2019年06月11日(火)1ブックマーク

プロジェクト管理とは?今後ますます求められるプロジェクト管理のスキルとマネジメントのポイント

経営ハッカー編集部
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グローバル化や、IoTによるWebとモノのネットワーク化、AI、5Gなどのテクノロジーの進展による環境変化、シェアエコノミーやオープンイノベーションなどの共有型経済の進展によって、企業活動は他社との共創と、成果を短期間で出すことが求められるようになっています。これにより、あらゆる企業活動がプロジェクト化する方向に動いています。したがって、プロジェクトの成果を出すマネジメントが求められる機会が劇的に増え、今後ますます増えていくものと思われます。今回はそういったプロジェクトの管理について考えてみたいと思います。

目次

    プロジェクト管理とは

    プロジェクト(project)とは、目的、成果物の目標を設定したうえで、一定期間を区切り、一定リソース(人、もの、金、情報、ITインフラなど)を投入して実行する取り組みです。多くは、企業の経済活動の一環として実施されています。もともとprojectの語源はラテン語の「prōjectus」という単語だとされており、これは「前方に投げられた」といった意味を成すことから、あるビジョンや目標に向かって経営リソースを投げ打つといった性格のものであることがわかります。
     
    しかしながら、投下されたものをマネジメントしないと目標は達成できないので、プロジェクト管理が必要だと理解できるのではないでしょうか。

    プロジェクト管理を行う責任者とは

    さて、プロジェクトを管理するマネージャーをプロジェクトマネージャー(PM)といいます。PMの要件としては、一般的にはマネジメント技術を活用し、プロジェクトの提案、立ち上げ、計画、実行、監視コントロール、終結を実施し、計画された納入物、サービスと、その要求品質、コスト、納期に責任を持つといったことが挙げられます。

    プロジェクト管理の動向

    プロジェクトマネージャーの資格者を養成する、特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会によると「プロジェクトマネジメントは、1960年代に米国の軍事、宇宙開発分野で国防省を中心に研究され、その後民間部門でも広く取り入れられ実践されています。米国のPM関係団体であるPMI®(Project Management Institute )は、独自の知識体系ガイド(PMBOK®)を持っており、これに基づくPMP資格保有者は4万5千人にのぼっています。(PMPとは、PMI本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格で、このうち日本におけるPMP取得者も2千人を超えています。)一方、欧州においてもPM能力体系ガイドICB(IPMA Competence Baseline)が文書化、実践されており、その資格保有者は、英、独、仏、スイス、オランダを中心に1万人といわれています」(引用)との報告がされています。
     
    そして、同協会では、国際社会において競争力を失ってしまった日本企業は、従来の「ものづくり」中心の発想から、「仕組みづくり」への転換が必要であり、経営者が先導して企業価値を見直し、新しいビジネスモデルを再構築して、プロジェクトによる「仕組みづくり」に取組むことが必要と指摘しています。
     
    経済産業省では、こういった問題に対応すべく日本型のプロジェクトマネージャーを育成するため同協会に調査研究を委託し、その結果としてP2Mという資格が策定されました。

    引用:特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会

    プロジェクトの多様性

    プロジェクト管理の本質を理解するため、いったんここで多様なプロジェクトを考えてみましょう。プロジェクトの分類は例えば以下のような切り口で行うことが可能です。

    1.プロジェクトの主体者は誰か

    プロジェクトを行うにあたっては、営利非営利問わずさまざまな主体者が存在しています。国際機関や、個別国家、自治体、大学、公益法人、民間企業、個人などです。また、ジョイントベンチャー方式でコンソーシアムを組み、コンソーシアムが主体者となることもあります。

    2.プロジェクトの目的は何か

    ①主体者のタイプによる目的

    人類や世界の福利に資するものか、個別国家の発展に役立つものか、公益法人の公益目標達成をめざすものか、業界団体や個別企業の営利を目指すものか。あるいは、個人の夢を実現するものなのかといったようにさまざまなプロジェクトにはさまざまな目的が存在します。

