社員に教えたい、Whyから始める「段取りの5W2H」。
株式会社JQの下田です。
プロジェクトマネジメント支援事業を軸に会社経営をしています。
「他部署の協力が得られず、新規事業に遅れが発生している」
「オンライン会議なのにうまく繋がらず、開始時間になっても始まらない」
問題の規模感はさまざまですが、仕事をしていると、このように「段取りが悪いなぁ」と感じる場面に出くわすことがよくあります。すぐに解決できる問題であれば良いのですが、内容によっては企業の信頼を失ったり、取り返しのつかない事態になったりすることも考えられます。
「段取り八分」なんて言葉があるくらい仕事をする上で段取りは重要ですし、経営者や役員などの経営層の人材になればもっと重要度は増していきます。
良い段取りをするためのポイントはたったひとつ、「5W2H」を順番通りに具体化することです。これができれば、段取りは自然とよくなっていきます。
今回は、どんなシーンでも活用できる段取りの方法をお伝えします。
段取る対象は2パターンある
仕事において段取りをする対象は、下記の2パターンがあります。
- イベント系(会議・行事ごとなど)
- 非イベント系(制作・システムの導入など)
会議や行事ごとなどの「イベント系」、制作やシステムの導入などの「非イベント系」に分けられます。
どちらにも共通して必要なのが「準備の段取り(5W2H)」で、イベント系の段取りの場合には、そこにプラスして「当日のシミュレーション」を組み込むことで、完璧な段取りに近づけられます。
「5W2H」は順番が重要
5W2Hは一般的に、Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように/いくら)という順番で並べられますが、この通りにやってもうまくいきません。良い段取りを行うためには、5W2Hを具体化する順番がポイントです。
下記の順番通りに進めると、効率的に段取りを進められ、良い段取りが組めます。
- Why(なぜ):背景・経緯・目的
- What(なにを):内容定義・要件
- Who(だれが):体制・役割
- When(いつ):マイルストーン・スケジュール
- Where(どこで):場所
- How much(いくら):コスト・予算
- How to manage(どのように):全体管理
ここからは、例として「企業の周年記念パーティーイベント」を題材に、5W2Hを具体化していきます。
①Why ~イベントを「なぜやるのか」~
段取りとして最初に明らかにすべきは、Whyです。なぜなら、目的によってすべきことが異なってくるからです。
たとえば、周年記念パーティーイベントを開催する理由について、出資元の方々へ感謝を表すために開催するのか、社員の日頃の頑張りに対して感謝を表すために開催するのかによって、イベント内容は異なるはずです。
目的が決まらなければイベントの中身が決まっていきませんから、まずはこのWhyを明らかにしましょう。
②What ~①の目的を達成するために「何をするのか」~
目的の軸が決まれば、おのずと何をすべきかが決まります。
たとえば、周年記念パーティーイベントを社員への感謝のために開催するのであれば、下記のような内容が考えられます。
社員のための周年記念パーティーイベント
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内容が決まったら、ここでは同時にそのWhatの中身(=作業プロセス)も分解して明確にします。
社員のための周年記念パーティーイベント
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作業プロセスをきちんと分解しておくことで、後から抜け漏れに気づいて焦って手配するなんてことも防ぐことができます。
③Who ~②を「誰がやるのか」~
何をやるかが決まれば、誰がやるか、誰に依頼すべきかも決まってきます。
社員のための周年記念パーティーイベント
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④When ~①-③で決めたことを「いつやるのか」、必要な手配は「いつまでにすべき」なのか~
「いつやるのか」は、周年記念パーティーであれば会社の設立記念日の当日やその前後など、あらかじめ日取りが決まっているパターンもありますが、決まっていない場合には、内容や参加者の都合で日程を確定させていきます。
「いつまでにすべきか」というのは、「何を誰がやるか」がわかれば見えてくるので、この段階でマイルストーンやスケジュールを確定させていきます。
⑤Where ~①-③で決めたことを「どこでやるのか」~
ここまで全貌が見えてくると、場所も決まってきます。指定人数を収容できる場所か、イベント内容を実施するにはどの場所が最適かによって選択肢が絞られていくためです。
ちなみに、Whereを決めるタイミングは必ずしも5番目である必要はありません。「この場所でこのイベントをやりたい」とあらかじめ場所の指定がある場合もありますし、場所の都合で日程が変更になる場合もありますし、Whereの順番は、時と場合に応じて変わってきます。
⑥How much ~ここまでの内容を「いくらでやるのか」~
イベント内容や、必要なもの、場所まで見えてくると、How much=かかる金額を計算することができます。
もちろん、予算内で行うというパターンもあります。その際にも、予算を念頭にいれて⑤まで進め、ここで詳細な金額を出すことになります。
⑦How to manage ~全体を通して「どのようにコミュニケーションをするか」~
事業において進捗管理や課題管理が必要なように、イベント系でも全体の管理が必要になります。イベント系の場合には、主にコミュニケーション管理が必須になってきます。関わる人数が多くなればなるほど、この管理が重要です。
たとえば、状況を定期的に報告するコミュニケーションもありますし、関係各所に対して依頼をしたり状況確認したり、数多くの場面でコミュニケーションが必要になります。誰が誰に対してどんなコミュニケーションをとる必要があるのかも、全体を通して管理できれば、作業漏れや遅延もなくせます。
まとめ
以上が、準備の段取り5W2Hです。
イベント系の場合は、プラスして当日のシミュレーションまで行っておけば、不測の事態も防ぐことができます。
シミュレーションとは、セットアップから開始~終了、終了後までのタイムスケジュールと、誰が何をするのかの脚本を作ることです。頭の中で、誰が何をするのかをリアルに想像することによって、作業の順序性や網羅性の担保ができるようになります。
非イベント系の制作や開発などの段取りを行う場合には、下記のように置きかえればいいでしょう。
- Why:なんのために行う開発や制作なのか
- What:①の目的を達成するにはどんな機能やコンテンツが必要か
- Who:②の機能やコンテンツを開発・制作するためには、誰が必要か(誰に発注するか)
- When:③の人や会社は開発・制作期間としてどのくらい必要か、それを加味していつリリースしたいのか
- Where:関係者はどこにいるか。リモートなのかオンサイトなのか。
- How much:これらの開発をするにあたって、どのくらいの金額がかかるのか
- How to manage:全体のプロジェクト管理をどのように行うか
ここまで終えたら、準備の段取りとしては完璧。
この段取りの5W2Hはさまざまなシーンで活用でき、覚えて繰り返し行うだけで、自然と段取りはよくなっていきます。ぜひ実践してみてください。