業務改善とは具体的に何を指すのか? 目的と手順について解説
業務改善に直結する概念「QCD」
「業務」とは、人や物、お金を投じて原材料を商品化したり素案をサービス化したりする作業のことを指しています。つまり、企業としては、「お客様が望むような商品・サービスをいかに創り出し提供するか」ということを業務として日々行っているのです。
これに対して「改善」とは、「企業が原材料や素案から商品・サービスを生み出すためのより効率的でスムーズな流れを創り出すこと」と定義できます。
ですから、業務を改善するためには、品質(Quality)の向上、コスト(Cost)の削減、お客様のもとに商品・サービスを届ける(Delivery)までの時間の効率化という3要素が常に切り口となっており、これらが常に連動して状態を変化させる重要なファクターになってきます。
経費削減と業務削減の違い
業務効率化のプロセスにおいてよく聞かれる「経費削減」と「業務削減」は、混同してしまいがちなのですが、実は両者には違いがあります。
経費削減はその名の通りコストのみが対象で、電気代を節約するために使っていない部屋の明かりを消すとか、できるだけ家賃の安いオフィスを借りる、電話代を削減するためにより安い通信会社と契約するといった事柄を指します。
経費削減の場合は、すでに「どうしたらよいか」という方法が他社などにより商品として提案されていることがほとんどで、「コストを抑えよう」と決定したら後は具体的な対策をすぐ採ることが可能です。
一方、業務削減は企業内の作業効率やコミュニケーション、コストに至るまで全ての流れを滞らせないために思案・実行するもので、いわゆる人・物・お金をトータルでダイエットするイメージになります。
部分的にコストだけを削減するよりも、トータルで複数個所の問題を改善していったほうが企業としての健全性もアップし、フットワークもより軽くなります。
定量的思考を行うメリット
業務改善を目指す時は、「業務効率改善を目指す」「無駄にかかっている顧客対応時間を削減する」といった、いわゆる定性的な考え方ではなく、金額、人数、割合などの具体的な例を挙げ、定量的な思考と報告を心がけることが重要です。
例)100人が10時間/月工数削減すると、200万円分の削減が得られる
例)マニュアル化によりカスタマー対応時間が10%削減すると、他人員の応援にまわせる
このようなより具体的な分析評価を行うと、取り組みの際に目指すところが非常に明確になりとても実行しやすくなりますし、関係者としても、取り組みのスタート地点とゴール地点が非常にわかりやすくなるので混乱が生じません。
業務改善の基本的な進めかた
1.問題点をあぶり出す
企業は比較的大きな組織となるため、時間や経費、社員の業務量などさまざまな面において「ムリ・ムダ・ムラ」が発生しやすくなります。例えば、
- 一人では完遂不能な仕事を抱えている社員はいないか。
- 社員によって負っている仕事量に差はないか。
- 業務遂行において不要な手順が多くなっていないか。
- 外注化やシステム化などで負担軽減できる作業はないか。
など、できるだけ多くの問題点を把握することが大切です。
特に外注化やシステム化については、「他の人が担っても直接経営に影響しないが、社員にやらせると非常に効率が悪くなる」という事柄に対して実施するとより恩恵を受けやすい部分です。
2.業務の棚卸し
できるだけ明確に問題点を把握するためには、とにかく情報収集がカギとなります。
社員、部署、現場、ポジション、支社など属する単位や状況ごとに置かれている立場が異なり、発生する問題も一様ではありませんので、すでに起きている問題、これから起こりそうな問題に対する迅速な解決など、情報収集のスピードが結果を左右します。
3.比較と共有
社員間、部署間では常に情報の比較と共有を心がけましょう。処理スピードの速い人や、タスク処理の迅速な部署は他と比べて何か工夫していることがあるかもしれませんし、社員Aと社員Bでは業務遂行手順に違いがあるかもしれません。
それぞれの状況を比較し共有された情報は小さなヒントとなり、全社共通で取り組む際に大いに参考になります。
また、市況や他社が発表する財務諸表などを参考にすることができるなら、積極的に自社との比較を行って違いをあぶり出すこともしてみましょう。その結果、他社と比べて人件費がかさんでいるということがわかった場合、当該業務を外注化あるいはシステム化することで改善する可能性があるということにもなります。
自社の弱点は他社と比較することで、明確になる場合があります。定期的に「業界の中の自社」を客観的に見る機会を持つようにしましょう。
まとめ
前述の「QCD」(品質向上、コスト削減、お客様のもとに商品・サービスを届けるまでの時間的な効率化)を改善していくことこそ、業務改善の核となります。
「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけてはどんどん削減、あるいは別手段に変えるなどして、常に気持ちのよい業務の流れを実現する取り組みを行うことが大切です。
さらに、業務フローを一元管理できるERPを導入すれば、特に時間的・作業的なムダが削減されることが期待できます。その結果、何らかの問題発生を全社で迅速に把握することができますし、特定社員のムリやムラを発見・改善しやすくなり、現場で起こった問題にその場で解決を図るようなこともできるようになるでしょう。
キーワードは「情報のリアルタイム共有」にあります。
「部署や現場を超えた一元的な情報管理をリアルタイムで行いたい」、「ヒアリングや度重なる会議を省いた迅速な解決提案を可能にしたい」、というニーズが強くなってきた時、多くの企業はERPの導入・運用を検討しはじめるのです。
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