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2016年12月07日(水)

資金繰りを改善する方法

経営ハッカー編集部
資金繰りを改善する方法

基本 RGB

毎月支払日が近づくとあたふたしていませんか? 自転車操業からの脱出方法は無いのでしょうか。支払いが滞ると、企業の信用問題です。なぜ資金繰りが厳しいのかの原因を考え、潤沢な資金が無くてもできる資金繰りの方法を探ってみましょう。

勘定合って銭足らずとは?

企業の業績を判断するのに損益計算書があります。売り上げから仕入れや経費を差し引いて、実際にどのくらいの利益が出たか判断します。損益計算書が赤字になると、経営者は不安になります。しかし、損益計算書が黒字だから安心かというと、そうでもない場合があります。

「納品をして売上は立ったけれど、回収は2か月後になってしまう」といったケースはひんぱんに起こります。そんなとき、経費や仕入れ代金が支払えなくなると、「勘定合って銭足らず」となり、下手をすると「黒字倒産」という事態を招いてしまいます。      

その原因はどこに? -1(掛売、掛け仕入れが一般的な日本の商習慣)

「勘定合って銭足らず」になる原因は、売掛金の回収時期と、仕入れ代金の支払い時期や、支払手形の決済日がうまく連動していないからです。日本の商習慣では、商店など一般消費者を相手にしている場合を除き、掛売、掛け仕入れが一般的です。

起業間もない会社の場合、社会的信用が不足しているために、仕入れは現金で、売上は掛売上げ(売掛金の発生)というケースがまま見受けられます。この状態で漫然と支払いを行っていると、いずれ資金繰りにひっ迫してしまいます。

今月の売上が100万円あったとしましょう。それに対する仕入れ代金が50万円、給料などの経費が45万円、利益が5万円として例を上げます。

・仕入れは先月に行っています。50万円の支払いは今月の末です。 ・給料などの経費の45万円は今月分を今月支払います。 ・売り上げ100万円が入金になるのが、来月です。 ・そうしますと、今月の現金の収支はマイナス95万円です。 ・来月の現金の収支はプラス100万円です。       差し引けば5万円の利益が出ていますが、今月は現金を95万円どこからか持ってこないといけません。手形が決済できなければ、銀行取引停止などの怖い事態になりかねません。

その原因はどこに? -2(資金不足に陥るリスクはたくさんある)

資金不足に陥るリスクとして、考えられることは、

・原材料の値上がり分を価格に転嫁できない ・売上そのものの減少、過剰な値引き ・代金回収の遅延。売掛金の増加 ・過剰な設備投資と過剰な在庫、不良在庫の増加 ・急激な売り上げの拡大 ・借入金過多

などがあります。

その他に資金繰りが悪化する原因として、売上代金が回収できなくなる取引先の倒産というリスクもあります。これは経営(資金繰り)に与えるダメージは大きいので、事前の与信調査が大事になります。取引先とこまめに接触することで、倒産しそうな状況にもいち早く気付くことができます。

中小企業基盤整備機構に「経営セーフティ共済」という、取引先の倒産に対するつなぎ資金をする制度があります。月々に積み立てをしておくと、無担保・無保証人で必要な資金を迅速に融資してもらえます。万一に備えるために、この制度はぜひ検討していただきたい制度です。

改善方法の具体例

資金繰りを悪化させる原因が分かれば、改善方法は自ずと見えてきます。回収できる資金の範囲で支出を図ればいいわけですから。

ここで、資金繰り表が重要な役割を持ってきます。資金繰り表と言うと、苦手意識が出る人も、様式に拘らず自分なりの入出金の予定を、3か月先までで良いのでエクセルで作ってみることをお勧めします。いつ頃資金が不足するのか、その後はどうなのかの見当が付けば、打つ手も見えてくるというものです。

在庫の調整も資金繰りで重要な役目を持ちます。とかく経営者は損益計算書が黒字になっていれば、在庫金額の増加に目をつむりがちですが、適正なものが在庫されているのか、在庫管理にかかる費用などに注意を払うことも、資金繰りに欠かせません。

見逃しやすいのが売り上げの急増です。売り上げの急増は会社全体が活気づきますが、仕入も急増することを頭に入れておいて下さい。さらに増加した売り上げに対処するための、人件費を含む経費も上がります。目先の売上に気を取られて、資金のバランスを崩さないようにします。

新しく設備投資をしようとするときは、綿密な計画を立てるものと思います。大きな設備投資をする時は、金融機関からの長期借り入れで賄うこともあるでしょう。この場合、月々の返済金額だけでなく、返済期間と減価償却での耐用年数も考慮に入れてください。金融機関でもその部分は把握していますので、原則耐用年数よりも長い返済期間は設定しません。

そこで返済期間を耐用年数より極端に短く設定すると、減価償却費よりも返済金額が上回るケースが生じます。こうなると、せっかくの利益部分が返済金に回りますので、手元資金が不足してしまいます。返済期間も十分考慮して決定してください。

まとめ

営業畑出身の経営者は、とかく売り上げや損益計算を重視しがちですが、資金を上手に回すのも経営者の仕事です。売り上げを上げることだけにとらわれず、現状をキチンと捉えて、経費節約や仕入れの圧縮などを図るのも良い方法です。支払期限の延長も入金と支出のバランスを考える上で重要な考え方です。

各種の助成金は、返済の必要のない資金になりますので、自分の事業に合ったものが無いか調べてみるのも、良いでしょう。

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