中小企業の経営者が優良なWeb制作会社を見極める方法

株式会社ユーティルの岩田と申します。
弊社はWeb制作会社のマッチングプラットフォーム「Web幹事」を運営している会社です。
Web幹事にによる連載第二回。
本記事では「良い制作会社の見分け方」をテーマにご紹介します。
※第一回「悪徳Web制作会社にぼったくられないために!簡単にできるチェック方法お伝えします」もぜひご覧ください。
「最初は良かったけど、いざ依頼してみたら思い通りのホームページができなかった」
「担当者が全然説明してくれなくて、知らないうちに取り返しがつかない状態になっていた」
など、発注後に苦労されている会社や経営者さんをしばしば見かけることがあります。Web制作は専門的な部分も多く、依頼前に優良な業者を見分けるのは難しそう…と思われる方も多いかもしれませんが、そんなことはありません!
専門知識がなくても、優良なWeb制作会社を見極める方法はあります。その方法について解説します。
ホームページ制作は「Webディレクター」が大事
良いWeb制作会社を見極めるには「良いWebディレクターを見極める」ことが最も近道と考えます。
ホームページ制作において「Webディレクター」は非常に重要な役割を担うからです。
そもそも「Webディレクター」とは、プロジェクトにおいて「ディレクション=方向付け・指示出し」を行う人を指します。プロジェクト全体の内容を把握して、クライアント含めた様々な登場人物の指揮を取る…人ですね。
様々な業界で”ディレクター”という職種は存在しますが、Web制作において「Webディレクター」は非常に広い業務を担当します。
以降、ホームページの現場におけるWebディレクターの役割について見ていきましょう。
ホームページは「家づくり」に近い
Web制作は、インターネット版「家づくり」と言って良いほど建築と構造が似ています。
家づくりはざっくり下記のような流れで行います。
- 実現したい暮らしや生活を施工主からヒアリングする
- ヒアリングした内容を実現できる設計図を書く
- 設計図から内装と外装のデザインをつくり、完成予想図をイメージする
- 実際に施工を行う
ホームページの制作も、工程はほとんど同じで下記のような工程を経ます。
- ホームページを通して実現したいことをクライアントからヒアリング
(集客・ブランディングなど)する - ヒアリングした内容を実現できる設計図を書く
- 設計図からホームページのデザインを行う
- 実際に開発を行う
家づくりの場合「①実現したい暮らしや生活をしっかり決める」ことの重要性は広く認識されており、クライアントも実際に熱心に業者にイメージを伝えるかと思います。
しかし、ホームページ制作になると途端に疎かになります。(Web制作は家づくりに比べて「後から変更できる」と思われがちなのが大きな原因かと思います)
この「非常に重要だけど、疎かにされがち」なヒアリングを行い、設計図を書く役を担うのがWebディレクターです。
Webディレクターは「設計士&現場監督」の役割
加えて、Webディレクターは「設計士」の他にも重要な役割を担います。
- クライアントの要望を引き出す
- 開発の進捗を管理する
- クライアントの要望と現場の調整を行う
会社によっては営業から提案・受注・設計・進捗管理を一貫して担当するケースも少なくありません。
つまり、Webディレクターは、プロジェクトの入り口から出口まで関与し続ける唯一の存在。「設計士と現場監督を兼任する役割」がWeb制作におけるディレクターと言えます。
WebディレクターがWeb制作において非常に重要な役割を担っていることをお分りいただけたでしょうか?
良いWebディレクターとは?
ここまで、細かくWebディレクターの役割に触れて来ましたが、彼らのミッションは
「クライアントや自社のエンジニア・デザイナーを巻き込んでプロジェクトを成功に導くこと」
上記のミッションをしっかり担ってくれるWebディレクターを見極めることができれば、プロジェクトをスムーズに進めることができそうです。
では、どうすれば上記のような業務を品質高くこなしてくれるWebディレクターかどうかを見極められるのでしょうか?
【専門知識不要】良いWebディレクターを見極める方法
ポイントは「ホスピタリティ」です。
具体的には4つあります。
1.【良いWebディレクターを見極める方法】初回面談時にしっかりヒアリングしてくれるか
ホームページは、家づくりと同じく「フルオーダーメイド」で作成をしていきます。
(一部、テンプレートを用いて格安で制作を行う事業者も存在します。)
そのため、「クライアント」が実現したいことをどれだけ細かく理解できるかが、制作において非常に重要な位置を占めます。新規で打ち合わせをする時間をいただく場合、多くは1〜1.5時間程度。限られた時間の中で、どれだけ多くの情報を引き出せるかがWebディレクターの腕の見せ所となります。
優秀なWebディレクターは、自社の強みやウリなどをいつまでもダラダラと披露せず
- 現状クライアントが困っていることは何か?
- 課題をどのように解決したいのか?
- ホームページを通して実現したいことは何か?