    ②解決すべき問題による目的

    発生型問題に対処するプロジェクト:災害や事故が起こったので今後起こらないようにする
    探索型問題に対処するプロジェクト:あるべき姿を探索し、現実とのギャップを解決する
    設定型問題に対処するプロジェクト:「空を飛ぶ車」を作るなどチャレンジングな問題を解決する

    3.プロジェクトの関係者の範囲はどこまでか

    学術プロジェクトのように特定の資格者の集まりや、ある情報通信規格を実装する機器を開発するための企業コンソーシアムといった異業種の集まり、個別企業の社員によるものであったりと、関係者の範囲は千差万別です。これらのプロジェクトは、ステークホルダー(利害関係者)が多くなればなるほど、高度なマネジメントを要する複雑なものになります。

    4.プロジェクトの期間はどれくらいか

    プロジェクトの期間もさまざまで、短期のものから長期のものまで幅広く存在します。

    期間 プロジェクトの例
    3か月未満 マーケティングテスト、プロトタイプの開発など
    3か月~1年未満 アプリケーションシステムの開発、人事評価制度構築など
    1年以上 基幹システムの開発、メディアの開発、文化財の修復など
    3年以上 まちづくりプロジェクト、人の教育に関わるもの、規格統一に関わるものなど
    5年以上 基礎科学プロジェクト、国際的なルール変更に関わるプロジェクト、ワクチンの開発、あるいは地権者が複雑に絡む都市の再開発プロジェクトなど

     

    5.プロジェクトの予算規模はどの程度か

    数百万円から数十兆円を超えるものまで、予算の規模も相当に幅があります。1商品のプロモーションから、リニア・モーターカーの敷設、人工衛星の打ち上げなどの宇宙開発、ヒトゲノム計画のように巨大なものまで含まれます。概ね1,000億円以上のものをメガプロジェクトと言うそうです。

    プロジェクト管理のポイント

    このように千差万別のプロジェクトの中で、どのようにマネジメントしていくかについて以下に普遍的な要素を抽出していきます。
     
    どのようなプロジェクトであってもプロジェクト管理の設計段階、実施段階、終了段階があり、マネジメントには以下のようなポイントがあります。

    1.設計段階

    成果から逆算するゴール設定

    プロジェクト管理で最も重要なのがゴール設定です。まずは解決すべき問題を定義し、その問題に対し上げるべき成果を明確化します。(先述の探索型問題に関しては、相手がいるため、両者での問題共有が特に重要となります。)これを言語化し、定量化可能な数値に表現することが重要です。言語化し、定量化することで、アウトプットすべきものの成果目標が誰にでもわかるように可視化され、そこに向かってプロジェクトを設計していったときに関係者全員が一つの目標に向かって進むことができるようになります。

    ゴール設計を盛り込んだプロジェクト設計を行う

    成果目標を達成するための、シナリオを考え、設計書を作成します。プロジェクトが目指す成果を上げるための、必要リソース(ヒト・モノ・カネ)と活動内容(アクティビティ)をブレイクダウンしていきます。次に、それぞれのアクティビティで必要となるリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)の種類と量を算出します。足りないリソースは調達の手立てを考えます。
     
    やや高度なプロジェクトになると、算出したリソースでそれぞれのアクティビティ完了までの所要時間も見積もる必要があります。見積もりの手法として、以下のような手法が用いられます。

    ・類推見積もり:類似した事例を参考に見積もる。時間やコストを省ける一方で、現在のプロジェクト特有の要素が反映されない。また、担当者の力量にも影響を受けやすい。

    ・係数見積もり:過去の情報の蓄積から基準となる係数を設定してモデルを定義。このモデルにプロジェクトを当てはめる。モデルによって精度が大きく異なる。

    ・三点見積もり:トラブルなく作業が進んだ場合の時間を楽観値、通常作業にかかる時間を最頻値、もっとも長くかかった場合の時間を悲観値とし、(楽観値+最頻値×4+悲観値)÷6の加重平均で見積もる。

    スケジュールに落とす

    次にプロジェクトのタイムマネジメントにおける各プロセスを見ていきましょう。アクティビティとは、プロジェクトをコントロール可能かつ、時間軸で測定可能な小さな単位まで分解したものです。全体像を掴みにくい大きな「プロジェクト」という単位を、たとえば「作業内容、担当者、期日」といった形でリスト化(アクティビティリスト)できるレベルまで細分化します。これによって、必要な成果が身近で具体的になるとともに、各アクティビティの所要時間が明らかになることで全体のスケジュール管理もしやすくなります。
     
