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2019年05月29日(水)

『経営に役立つ“管理会計”』第一回:“管理会計”できていますか?

経営ハッカー編集部
『経営に役立つ“管理会計”』第一回:“管理会計”できていますか?

皆さま、はじめまして、公認会計士・税理士の矢野と申します。この連載では、経営者の皆さまと、「経営に役立つ“管理会計”」について考えていきます。

第1回目の今回は、「経営に役立つ“管理会計”」とは何かをお伝えするために、皆さまへの「“管理会計”できてますか?」という問いとともにスタートしたいと思います。

1.“管理会計”できていますか?

経営者の皆さまは、「あなたの会社は、“管理会計”できていますか?」と聞かれた時に、どのように答えるでしょうか。
簡単なチェックリストをつくりましたので、答える際の参考に、ご自身の会社の状況を確認してみてください。

経営に役立つ管理会計チェックリスト

いかがでしょうか?

すべて☑(できている)ということであれば、“管理会計”を会社経営に活かすことができていると言えます。

一方で、ひとつでも☑がつかないものがある場合には、今後、“管理会計”を活かして、会社の業績をさらに向上させたり、経営を安定化させたりすることができるはずです。
ぜひ、これからの連載を読んでいただき、 “管理会計”を、より一層経営に役立てていただければ嬉しいです。

2.経営に役立つ“管理会計”とは?

先ほどから、「経営に役立つ」というニュアンスの言葉を何回か使っていますが、「経営に役立つ」というのが少々抽象的かと思いますので、コラム第1回目の今回にはっきりとお示ししておきます。

このコラムでは、「経営に役立つ“管理会計”」を、「経営者の方が自信を持って経営判断を下すために参考となる情報を提供するもの」と意味づけたいと思います。言い換えれば、“経営判断の材料”です。

では、どのような情報が、“経営判断の材料”になるでしょうか。

例えば、会社の進むべき方向として決定した「事業計画や予算」と、現状の進捗状況とを見比べられるような「予実管理データ」はどうでしょうか?

もし、「予実管理データ」が欲しいときに手に入らない場合、経営者として何となく事業がうまくいっていない雰囲気は感じ取れていても、何がいけないのかはっきりと認識することができず、必要な対応も明確でないまま、何となくの感覚で対応策を考えなければならなくなってしまうかもしれません。

一方で、一度決めた目標に関する進捗状況が「予実管理データ」によってすぐに把握できれば、その目標を達成するために、これから必要なことは何か、自信を持って経営判断を下すことができるのではないでしょうか。

また、「資金繰り予測」も、経営判断に必要な材料となります。

 「今がチャンス!新規事業に打って出よう!」
 「ここは資金を投じて業務改善をしよう!」

新たな経営判断には、資金的に先行投資が必要な場合がありますが、その投資を行っても会社の財政状態に問題はないか、将来的な資金繰りの予測ができていないと、常に不安を抱えたままの判断となってしまいます。
もし、「資金繰り予測」の情報が、欲しいときに手に入れば、「今がチャンス!」という経営者の勘を、資金的な安心感のもとで発揮できるのではないでしょうか。

このような「予実管理データ」や「資金繰り予測」は、あくまでも一般的な管理会計情報です。会社の業種業態、会社が置かれている環境、会社の経営状態などによって、経営者の方が経営判断のために必要とする情報は多種多様かと思います。

もし、今、皆さんが、自信を持った経営判断を下すために欲しい情報が得られていないとしたら、それは、会社の管理会計力を高めて、業績をさらに向上させるチャンスです!

3.“管理会計”の大前提

「経営に役立つ“管理会計”」を実践していくためには、PDCAサイクルをしっかりと回すことが重要です。経営者の方々にとってはお決まりの表現かと思いますが、今一度、下の挿絵をご覧ください。

≪チェックリストとPDCAサイクル≫

チェックリストとPDCAサイクル

冒頭のチェックリストの質問項目をPDCAサイクルに割り当ててみました。今回は、簡単な問いとなってますが、それでも、もし、☑がついていない項目があるとしたら、もっと効果的にPDCAサイクルを回すことができる可能性があるということです。

また、変化の激しいこの時代に、PDCAサイクルは役に立たない、という声も聞こえてきそうですが、一度立てたP(計画)に固執してしまうことや、PDCAサイクルを回すのが遅い場合に問題が出てきてしまうのであり、やはりPDCAサイクルは会社経営には必須であり、そのPDCAサイクルを確実に、そして高速で回していくことが会社経営には必要だと私は思います。

次回以降のコラムでは、PDCAサイクルの大切さと、PDCAサイクルを回すための“管理会計”についてお伝えしていきます。

また、確実に、そして高速にPDCAサイクルを回すためには、考え方に加えて、それを実現できるようなツールも必要です。例えば、私がオススメしているクラウド会計freeeは、C(確認)のフェーズにおいて、「効率的に、迅速に現状把握をする」のに最適なツールです。使い方を工夫したり、他の業務ソフトと連携して使用することにより、現状をまとめるスピードが格段に速くなり、必要な情報が必要なときに入手できるようになります。

それに加え、今年の7月にリリースされた、プロフェッショナルプランには、待ちに待った「予実管理機能」が実装され、今後は「資金繰り予測機能」も充実していくということなので、ますます経営に役立つ管理会計機能を備えたシステムに育っていくことになります。

このコラムでは、“管理会計”の考え方の話だけではなく、ツールの話も交えながら、会社経営に必要なPDCAサイクルを、柔軟に、そして高速で回していくために、どのように管理会計の体制をつくっていくと良いか、について書き進めていきます。会社の管理会計レベルを向上させ、業績アップにつなげたい経営者の皆さま、ぜひ今後の連載にご期待ください!

執筆者:矢野裕紀(やの ゆうき)

公認会計士・税理士

矢野会計事務所/代表
つながるサポート株式会社/代表取締役

矢野会計事務所では、クラウド会計freee活用支援を主軸に、“数字や仕組み”でお客さまの目標達成をサポート。つなサポでは、~1/1のひとつなぎ~をテーマに、“場づくりやひとつなぎ”を提供。

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