管理会計と財務会計はその目的や手法を異にするものです。
本記事では、管理会計と財務会計の定義や違い、上手に使いこなすためのポイントについて解説していきます。

管理会計とは

 企業内部の経営管理者が見る会計情報が「管理会計」と呼ばれます。管理会計の情報は、経営管理者の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価に役立てるとか、自社の現状把握や今後の経営管理を行なうことを目的としたものです。

 管理会計の期間は月単位でも、週単位でも、数カ月単位でも問題ありません。形式の指定もないため、会社ごとに任意の方法で作成できます。部門や商品、サービスごとの収益や労働分配率、損益分岐点などを分析し、今後の経営戦略を考える材料とします。

管理会計で扱う具体的なものを、一部ご紹介します。

  • 原価計算(製品別・部門別・顧客別・個人別減価・損益計算など)
  • 変動損益計算書(損益分岐点分析)
  • キャッシュフロー分析・経常収支計算
  • 経営分析(安全性・収益性・生産性・成長性)
  • 予算管理・予実算管理

管理会計は、会社のありのままの状態を把握し、収益性を明らかにするために必要です。財務会計と異なり、会社を繁栄させ今後の見通しを立てるために重要なものとなります。

財務会計とは

 企業外部の利害関係者に対して、営業活動の成果を明らかにするための会計が「財務会計」と呼ばれます。
 外部の利害関係者とは、株主・債権者・投資家・取引先などを指します。それらの関係者に対し企業は、決算時に作成される財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を開示します。つまり、財務諸表を利害関係者へ開示することが財務会計の主な目的となります。
管理会計と異なり、過去の業績を振り返るものになります。

管理会計と財務会計との違い

 管理会計は、企業の経営者や部門ごとの管理者などのために作成され、経営管理のための会計情報となっています。そのため、内部報告会計という別名でも呼ばれます。自社の発展および生き残りのため、内部で活用するための会計情報です。
 管理会計のデータは、将来の経営計画のために分析・活用されます。管理会計は、社内の業績管理で利用するためのものですので、決められた方法はありません。会社独自で有用な情報を得られるように設計します。

 対して財務会計は、企業の外部の利害関係者に対して自社の経営成績を示し、利害を調整する役割を果たします。また税務署などへ提出するための書類としても使われます。つまりは、外部へ自社の情報を報告するための会計情報ともいえます。過去1年間の企業全体の経営成績を集約し、金額によって業績を表します。
財務会計は、外部への業績目標や税金計算などのために用いますので、決められた会計ルールに従って会計処理をする必要があります。

このように、作成される目的・用途・開示する相手が異なります。

管理会計を活用するためには

 財務会計よりも高い頻度で扱われる管理会計は、会社の発展と健全な経営に必要不可欠といわれています。車のハンドルを状況に合わせて操作しなければ、走り続けることはできてもいずれ何かに衝突して止まってしまいます。同じように、管理会計を単なる帳簿作成業務としてこなすだけで、十分活用せず会社の進路をコントロールしていなければ、遅かれ早かれ障壁にぶつかってしまうでしょう。

 では、管理会計によって得られる情報をうまく使いこなすには、具体的にはどのように活用することができるのでしょうか。
代表的な点を2つ、ご紹介します。

1.「損益分岐点分析」を活用し、変動費・固定費を把握する

 経営にかかる費用は、売上高と比例する関係にある「変動費」と、売上高に関係なく発生する「固定費」の2つに分類されます。この2つの合計である総費用と売上高が交わる点を「損益分岐点」と呼びます。

 変動費には、仕入や消耗品費などがあります。業務量に合わせてアルバイトを雇うなど人員を調整している場合は、アルバイトの人件費も変動費に含まれます。
固定費には、家賃や光熱費、減価償却費や人件費などが含まれます。
変動費も固定費も、経費である以上は無駄を減らしていくことが求められます。これらを定期的に把握して売上高と比較し、見直すべき点がないか確認する必要があります。

 損益分岐点より上に利益のラインが来ていないなら、原価率などの改善に加えて削減可能な費用がないかを分析します。変動費は調整。削減しやすいものですが、その効果は一時的となります。対して固定費の削減は容易ではないものの、一度削減できればその効果は長期間継続するため、長期的な利益アップにつながりやすくなります。

2.「変動損益計算書」で、「付加価値」を分析する

 変動損益計算書は通常の損益計算書と異なり、「販売費及び一般管理費」の科目を変動費と固定費に分けて集計し、「限界利益」を算出するものです。

 限界利益は、売上高から変動費を差し引いて計算します。この限界利益から、固定費を差し引いたものを「貢献利益」といいます。貢献利益がマイナスであれば、その事業は利益を生み出していないものと考えられます。
また、「付加価値」という考え方もあります。貢献利益に人件費や支払利息などを足したものを「付加価値」といいます。これによって自社のヒト・モノ・カネがどれだけの価値を生み出しているのかが数値として明確になります。

 管理会計において変動損益計算書を分析すると、利益を生む売上、費用を回収するための売上が把握できると共に、採算の合わない部門やサービスも分かります。
意外な事実や、見過ごしがちな問題点を目の当たりにすることもあるでしょう。

まとめ

 管理会計と財務会計は、似た名前ですが内容や用途が異なります。管理会計は財務会計よりも頻繁に触れることになる会計情報です。

 単なるデータ収集で終わるのではなく、読み解いて活用することで自社の課題や成果を把握でき、問題点があれば早期に気づくことができます。

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