    次に、アクティビティの順序を設定します。アクティビティの中には、先行アクティビティが完了しなければ次のアクティビティに着手できないものもあれば、並行して進められるものもあります。こういった順序関係を整理するために、「プレジデンス・ダイアグラム法(アクティビティをノードで表現し、アクティビティ間の論理的な関係を矢印で示す)」や、「リード・ラグ(後続アクティビティを前倒しで進められる時間「リード」と、先行アクティビティに対する後続アクティビティの待ち時間「ラグ」を明確にすることでアクティビティ間の依存関係を決定する)」といった手法を用います。
     
    そして、アクティビティ達成のためのスケジュールを作成します。スケジュール作成には、リソースに対する制限を考慮せずに、アクティビティの実行順序を定める「クリティカルパス法」を用います(各アクティビティの最早開始日、最早終了日、最遅開始日、最遅終了日を求める)。スケジュールを作成してプロジェクト全体の終了予定日が算出されたら、当初のプロジェクト完了日に対して調整を行い、「マイルストーン・チャート(主要な成果物・イベントの予定開始日・終了日を記載)」や「バーチャート(アクティビティの開始日、終了日、予定所要時間をバーで表示)」に落とし込みましょう。

    品質基準を明確にする

    プロジェクトの品質を高め、担保するために、プロジェクト全体、またアクティビティごとのアウトプットの品質を管理するために、品質マネジメントを行います。品質マネジメントでは、計画、実行、監視・コントロールの各プロセスに作業を割り当てます。品質マネジメント計画の段階では、プロジェクト主体の要求を正確に把握し、リスクも考慮した上で、品質を担保するためのコストを評価します。高品質であれば、修正が少なく済んだり、生産性が向上したりする可能性も上がります。コストと比較して投資対効果を分析し、品質方針や手順を品質マネジメント設計を行います。なお、このとき品質コストは不良を防ぐための「適合コスト」と、発生した不良に対処するための「不適合コスト」に分けられます。

    ステークホルダーにとってのインセンティブ設計を行う

    大きなプロジェクトであればあるほど、ステークホルダーが多くなります。それぞれの利害関係を明らかにし、関係者のすべてがやる気になるように、プロジェクトのゴールの意味合いを調整する必要があります。
     
    なぜならば、プロジェクトの成功には、ステークホルダーの協力が不可欠だからです。しかし、ステークホルダーの中には、プロジェクトに否定的な人もいれば、消極的な人もいるでしょう。実にステークホルダーごとに、利害はさまざまです。ステークホルダーマネジメントを行うことで、多様なステークホルダーの協力を得られるように努めましょう。
     
    プロジェクトに影響を与えるステークホルダーをリストアップしたら、「権力」と「関心度」によって分類し、各ステークホルダーが現状どのようなスタンスなのか、プロジェクトとしてはどんなスタンスを期待しているのかを定めて分析していきましょう。分析をもとに、プロジェクトの中でステークホルダーとコミュニケーションしながら、彼らのニーズや期待を満たすことで、プロジェクトへの協力を促していきます。プロジェクトの進行につれて、ステークホルダーとの関係性は変わってきますので、都度、マネジメント戦略や計画を調整していきましょう。

    予算を確保する

    設計書をもって、起案し予算を確保します。コストの見積もりは、最終的な成果物やアクティビティから必要なリソースを算出して行いますが、特に大掛かりなプロジェクトほど、見積もり通りに進まないことも多くなります。過去のデータや知見を活用して不透明な情報を補い、見積もりの精度を上げるように努めましょう。(公共事業や大型プロジェクトの場合は競争入札もあり、その場合は募集要領に従います)
     
