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サステナビリティとは?-企業経営に不可欠なサステナビリティに取り組むメリット

経営ハッカー編集部
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1970年代の第1次オイルショックの頃、「石油があと30年で枯渇する」と言われていたことを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。その頃から徐々に環境問題に注目が集まり、国連でも「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が生まれました。昨今は国だけでなく、企業でもサステナビリティが求められる時代です。本記事では、そんなサステナビリティのコンセプトや取り組むメリットについて解説します。

目次

    サステナビリティとは

    上場企業を中心にCSRと並んで「サステナビリティ」に関する取り組みもよくウェブサイトなどで紹介されるようになりました。そもそも、サステナビリティとはどういうことを指すのでしょうか。

    サステナビリティの概要

    サステナビリティ(Sustainability)とは、直訳すれば「持続可能性」を意味しますが、環境・社会・経済の3つの視点から持続可能な活動を行うことを指します。特に、企業が長期的な視野を持ちながら、環境・社会・経済に配慮する事業活動を通して企業価値の向上を目指すことを、コーポレート・サステナビリティ(Corporate Sustainability)と呼びます。

    CSRとサステナビリティの違いとは

    サステナビリティと似た概念に、「CSR(Corporate Social Responsibility)」(企業の社会的責任)があります。CSRとは、あらゆるステークホルダーに配慮しながら、法令遵守や環境や社会への配慮、地域社会との共存・共栄などで企業が負う社会的責任のことを指します。CSRはどちらかというと経営責任や社会への説明責任といった観点がクローズアップされる概念ですが、サステナビリティとはあくまでも当該企業の持続可能性のある事業活動という点にスポットが当てられるところに、両者の違いがあります。

    サステナビリティの概念が広まった背景

    1960年代以降、先進国では高度経済成長に伴い暮らしが豊かになる一方で、大気汚染や水質汚濁といった公害が発生しました。一方、発展途上国でも貧困からの脱却を図るべく、決して持続可能とは言えないような乱開発が進められます。こうした中、国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に発表した「われら共通の未来」の中で、「持続可能な開発」という概念が初めて提唱されました。
     
    その後、この「持続可能な開発」の概念が全世界共通の行動規範となり、2015年9月には国連で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、全世界共通の目標となる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」が掲げられたのです。

    サステナビリティの2つのコンセプト

    サステナビリティは、2つのコンセプトから成り立っています。それは「長期的視点を持つこと」「社会・環境への価値提供は将来的なリターンにつながること」です。

    長期的視点を持つ

    サステナビリティを重視するには、長期的な視点を持つことが大切です。かつて、英米型の株主資本主義に基づいて、株主が1年、半年、四半期と短期でのリターンを求め続けた結果、大企業では不正会計処理が行われ、経営難に陥る事態となりました。この反省から、長期的視点を持ち、企業のサステイナブルな成長のために中長期的な投資を行うことこそが、企業が収益を上げるために必要だということが徐々に認識されるようになりつつあります。

    社会・環境への価値提供は将来的なリターンにつながる

    もうひとつのコンセプトに、「社会・環境への価値提供は将来的なリターンにつながる」があります。これまで、日本では長年「(社会や環境へ配慮した)CSRはコストである」との考え方が根強くありました。しかし、アメリカで行われたある調査では、サステナビリティに関心の高い企業では、低い企業よりも業績が良く、なおかつ株価の上昇率も上であることがわかっています。(※)このことから、サステナビリティを重視した活動はコストではなく、将来的にはリターンが得られるものであることが見て取れるのではないでしょうか。
     
    ※:北川哲雄・佐藤淑子・松田千恵子・加藤晃『サステナブル経営と資本市場』(2019年、日本経済新聞出版社)pp.304

    サステナビリティに取り組む3つのメリット

    サステナビリティを重視する事業活動に取り組むことには、3つのメリットがあります。それぞれどういったメリットがあるのでしょうか。

    業績や企業価値の向上が見込まれる

    ハーバード大学の研究調査によれば、180の企業をサステナビリティに関心の高い企業90社と関心の低い企業90社に分けて分析したところ、サステナビリティに関心の高い企業では有意に各種業績が低い企業を上回っていることが明らかになりました。また、サステナビリティを重視する企業では、個客の信頼度や経営ノウハウ、ブランド価値といった無形資産の価値が向上していることもわかっています(※)。
     