など、とにかく質問をしてくれます。
初回面談の際は「どれだけ細かくこちらの話を聞いてくれるか?」を気にしてみましょう。
2.【良いWebディレクターを見極める方法】専門用語を多用せず、丁寧に説明してくれるか
優秀なWebディレクターは、クライアントの担当者が知らない専門用語でも理解できるように分りやすく説明してくれます。担当者にしっかり理解してもらい、社内で決裁を取りやすくすることが、案件の受注に繋がることを知っているためです。
専門用語・横文字を使うと専門家っぽく見えますが、クライアントに理解してもらえなければ意味がありません。
もし打ち合わせ中にわからない単語が出てきたら、すかさず質問してみましょう。その際、説明が非常に分りやすいWebディレクターは発注後のやり取りもスムーズに行く可能性が高いです。
3.【良いWebディレクターを見極める方法】ちょっとしたやり取りに気配りが行き届いているか
Webディレクターは、作業内容の性質から、クライアントと「やり取り」をすることが非常に多いです。とくにメールやチャットなどのツールを使う場合は、細かなニュアンスを伝えづらいため繊細な配慮が必要になります。
こういった「やり取り」に、どの程度の配慮が行き届いているかで、発注後の「やり取りコスト」が簡単にわかります。(一回で要件が伝わらならなくて、何通もメールをすることになり、やり取りの工数が跳ね上がった経験はありませんか?)
ちょっとした依頼をしてみるとすぐに分ります。初回打ち合わせの後「他にも御社の実績を見てみたいです。よかったら後ほどメールでもらえませんか?」などの簡単なお願いを依頼してみて下さい。
- メールのレスポンスの早さ
- 実績情報の送り方
などを確認すれば、簡単にディレクション能力をうかがい知ることができます。
- 単純にサイトのURLを送ってくるだけ
- サイトのURLに加えて、クライアントが参考にすべきポイントをつけてくれている
この2つだけでも、大きく異なります。些細なメールのやり取りでも気配りができているディレクターの場合、進捗報告など案件の「現場監督」としての能力が高いケースが多いです。
4.【良いWebディレクターを見極める方法】全て肯定せず「〜しない方が良い」と意見してくれるか
会社によって、Webディレクターは「営業」も兼務している場合があります。特に中小のWeb制作会社だと、そのケースが多くなります。営業役を兼務している場合、案件を獲得したいがあまり、クライアントの要望に対して「良いですね!」「やりましょう!」と調子の良いことしか言わないWebディレクターがいます。
- その予算だと、その施策は厳しいですね。
- その施策よりもこっちの方が費用対効果高いと思いますよ。
- それだと効果が出ないので、やめた方がいいと思います。
などネガティブなことでも、しっかり伝えてくれるWebディレクターは信頼できます。発注後も、ことある際に「提案」をしてくれるのはこのタイプのWebディレクターです。
(Web制作の業界に限ったことはないかもしれませんが)
注意点
中堅・大手制作会社は「営業=ディレクター」でない可能性があるので注意
社員数が数十名以上の中堅・大手制作会社は、「営業マン=Webディレクター」ではない場合があります。
せっかく、初回の打ち合わせに来てくれた人がすごく良かったので発注しても、実際の案件の進行は別の担当者が行うことも。
仮に名刺に「ディレクター」や「プロジェクトマネージャー」のような役職が付いていても、案件の担当をしてくれないケースもあります。実際に進行役は誰がやってくれるのか確認しておくと良いでしょう。
※業界的にWebディレクターは会社によって肩書きがバラバラです
・ディレクター
・アートディレクター
・マネージャー
・プロジェクトマネージャー
肩書きが同じ場合でも会社によって実務の内容が違うことも多々あるので、「このプロジェクトはどなたがメインで担当してくれますか?」と質問した方が良いでしょう。
クライアントの準備や対応によってWebディレクターの動きも変わる
ここまではWebディレクターについて書いてきましたが、逆に彼らの視点からも一言。
制作会社のディレクターも「人間」。やはり好き嫌いや相性は存在します。クライアントの準備や対応によって、Webディレクターの対応も変わってしまいます。それによって見積もり金額が変動することもあるくらいです。
- このクライアント、説明に時間とコストがかかりそうだな…(メールやチャットのレスが著しく遅い)
- 丸投げしてきて、何も考えてくれなさそうだな…(やる気が希薄)
- 後から言ってること変わりそうだな…(感覚でモノを言う)
上記のようにWebディレクターが判断すると、通常より金額を高めに設定して見積もりを行うこともあります。(逆に「良いクライアントだ!」と思ってもらえれば、どんどん提案がもらえたり良いこともあります!)
Web制作を発注する際の注意点やポイントはこちらをご覧ください。
準備に必要なものや制作会社の探し方など、あますところなくお伝えしております。
まとめ
- Web制作会社を見極めるには、まずWebディレクターを見る
- Webディレクターを見極めるには「4つのホスピタリティ」がポイント
以上2点を覚えておくだけで、Web制作会社の見極め力がかなりアップするはずです。
もちろん、デザイナーやコーダー、プログラマの方々のパフォーマンスも非常に重要です。しかし、デザインやプログラミングは見極めに専門知識が必要になるのが難しいところ。また彼らの技術がピカイチでも、Webディレクターとのやり取りが上手くいかなければ、良いホームページができないのもまた事実です。
Web制作会社を選定する過程で少しでも、参考になれば幸いです。
Web幹事では、違った角度からのWeb制作会社の選定方法もご紹介しているので、あわせて参照ください。