    コストに記載する項目は、「コスト見積もりの有効桁数(スコープや規模に応じた見積もり精度を決める)」、「コストの測定単位(労働時間数や日数などの測定単位を定義する)」、「組織の手続きとリンク(コントロール・アカウント(コスト管理に用いるWBS要素)と会計システムのコードを紐付ける)」、「コントロールしきい値(コスト実績の許容範囲を定める)」、「パフォーマンス測定の規則(EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)で用いる計算式を決める)」、「報告形式(コストに関する報告の内容と頻度を決める)」、「プロセス記述(コスト見積もり、予算設定、コスト・コントロールのプロセスを決める)」を記載します。
     
    コスト管理の方針や手順が決まったら、いよいよコストの見積もりを行います。アクティビティに必要なリソースに対して妥当なコストを定量的に見積もる必要があり、内製するか委託するかも検討しましょう。
     
    コストの精度はプロジェクトの情報が集まるほど高くなります。見積もりの際は、人的資源マネジメント設計(プロジェクト要員の単価や表彰、報酬を確認)、スコープ・ベースライン(成果物の情報、セキュリティ、ライセンス、許認可など契約・法関係も確認)、プロジェクト・スケジュール(アクティビティに割り当てたリソース、量、期間を確認)などが必要となります。
     
    高度な見積もりの方法としては「類推見積もり法(過去の類似したプロジェクトでのコストから類推する)」、「パラメトリック見積もり法(過去の情報と、他の変数との統計的関係を用いる)」、「ボトムアップ見積もり法(ワークパッケージやアクティビティから工数を見積もり、それらを積算して全体の工数を見積る)」などがあり、プロジェクトに適したものを選択しましょう。
     
    最終成果物をイメージした、アクティビティごとの見積もりをもとに、プロジェクト全体の予算を算出します。アクティビティ・コストの見積もりとスケジュールを照らし合わせて時系列に合わせた予算配分を行い、コスト・ベースラインを作成します。予算は期間ごとに分割して投入されますので、予期せぬリスクへの余裕も含めて、プロジェクト予算を確保しましょう。

    2.実施段階

    プロジェクトのスケジュール管理を行う

    この後、進捗状況を監視し、必要に応じてスケジュールの変更を行っていきます。スケジュール変更の原因となるアクティビティを察知し、調整していきます。スケジュール調整には、パフォーマンスを測定して計画と実績とを比較分析する「パフォーマンス・レビュー」や、クラッシングとファスト・トラッキングによる「スケジュール短縮」といった手法を用います。パフォーマンス・レビューでのパフォーマンス測定には、プロジェクトの計画と実績を評価する「EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)」などを用います。また、スケジュール短縮に用いる「クラッシング」とはリソース投下のことで、「ファスト・トラッキング」はアクティビティを先行して勧めてスケジュール短縮を図る方法です。

    プロジェクトのKPIのマネジメントを行う

    実際には、スケジュールどおりにプロジェクトが進むことの方が少ないと言ってよく、随時、進捗を管理しながら、スケジュールを調整していく必要があります。目的はスケジュールを作ることではなく、スケジュール自体を調整しながら、期間内にプロジェクトを完了させることです。プロジェクトの計画時には不確定要素があることが前提ですので、スケジュール自体を完璧なものにしようとせず、節目ごとに設置するマイルストーンを重視したスケジュールを組みましょう。このため、中間指標であるKPIの設定を行い、その達成を着実にしていけるようにします。

    プロジェクト管理におけるコミュニケーション

    主としてリーダーの役割は、プロジェクトメンバーのモチベーションを常に維持し、高めるためにメンバーに働きかけることです。このため、プロジェクトの成功には、コミュニケーションが不可欠です。失敗したプロジェクトを分析すると、タスク管理やスケジュール管理におけるミスが多いですが、さらによく見ていくと、コミュニケーションの欠如が根本の原因になっているケースがほとんどです。メンバー間の意思疎通が甘いことで、タスクやプロジェクトの完成像が一致していなかったり、改善すべき点やアイデアが共有できなかったりといったことが起こります。これが結果的にプロジェクト全体に影響してしまうことになります。
     
    とはいえ、たとえば連日長時間の会議をすればコミュニケーションが円滑になるわけではありません。ミーティングをはじめ、電話、メール、ドキュメント、オンライン共有ツールなど、さまざまなコミュニケーションツールのメリットやデメリットを理解した上で、適切なツールを活用してコミュニケーションを図りましょう。

