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SDGsとは?SDGsの意味と企業における実践方法、取り組み事例

経営ハッカー編集部
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世界における市場経済の発達は、物質的な豊かさをもたらすとともに、負の側面として貧富の格差や環境破壊を招きました。これにグローバル化とIT革命の進展が加わった結果、人類は世界の狭さと地球資源の有限性を認識するようになってきています。そこで、国連を中心に各国政府が協調して地球規模での持続的な繁栄と福祉を実現しようという機運が高まっています。こういった潮流の中で生まれてきたのがSDGsです。今回は我々一般企業が、SDGsをどう理解し経営に取り入れればよいのかという観点から考えてみました。

目次

    SDGs(持続可能な開発目標)の意味するものは?

    SDGsとは

    「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」を意味します。2015年9月、161の国連加盟国の首脳が出席した「国連持続可能な開発サミット」においてこの目標を採択しました。
     
    この目標は、国の規模や経済の発展度合いを問わずあらゆる国々の行動を求めるものです。世界における持続的な繁栄を実現するためには、各国の経済成長を図るとともに、教育や保健、社会保障、雇用機会を含む幅広い社会的課題に対応しつつ、気候変動や環境保護にも取り組む計画が必要だという考えを示しています。加えて、人権面の不平等やインフラ、エネルギー、消費、生物多様性、海洋、産業化といった問題も包含しています。
     
    SDGsでは、人間(People)・地球(Planet)・繁栄(Prosperity)・平和(Peace)・連帯(Partnership)の「5つのP」を持続可能な開発のキーワードに掲げ、2030年までに格差の拡大や自然災害、紛争問題、気候変動などの問題を解決することを目標にしています。
     

    17の目標と169のターゲット

    具体的には、2030年までに達成すべき17の目標(ゴール)を掲げており、その下に169のターゲットと232の指標を定めています。17の目標(ゴール)は、貧困やジェンダーなど人にかかわるものから、海や陸の豊かさ、気候変動など環境にかかわるものまであらゆる分野に設定されています。

    SDGsの5つの特徴

    SDGsには、これまでの国際的な目標にはない次の5つの特徴があります。あらゆる国に目標が適用され、定期的なレビューの実施が明記されていることから、世界的に本気で取り組もうとする姿勢を示しています。
     
    ①     途上国・先進国を含めすべての国に目標が適用される
    ②     各々の目標が相互に関連しているため分野横断的なアプローチが必要である
    ③     多種多様なステークホルダーの連携・協力が求められる
    ④     環境面・経済面・社会面の3つの面が統合された形で達成する
    ⑤     4年を1サイクルとして17個の目標すべてを定期的にレビューする

     

    SDGsが生まれた背景

     SDGsが国連で採択された経緯を紐解くと、1970年代までに遡ります。当時は先進国においても持続可能とは言えない経済活動が行われており、この問題を解決するため1987年に国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」で行われた発表で「持続可能な開発」の概念が提唱されたのです。その後、1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた地球サミットで、「環境と開発に関するリオ宣言」と「アジェンダ21」が採択されました。
     
    その後、2015年までに達成すべき開発分野における8つの目標「ミレニアム開発目標(MDGs)」が、2000年に国連で採択されます。この目標は一定の成果はあげられたものの、目標の達成度が国や地域により異なっていたことや、経済や環境に関する目標が不十分だったこともあり、2015年以降の国際目標を新たに設定しなおす必要がありました。
     
    また、2012年6月には国連持続可能な開発会議(リオ+20)が開催されました。その成果目標の中で、持続可能性を達成するためには、経済的、社会的、環境的側面を統合して、あらゆるレベルでの持続可能な開発を国際目標に組み込む必要がある、と発表されます。そうして、ミレニアム開発目標(MDGs)とリオ+20の流れを受けて、SDGsの概念が誕生することとなったのです。
     

    SDGs達成に向けた日本政府の取り組み

    日本でも、すでにSDGs達成に関してさまざまなレベルで取り組みが進められています。ここでは、各府省が行っているSDGs達成に向けた取り組みについて見てみましょう。
     

    「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」の決定

    2016年5月、内閣総理大臣を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が発足し、その下に行政やNGO・NPO、民間セクターなど各種団体の関係者が意見交換を行うための「SDGs推進円卓会議」が設置されました。また、2016年12月には、「持続可能で強靭、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」とのビジョンを掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を決定しました。そこでは、8つの優先課題と140の具体的施策が定められています。
     

