オウンドメディアの効果的な運営に必要な3つの要素
自社でウェブサイトやブログを構築し、定期的に情報を発信することで、自社の認知度を高めたり、既存および潜在顧客との関係性を深めようという取り組みは、企業規模の大小や業種、業態を問わず、広がっています。しかしながら、このために費やすコストや負荷に対して、十分な効果をあげている事例は、けして多くありません。
では、自社のウェブサイトやブログといった、いわゆるオウンドメディア(Owned Media)を効果的に活用するためには、どのような点に留意するべきなのでしょうか。
[目次] ■1)オウンドメディアとは? ■2)オウンドメディアを効果的に運営するための3つの要素
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■1)オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社のウェブサイトや企業ブログ、メールマガジンなど、自社が所有し、運営するメディアのこと。新聞・雑誌・テレビの広告やインターネット広告といったペイドメディア(Paid Media)、オンライン上の口コミ・シェア・レビューや第三者メディアによる報道などのアーンドメディア(Earned Media)と異なり、直接かつ完全に自社でコントロールできる点が特徴です。
また、オウンドメディアは、ペイドメディアやアーンドメディアに少なからず影響を与える“基地”のような役割を担っています。すなわち、オウンドメディアを通じて、既存および潜在顧客が求める情報・コンテンツが発信できれば、アーンドメディアで採りあげられやすくなりますし、オウンドメディアの良質な情報・コンテンツがペイドメディアを介してより多くの顧客層に届けられれば、認知度の向上や新規顧客の獲得にもつながるのです。
■2)オウンドメディアを効果的に運営するための3つの要素
1.コンテンツ
オウンドメディアにとって、コンテンツは“生命線”。既存顧客のみならず、潜在顧客を含めた読者全体のニーズを正しく把握し、読者にとって有益なコンテンツを定期的に配信し続けることが必要です。コンテンツの質と量を担保するためには、記者やライター、専門リサーチャーら、外部人材の柔軟な活用も一考の余地があるでしょう。
たとえば、米リバティー保険(Liberty Mutual Insurance)では“責任(Responsibility)”をテーマとしたウェブサイト「The Responsibility Project」を開設し、家庭・教育・健康・仕事などにまつわる様々な記事を配信。また、コクヨ株式会社は、ワークプレイスを中心とするオンラインマガジン「ワークサイト(WORKSIGHT)」を運営しています。
2.コンテクスト
コンテンツは、メディア上で独立して存在するわけではなく、それぞれが連関し合い、文脈(コンテクスト)を紡ぎだします。それゆえ、出版者や編集者のような視点から、コンテンツ相互の関連性や整合性、トーン&マナー(スタイルや手法)の継続性などに配慮し、メディアとしての一環性を担保することが望ましいでしょう。
3.コミュニティ
オウンドメディアの利点は、定期的に配信される情報やコンテンツを介して、既存および潜在顧客と直接つながり、関係性を深めることができること。一方的な情報配信に終始することなく、読者との双方向のコミュニケーションを重視し、読者からの声に耳を傾けましょう。
世界中のユーザーがランニングの履歴などをシェアし合うオンラインコミュニティ「NIKE+」や、無印良品に関する顧客からの声とその対応履歴を“みえる化”する良品計画の「IDEA PARK」のように、ユーザー参加型の仕組みをメディアの機能のひとつとして導入している例もあります。
オウンドメディアが有するコミュニティ機能を最大限に活用するためには、中長期的な視点から「読者、ひいては既存および潜在顧客との間で、どのような関係性を築くべきか?」を描き、企業・顧客といった立場を超えて、オウンドメディアが形成するコミュニティ全体を管理・運営する“コミュニティ・マネジメント”のような役割が必要となるかもしれません。
このように、オウンドメディアの運営にあたっては、執筆・編集・コミュニティマネジメントの3つの要素を備えた上で、中長期にわたって地道に取り組み続けることが望まれます。
Text = 松岡由希子
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