    プロジェクト実施成果のエビデンス記述

    結果が良くても悪くてもアクティビティごとの成果の記述を行うことが重要です。失敗は失敗として反省することで次の改善に生かすことができます。また、上手くいった場合のデータの蓄積は、プロジェクトの継続や、予算拡大に向けて強力な説得材料になります。成果の把握を持って、手法の改善を行い、最終成果が確実に出るようにしていきます。

    リカバー策の実施

    残念ながら、予定通り進むプロジェクトは、まずほとんどありません。周到な準備をすればするほど、失敗確率を減らせますが、実際には予期せぬ出来事が必ず発生します。その時には設計書を修正し、柔軟にリソースの再配分を実施する必要があります。

    3.終了(まとめ)段階

    成果物とそのエビデンスの整理、とりまとめと反省

    アクティビティ毎に蓄積してきたデータと共に、成果物を取りまとめた報告書の作成を行います。この報告書には事実を記載する必要がありますが、作成技術によっても次の予算獲得ができるかどうかが変わってきます。

    次なる予算獲得に向けたアクション

    次の予算獲得のためには、中間地点でプロジェクトの主体者(発注者)側に報告を入れつつ、次なるゴール設定と、予算確保に向けた根回しを行っていきます。このときに発注者側のキーマンとの日頃からのコミュニケーションが非常に重要です。

    プロジェクト管理に必要な考え方やツール

    最後によく使われるツールについて言及します。

    PDCAサイクル

    良く知られているPDCAは、もともと製造業の生産活動を向上させるために開発された手法です。よって長期に行われるプロジェクトに適した手法となります。PDCAとは、P=Plan(計画)、D=Do(実行)、C=Check(評価)、A=Act(改善)の頭文字。計画→実行→評価→改善という段階を繰り返して、プロジェクトを継続的に改善していくマネジメント手法のことで、「PDCAサイクル」とも呼ばれます。

    OODA

    短期決戦型のプロジェクトでは、臨機応変な対応が必要となるため、別のアプローチが必要となります。最近改めて有効性が言われているのがOODAです。OODA(ウーダ)とは、O=Observe(観察)、O=Orient(適応)、D=Decide(意思決定)、A=Act(行動)の頭文字をとっています。観察→適応(状況判断、理解する)→意思決定→行動の4段階を繰り返して(OODAループ)、プロジェクトをより高いレベルに引き上げます。「みる→わかる→きめる→うごく」と表現されることもあります。もともとは朝鮮戦争時に米軍のパイロットが提唱した理論で、イラク戦争でその効果が実証され、注目されました。この手法は孫子の兵法や、トヨタ式経営をベースに生まれたとされています。今では、あらゆる分野で適応できる一般理論とまで言われています。

    KGIとKPIの設計

    補足的な説明になりますが、前述のゴール設計の際に用いられるのが、KGIとKPIの設計になります。KGI(Key Goal Indicator、重要目標達成指標)は、最終的な目標が達成されているかどうかを評価するための指標のことです。最終的な目標が曖昧なものでは意味がありませんので、KGIを設定する際には明確な判断基準として具体的な数値や時期を設定することが重要です(「売上を伸ばす」ではなく、何月までに何%や金額など具体的な数値で設定する)。
     
    KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)は、目標(KGI)を達成に向けた中間指標のことです。KGI達成に不可欠な通過点をリストアップし、数値で計測します。KPIの設定には、「Specific(明確姓)」、「Measurable(軽量性)」、「Achievable(現実性)」、「Result-oriented or Relevant(結果思考または関連性)」、「Time-bound(適時性)」の5項目が重要で、頭文字を取って「SMART」と呼ばれています。
     
    KGIが最終的な目標であるのに対して、そこに向けた進捗状況やプロセスを評価するための指標であるKPIを厳密に管理することで、メンバー間の意識や足並みを揃えることができるほか、PDCAサイクルを回しやすくなります。

    ガントチャート

    日常的に使われるようになったガントチャートは、ExcelやGoogleスプレッドシートで作成できるため、小規模プロジェクトに最適です。時間を横軸、作業を縦軸として、作業開始日と終了日を横棒で表し、プロジェクトを管理します。