    「SDGsアクションプラン」と「SDGsアワード」

    2017年12月には「Society 5.0の推進」「地方創生」「次世代・女性へのエンパワーメント」を柱とした「SDGsアクションプラン」が策定されました。そして、2018年6月には拡大版「SDGsアクションプラン」も策定され、企業をSDGs実現のフロントランナーとする『SDGs経営推進イニシアティブ』が明記されます。また、「ジャパンSDGsアワード」を創設し、SDGs達成に資する取り組みを行う企業・団体の表彰も始まりました。
     

    経産省発表「SDGs経営ガイド」における企業によるSDGsの実践方法とは

    2019年5月31日、経済産業省がSDGsを企業経営にいかに取り込むべきかの指針を示した「SDGs経営ガイド」を発表しました。そこでは、6つのSDGsの実践方法が書かれています。
     

    社会課題解決と経済合理性

    そこでは、今までは費用対効果が薄く経済合理性がないとして見過ごされてきた社会的な課題について、新しいテクノロジーやノウハウを用いることで新たな市場を開拓し、課題解決にも寄与します。それがまさに「SDGs経営」を体現することになると説明されています。
     

    重要課題(マテリアリティ)の特定

    17の目標の中で自社の事業にフィットするものを探し、重要課題(マテリアリティ)を特定すれば、効果的にリソースを投入することができます。そうすることで、よりSDGs経営にコミットしやすくなります。
     

    イノベーションの創発

    社会課題の解決には、新しいテクノロジーやノウハウが必要になることも珍しくありません。もし、既存のリソースが不足していれば、同業他社や他業種と連携してオープンイノベーションを促進する方法もあるでしょう。そうして単独ではできないイノベーションを実現することも、目標達成に近づくひとつのカギとなりえます。
     

    「科学的・論理的」な検証・評価

    SDGs達成に向けた企業の取り組みに対する評価は、多角的かつ科学的・論理的に検証・評価されなければなりません。たとえば、プラスチックごみは海洋におけるマイクロプラスチックによる環境汚染にもつながりますが、一方で焼却時の排熱を発電に利用するといった有効活用もされています。このように、客観的データやプロダクトのライフサイクルに基づいた科学的・論理的な検証・評価が必要です。これらの検証・評価には、国際標準を積極的に活用すべきとの見解も示されています。
     

    長期視点を担保する経営システム

    SDGs経営を長期的に行っていくためには、経営者が代替わりをしてもそのミッションを受け継いでいくための仕組みが必要とされています。昨今ではM&Aなどを利用した業界再編が起こることも珍しくありませんが、一貫したミッションがあれば、人が変わっても長期的にSDGs経営を行うことができると言えます。
     

    「価値創造ストーリー」としての発信

    社会的な価値を創出しているということを外部に発信する際は、単に数字を並べても相手には響きません。そこで、取り組んでいる課題は何なのか、なぜそれに取り組んでいるのか、そのきっかけは何だったのか、今どのような取り組みをしているのか、それによって今後どのような価値を生み出すのかといった、ストーリーを話すほうが説得力があります。特に海外には「察する」文化がないため、国際社会にもわかりやすくストーリーをはっきり可視化して明示することが求められています。
     
    参考:経済産業省『SDGs経営ガイド』「Part 2. SDGs経営の実践」(pp.21-40)
     

    SDGs取り組み事例

    以下は第2回SDGsアワードでそれぞれ内閣総理大臣賞、官房長官賞を受賞した団体です。

    1.株式会社日本フードエコロジーセンター 

    • 「食品ロスに新たな価値を」という企業理念の下、食品廃棄物を有効活用するリキッド発酵飼料(リキッド・エコフィード)を産学官連携で開発し、廃棄物処理業と飼料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現。 
    • 国内で生じる食品残さから良質な飼料を製造し、輸入飼料の代替とするこ とで、飼料自給率の向上と共に、穀物相場に影響を受けにくい畜産経営を 支援し食料安全保障に貢献。 
    • 同社の飼料を一定割合以上用いて飼養された豚肉をブランド化し、養豚事業者や製造業、小売り、消費者を巻き込んだ継続性のある「リサイクル ループ(循環型社会)」を構築。

     2.日本生活協同組合連合会 

     • 生協の全国連合会として、2018年に全国の生協がSDGs達成に大きく貢献することを社会的にコミットした「コープSDGs行動宣言」を策定・採択。行動宣言の採択にあわせ、「日本生協連SDGs取組方針2018」を取りまとめ、様々な取組を実施。
     • 具体的には,地域,環境,社会,人々に配慮した「エシカル消費」に対応した商品を開発・供給するとともに、こうした商品の利用を組合員に促す活動を全国の生協を通じ行っている。
     • その他,再生可能エネルギーの活用やユニセフを通じた子ども支援,被災地支援も積極的に実施。 

