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2014年04月01日(火)

中小企業が大企業に勝つ!下剋上フレームワーク ベスト5

経営ハッカー編集部
中小企業が大企業に勝つ!下剋上フレームワーク ベスト5

フレームワーク

経営フレームワークというと、資本があって人材も豊富な大企業が、戦略コンサルタントに高いお金で依頼して分析、実行するというイメージがありませんか? しかし、実際には、経営フレームワークはもっと小さな会社でも気軽に使えるものです。

それどころか、個人事業や、中小企業が大資本と戦うために有効なフレームワークもたくさんあります。ここでは、中小企業が大企業に打ち勝つための、おすすめ下剋上フレームワークBest5を紹介します。

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第5位 PDCAサイクル

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『これだけ!PDCA』

最近今まで以上によく聞かれるようになったPDCAサイクルという言葉ですが、その起源は古く、第二次世界大戦、品質管理の文脈で使われたのがはじまりです。

  1. Plan,計画
  2. Do,実行
  3. Check,検証
  4. Action,改善

の4つのサイクルを素早く回して、継続的に業務を改善していく流れを指しますが、近年では、デジタル技術の発達により、PDCAをスピーディーに回して改善することが可能になっています。WEBやアプリでは、実行から改善までの速度も早く、また取得するデータ度も情報技術の発達で情報の精度が高まっていることから、検証や改善に繋ぎやすいという点も大きいでしょう。

PDCAについては、組織の大きな企業では、偉い人が決めたプランの変更を簡単にできないことから、PDCAがうまく回らなかったり部所間の調整で、スピードが遅いなどといった現象が起こることが多く、小回りがきき現場主義のスモールビジネスの方が力を発揮できるケースが多くなっています。 PDCAの円滑な運用には、Plan段階でのKGI(key goal indicator)とKPI(key performance indicator)の適切な設定と、その後の柔軟な変更が重要です。

 

4位 戦略ストーリーの5C

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『ストーリーとしての競争戦略』

楠木建のベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』に出てきた概念。

  1. Concept(一言で何を提供?)
  2. Conponent(競合他社との違い)
  3. Critical Core(真似されにくい理由)
  4. Competitive Advantage(なぜ儲かるのか?)
  5. Consistency(話がちぐはぐでないか?)

以上の5つを指し、これらを基準にした魅力的なストーリーを保持している企業は競争に強いと説いています。 近年の潮流として、消費者は情報多寡の中から、シンプルで分かりやすいもの、信用できる一貫したストーリーを求めている傾向があります。 すでに、複数の事業部を抱えている企業に比べ、小さな会社はしがらみの少なさから、一貫したストーリーを作り、社内外に浸透させるチャンスを多く持っています。 逆に、大企業が強力な「ストーリー」を作り出すときは、企業が危機的な状況の中で強いリーダーシップを持ったCEOが就任する時などに多く見られます。

 

3位 戦略キャンバス

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『ブルー・オーシャン戦略』

経営理論の名著『ブルーオーシャン戦略』の中にでてくる分析方法です。 ERRC(Eliminate(なくす)、Raise(増やす)、Reduce(減らす)、Create(付け足す))を活用して、横軸に比較する企業の競争要素を並べ、縦軸で実現している価値の高低をあらわします。

一般の分析概念で競合との調査をすると、あらゆる要素での勝ち負けを意識して分析をしてしまいます。戦略キャンバスでは、むしろ、必要ない競争要素は思い切って減らし(Reduce)たり、なくして(Eliminate)、その分他社が持っていない価値を増やし(Raise)たり、付け足したり(Create)します。 このようにして、キャンバスの価値曲線を大きく変えていくことで激しい競争を避けて新しい市場を創造できるという考え方です。 真っ向勝負が難しい、小さな会社が事業分析やアイデア出しをする際に大変便利です。

戦略キャンバスがオススメなもう一つの特徴は、会計や経営の専門的な知識がなくても、気軽にキャンバスを書いて、競合比較などをすることができる点です。むしろ先入観がない人ほどユニークな戦略キャンバスを描くことができるかもしれません。

ためしに、スマートフォンゲームと、従来の据え置き機ゲームの価値曲線をサンプルで作成したのものをお見せします。 人によって、数値や比較の内容は変わりますがそれでOKです。 何となく、ゲームの仕組みについて知っていれば理解できたり、図を作れたりするのがポイント。とにかく事業分析のトレーニングになります。

 

スマホゲームと、ゲーム専用機の比較(分析したのは、今よりちょっと昔です・・・)

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2位 ランチェスター戦略

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『ランチェスター戦略 (ビジネスCOMIC)』

名前を聞くと海外から輸入された経営戦略に見えますが、実は、和製の経営戦略です。フレデリック・ランチェスターによって作られた戦闘の数理モデルを、経営理論に転用して国内で用いられるようになりました。国内での歴史も古く、60年台、70年台から用いられています。ポイントは、弱者が強者に勝つための戦略が実際の事業で実践可能な内容でまとめられている点です。

【弱者の戦略】 局地戦 接近戦 一騎打ち 一点集中 陽動戦

興味深いのは、弱者の戦略だけでなく、「強者の戦略」も分析されており、強者がどうやって弱者を潰していくかの効果的な方法も体系化されています。これを知ることで、大資本に実際に攻撃される場合どのような状況が厳しいのかシミュレーションすることができます。

ランチェスター戦略のファンは国内の事業家にも多く、関連書の数も膨大です。数十年間支持され続けてきた「弱者が勝つための経営理論」は、今でもぜひ基本として知っておくことをオススメします。

 

1位 イノベーションのジレンマ

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『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』

小さな会社と、大企業が戦ったら、ほとんどの場合は資本力があり、人材も豊富な大企業が勝利するように思えます。しかし、現実には、新興勢力の企業が、勢力図を乗り換えるということが頻繁に起きています。近年その速度は、さらに早くなっているように思えます。その理由を、衝撃的な内容で分析したのが、クレイトン・クリステンセンの書いた『イノベーションのジレンマ』です。

一般的に、大企業が凋落する理由は、リーダーの無能や、組織の官僚主義による非効率化、イノベーション技術を生み出す力の欠如などと捉えがちですが、クリステンセンは、そのいずれも異なると述べています。むしろ、リーダーの能力が高く、イノベーションを生み出す技術力や、優秀な組織力をもっていると、それゆえに新興勢力に敗れると述べています。

キーワードは、「環境変化」ということになるのでが、この内容については、ぜひ著書を手にとって目を通していただきたいと思います。 新興企業が、大資本に勝利できる必然性というのを理解できるだけでも、大きく励まされるでしょう。

 

*今回は、ビジネス・マーケティングの読書会bizimaを主宰している、 山田案稜さんに、中小企業に最適のフレームワークをセレクトしてもらいました。セレクトは、山田さんが監修している『考える仕事がスイスイ進む 「フレームワーク」のきほん』に掲載されているフレームワークです。

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『考える仕事がスイスイ進む 「フレームワーク」のきほん』

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