    コミュニケーションツール

    ミーティングは、コミュニケーションの機会としては最も一般的・基本的なものと言えます。また、顔を合わせて話し合うことで、一体感も生まれやすいですし、細かなニュアンスや表情も伝わり、ミーティングは議論や交渉、アイデアの提案などに向いています。一方で、ミーティングの間中ずっと、すべての参加メンバーに関係するテーマを話し合っているわけではありません。議題に関連性の低いメンバーをミーティングに拘束してしまうことで彼らの作業時間を減らし、プロジェクト全体の進捗に無駄が出ることにもつながります。ほかにも、同時刻に同じ場所に集まらなければいけないなどのデメリットが挙げられます。
     
    電話やSkypeなどのチャットツールは、同じ場所にいない相手と会話ができる利便性の高さがあります。一方で、録音をしない限り、発言の記録(証拠)が残らないというデメリットがあります。声だけで相手のニュアンスを推し量らなければならない点もデメリットと言えるでしょう。
     
    メールは、相手の都合を選ばず、情報や意見を共有できる便利なツールです。一度に多くの人に送ることもできます。内容がテキストとして残る点もメリットです。一方で、文書のやり取りという性格上、真意を伝えにくいこともありますし、そもそも相手に読まれない、いつ読まれるかわからないというリスクもあります。
     
    オンライン共有ツールも、昨今では欠かせないコミュニケーションツールになっています。オンラインやクラウドを活用して、いつでも、どこでも、当事者間で即時に情報やデータを共有できるのは大きなメリットです。一方で、セキュリティに関するリスクや、サーバーやインターネット環境などの外部要因で利用が制限されてしまうリスクも抱えています。

    プロジェクトの人事マネジメントのポイント

    プロジェクトにおけるリーダーの役割

    プロジェクトの成否は、リーダーのマネジメントにかかっているといっても過言ではありません。プロジェクト全体の管理はもちろん、メンバーやステークホルダーのモチベーションを高め、巻き込んでいくこともリーダーの役目です。

    インセンティブの明確化とモチベーション

    プロジェクトにかかわるメンバーそれぞれに、意義や意味、期待する報酬などがあり、それらを見極め、求めるものが得られるようにマネジメントします。メンバーが気持ちよく、高いモチベーションを保って作業できるように、適切にコミュニケーションを取りながら、的確にプロジェクトの進捗を管理・調整しましょう。たとえば、特に担当者を定めていない、誰がやっても良いような雑務が発生したら、リーダーが引き取ってしまいましょう。リーダーは「偉い」のではありません。チーム全体の士気を高めるためには、気配りも重要です。

    メンバーがプロジェクトを自分事としてとらえられるようにする

    チーム全体が同じ方向を向いて進んでいなければ、プロジェクトはうまく行きません。やらされているのではなく、メンバーが主体的に取り組むべきであるものだとういことが理解できるようにマネジメントする必要があります。

    プロジェクトのメンバーとして参加する上でのポイント

    プロジェクト参画者としての態度

    もし、上からの指示でプロジェクトに参加した場合モチベーションが湧かないかもしれません。しかし、他にやりたいことがあったとしても、メンバーとして任命されたからには自分事として参加する必要があります。成果を上げるために努力することで、プロジェクト遂行の能力が上がっていき、自身のキャリア育成には必ず役立つでしょう。したがって、参加したプロジェクトの中で自分なりに取り組み意義を発見していくことが重要です。

    まとめ

    プロジェクト管理の成否は準備が8割を決めると言われます。その中でも特に正しいゴール設定が重要です。正しいゴール設定は、解決すべき問題の定義から行われるため、プロジェクトにかかわる全ステークホルダーとの間で、なぜこのプロジェクトを行うのか?その問題認識について事前にしっかりとすり合わせる必要があります。ここで十分すぎるくらいにコミュニケーションをとっておかないと、途中で認識のズレが生じて、プロジェクトが空中分解する危険性も出てきます。逆に、十分な意思統一が行われていると、困難を乗り越えていける強いマネジメントが実行できるのです。これを機に正しいプロジェクト管理の在り方について考えてみましょう。

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