    また中小企業の取り組みとしては下記事例が表彰されています。

    3.株式会社大川印刷 

    • SDGs経営戦略を策定し,経営計画そのものに自社の本業で実現可能なSDGsを実装。「ゼロカーボンプリント」に加えて2020年までにごみゼロ工場を達成する活動を推進。
    • パートを含む全従業員を対象に社内ワークショップを実施,各自の問題意 識を全体共有した上でSDGsとの関連付けを行い,課題を解決するプロジェクトチームを従業員主体で立ち上げSDGsを推進。
    • その他,障害者支援活動,RE100へ向けた取組,子ども向けのSDGs工場 見学ツアー実施,SNSやHPを使った積極的なSDGsの取組の発信等。


    海外企業の事例

    イケアでは、2012年からサステナビリティレポートを発行し、下記のようなSDGs活動を紹介しています。(以下は2017年レポートの公表内容を要約) 

    ・従業員全体の54%が女性 。またマネジャーの49%、グループマ ネジメントの53%が女性となっている。
    ・年間8,500万個のLED電球を販売した。これが白熱電球の代わりに使用されたとすると75万世帯の年間電気使用量に相当するエネルギーを節約できる。
    ・ 100を超えるSDGsにかかるプロジェクトを実施。 引き取りリサイクルサービスからテキス タイル再生講習会など、循環する経済に貢献。
    ・廃棄物のエネルギー回収91%。 イケアストアから出た廃棄物をリサイク ルや焼却時のエネルギー回収に生かしている。
    ・ 食べ物を大切に「Food is Precious(食べ物を大切 に)」プロジェクトは、イケアレストランの食品廃棄物の削減を目指している。2017年に廃棄せずに済んだ食品 は、20万kgを超えた。これは865トンの二酸化炭素排出量、ほぼ45万人分 の食事に相当。
    ・原材料調達のうち綿の100%、木材のうち77%を、環境の持続性を意識した調達先から仕入れている。
     

    SDGs経営を行う上で心得るべき3つのポイント

    SDGsを実践する「SDGs経営」を行うにあたり、経営陣が心得ておくべきポイントが3つあります。それはどのようなポイントなのでしょうか。
     

    SDGは単なる社会貢献ではない

    SDGsはCSRと混同されることがありますが、単なる社会貢献とは似て非なるものです。SDGs経営は企業の営利活動を実行する結果が社会貢献につながるということを意味しています。つまり、自社の企業理念やミッション、定款に照らし合わせた時SDGsの17のゴールのどれと最も合致しているのかを見ていきます。つまり、その中でもっとも近いものが自社が経済活動を通じて達成することになる社会貢献のゴールだという考え方になります。逆に、もしどのゴールにも合わないということになると、企業が社会的な活動をやっていないということになり企業自体の存続が危ぶまれることになります。
     

    SDGsに取り組まないことはリスクである

    次に、今日の社会ではSDGsに取り組まないことはリスクであると思った方がよいことです。たとえば人体に危害を及ぼす食品添加物を使い続けながらある製品を大量生産していても、将来的に人々の人体に異変が発生することにより企業イメージの失墜は避けられない上に、従業員の不信感や、顧客、取引先の喪失、またESG投資を重視している投資家やVCからの資金調達も困難になるでしょう。このように、SDGsに対する企業への取り組みは、企業を取り巻くあらゆるステークホルダーから注目されているため、取り組まないことによる損失は大きいと言えます。
     

    ミレニアル世代は「社会貢献」を重視している

    デロイトトーマツ「2018年 デロイト ミレニアル年次調査」調査によると、ミレニアル世代は、「事業の成功は財務上のパフォーマンス以外でも測定されるべきだ」と考える人が83%を占めており、雇用の提供の次に、地域社会への改善に重きを置いていることがわかります。今後、ミレニアル世代は企業の従業員だけでなく、消費者にも投資家にもなりうるため、優秀な人材や資金の確保には、SDGs経営を行っていることが強力な訴求ポイントとなるでしょう。
     

    まとめ

    SDGsは、各国の政府だけが取り組めばよいものではありません。世界的に持続可能な開発を実現するためには5兆ドル~7兆ドルの投資が必要といわれており、企業としての参画は必須です。しかも、実体としては現在の企業活動そのものをSDGsの各ゴールにリンクさせるだけの話なので、取り組まない手はないと言ってよいでしょう。それは各社がSDGsを意識して企業活動に取り組んだ結果、世界全体のSDGsの目標が達成されるという理念設計がSDGsの中でされているからなのです。

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