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2016年09月15日(木)

テクノロジーで広がる飲食店経営の選択肢「西荻窪クラフトビール屋Project」(前編)

経営ハッカー編集部
テクノロジーで広がる飲食店経営の選択肢「西荻窪クラフトビール屋Project」(前編)

image02 個人経営の飲食店が多く軒を連ねる西荻窪。そこにクラフトビールを気軽に楽しめるバー「西荻窪クラフトビール屋Project」があります。オープンしてから今年の8月で2年。

「この道を帰る人を大事にしたい」というオーナー陣や店長の思いのもと、夜な夜な人々が集います。オーナー全員が飲食未経験のIT系のなか、「使えるツールは使おう!」と開店当時から「freee」と「Square」を導入しました。

お店の立ち上げの経緯やITツール導入で助かった点など、店長の福元幸佑さんにお話を伺いました。

飲食経験者ゼロ! 5人の共同オーナーでスタート

- お店ができた経緯を教えていただきたいんですが、オーナーや店長は元々お知り合いなんですか?

オーナーは全員で5人でして、大学時代からの仲間でみんなIT界隈にいます。オーナーの一人と僕は飲み仲間でした。

オーナー陣の中の一人の転職が決まって、ある日渋谷に集まって酒を飲んでいたそうなんです。仲間の中に一人クラフトビール好きのエンジニアがいて、昔から冗談で「独立して一緒に組んで仕事するにはどうしたらいいの?」って話をしていたらしくって。「ビール工場のある会社だったらいいよ」って言われ「ビール工場は無理だけど、ビールバーだったらいけるんでは?」という話になって、「じゃあ作ろうよ」となったのが経緯らしいです。

image04 店名は、お店を立ち上げる前のプロジェクト名「西荻窪クラフトビール屋プロジェクト」が、そのまま残りました。オーナー陣がGoogle documentの表題に「西荻窪クラフトビール屋プロジェクト」って書いて、どんなことをやるか書いていったそうです。メニューの中身や価格帯とかいろいろ考えていたのに、誰も店名を考えてなかったんですね(笑)。

オーナーには飲食経験者が一人もいなくて、会計やレジなど現場のことはわからないので、「使えるツールは全部使おう」ってなったようです。

Squarefreeeもそうですけど、中小企業、個人事業主が、本当は気にしなくて済むことを気にしないでいられるツールが増えてきていますよね。以前は飲食店を持つとしたら、料理ができて、酒が選べて、会計がわかって、接客ができて、掃除ができて … そういうの全部ができないといけなかった。今は、テクノロジーに任せられる部分は任せるようにしてます。

テクノロジーが営業後の振り返りを促し、現金決済並みのキャッシュフローを実現する

- オーナーが5人と関わっている人が多いですね。Squareを使っているからできること、例えば売り上げ共有など、今までのお店とは違う点はありますか?

前の店では、総料理長とか店長が数字をまとめた後、メールでやりとりするというところがあたんですけど、そういう手間は省けていますね。 image03

- 業務が楽になった点はありますか?

手間がないのがありがたいですね。小さいお店では紙の伝票でとって、束にしておいて、帰宅前に全部電卓を叩いて売り上げを出す作業があるのですが、深夜なのでなにしろ眠いんですよ(笑)。営業は朝3時までで、お客さんからいただいたお酒を飲んだりしながら仕事をすることもあるので、ふわっと酔っ払っているときもあります。

酔っ払っていると正確に計算ができません。そこで一回寝ると朝7時になっていて、そこから必死に電卓を叩いて、8時になってようやく家に帰れます。その作業がないだけでかなり助かります。

キャッシャーのレジだと、結局1日終わった後に、バーッと出てきてそれをまたパソコンに入れなおすってことをやってるんですけど、ハッキリ言って手間です。Squarefreeeを使うとデータは勝手に入ってくれるので、閉店後の重い作業が一つ減ります。眠くなかったら遅くてもまた飲みに行きたいですしね(笑)。

- freeeを使っていて、便利なところや困っているところはありますか?

最初はfreeeをそんな細かく使ってなかったんですよ。税理士さんは個別のシステムに入力していて、ここではfreeeに入力しています。でも、仕分けされた時に「何この4万円って?」とか「このお金、何に使ったんだっけ?」と、「何が合ってて合ってないかの振り返りができない」っていうのが最初の頃はありました。

仕訳の項目が、僕たちの認識と合ってなかったんですね。僕たちは慣れていないのもあるし。明細を渡してやってもらっても、それだと分析ができなくて。明細のレシートを写真に撮ってfreeeに上げてもらうようにして、それで追いかけられるようにしていきました。Squareのレジデータと同期設定しているので、レジからの打ち込みがないのが楽です。経費はレシートから入れて、そのあと自動処理されます。 image06

- 従来のカード決済だと振込は翌月、Squareは最短翌営業日入金、遅くても一週間後ですが、スピード感はどうですか?

そうじゃないと、資金繰りの計算がもっと面倒臭いですよね。現金決済と同じ感覚で使えるのはすごく良いです。入金サイクルの問題もクリアしているし、カードに対応できないよりできた方がいい。

従来の「ガチャン」ってカード決済の機械を入れてるお店の人が「入金が翌月なのがね...」とボヤいているのをちょこちょこ聞きます。Squareに替えればいいのにって思うけど、「なんか面倒そう」という先入観がまだあるみたいです。

でも、申し込むだけですぐできるんですから、導入しない理由がありません。普通のキャッシャーを買うより全然少ない投資でカード決済までできちゃうのに、なぜやらないんだろうって思います。既存の店だと、キャッシャーはあるけど、新規開店に限って言えば、iPadを一台入れる方が断然安いし、キャッシュ・ドロワーを入れてもまだ安いんですけどね。

- テクノロジーを駆使して、他にどんなことが効率化できたら嬉しいですか? 

夢物語としては、掃除は自動化したいですね!物理的なメンテナンスは自動化したり、自動化もしくは、可能な限り外注できるようにしたい。

あとは、顧客管理ができるようになったらうれしいです。顧客情報は僕の頭の中には入っているんですけど、バイトの子は全員を覚えてはいないので、そういった職人芸を自動化したいです。その情報をみんなで共有できたらなと思います。

この道を通る人のために、ちょっと個性的で、美味しいビールを

- ところで、Projectのお店のコンセプトはなんでしょう?

ふらっとやって来て「ビール」と注文したお客さんが、「なにこれ、すごいうまいじゃん!」ってなってくれるお店。ここでクラフトビールを飲んでもらって、美味しさを発見してもらうことを狙っています。

マニアックすぎないけど良いものが飲める、食べられるお店。クラフトビール屋ってタップがたくさんあって、店主に「どれにしましょう?」って言われてもお客さんもなんて答えたらいいかわからないんです。そんなお店にはしたくなかった。普通のビール屋とクラフトビール屋の間を目指しています。どのお酒にしても、チェーン店で飲むより、ちょっと美味しくてちょっと個性的なものを出しています。

- お客さんはシンプルにオーダーできるんですか?

ビールは3種類だけで、樽代わりです。1日では飲みきらないので、4、5日くらいで次の樽を入れます。 image05

後編に続きます!

西荻窪クラフトビール屋Project(facebook twitter) 住所:東京都杉並区西荻北2-2-11

文:馬場加奈子 写真:鈴木渉

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