    (※)前掲書pp.302-303

    機関投資家からの評価も上がる

    近年は、環境・社会・経済に配慮している企業に対して投資を行う「ESG投資」が、機関投資家の間で少しずつ浸透しつつあります。そのため、社会的意義や持続的成長性の観点から、昨今はサステナビリティを重視する事業活動を行っている企業に対する機関投資家の評価が高まっているのです。

    優秀な人材の確保にもつながる

    また、サステナビリティ経営は優秀な人材確保にもつながります。2000年初頭に社会人となった、いわゆる「ミレニアル世代」は社会に貢献しているという実感の持てる会社で働きたいと考える傾向があります。2018年のデロイトトーマツの調査によれば、「企業が達成すべきこと」として、ミレニアル世代は「仕事の創出と雇用の提供」「地域社会の改善」「環境の改善と保護」といった点を重視していることがわかっています(※)。
     
    ※:デロイトトーマツ「2018年 デロイト ミレニアル年次調査

    サステナビリティに対するステークホルダーの理解を深めるには

    サステナビリティの考え方は社会時徐々に浸透しているものの、企業を取り巻くステークホルダーにはなかなか理解が得られないというケースもあるかと思います。では、どうすればサステナビリティに対する理解を深めていくことができるのでしょうか。

    サステナビリティのストーリーを描く

    モノがあふれる昨今では、「質の良いものを作れば売れる」時代はもう終わったと言えるでしょう。今は質の良さではなく、製品やサービスの背景にあるストーリーでモノを買う時代です。企業理念や事業を立ち上げた経緯、製品やサービスへの想いを含め、自社のサステナビリティに関する取り組みについて、共感を持ってもらえるようなストーリーを描くことがまず大切です。これは、B to Cのみならず、B to Bでも同じことが言えます。取引先に自社のストーリーに共感してもらうことで、その先にいるエンドユーザーにもその想いが伝わり、共感が得られるのです。

    サプライチェーン全体でサステナビリティに取り組む

    また、サプライチェーン全体でサステナビリティに取り組むのもよいでしょう。自社だけでなく、調達先や取引先などについてもCO2排出量や環境負荷に関する評価やモニタリングを行うことで、サプライチェーン全体で環境や社会に配慮した持続可能な事業活動ができるのです。特に最近では大手の事業会社では中小企業に投資を行う事例も増えてきて、事業会社が投資家のような役割も担うようになっています。そのため、支援を受けたいと考える中小企業は、投資対象の候補に入れてもらえるよう、サステナビリティに配慮した事業活動を行うことも検討すべきでしょう。

    サステナビリティに取り組む企業事例

    ここからは、実際にサステナビリティに取り組む企業の事例を3つご紹介します。それぞれ、業態や業種による取り組み方の違いに着目しながら見ていきましょう。

    資生堂

    資生堂では、化粧品メーカーらしく「Beauty」を基軸に、サステナビリティに関する重要課題を「Protect Beauty」「Empower Beauty」「Inspire Beauty」と定めています。この3つの課題をもとに、紫外線から皮膚を保護する製品や環境にやさしいリデュース・リサイクルなどができるパッケージ、傷跡やあざなどを隠してQOLを向上させるための商品やメーク方法の開発に組むほか、ジェンダー平等や芸術文化支援に関する活動も行っています。

    スターバックスコーヒージャパン

    スターバックスコーヒーでは、コーヒー栽培や地域社会、文化についてサステナビリティに取り組んでいます。コーヒー豆の調達ではC.A.F.E.プラクティスやフェアトレードなどの認証を得たコーヒー豆を使用するとともに、生産者へ継続して支援を行っています。また、コーヒー豆かすやミルクパックのリサイクル、災害支援や日本の伝統技術を取り入れたアイテムの製造・販売にも力を入れています。

    大林組

    大林組では、環境マネジメントシステム組織体制を構築し、低炭素・循環・共生社会を目標に取り組みを進めています。2011年には「地球・社会・人」とサステナビリティを同時に追求することを掲げた「Obayashi Green Vision 2050」を策定しました。また、協力会社を巻き込んで労災防止のための安全衛生教育を行ったり、CSRに基づく資材調達をすることも大切にしています。

    まとめ

    大手企業が続々とサステナビリティへの取り組みを発表している現代では、その傘下にいるグループ会社・子会社、サプライチェーン上にいる中小企業なども、サステナビリティを無視できなくなってきています。中小企業も、サステナビリティは将来的に自社に利益をもたらすものと考え、長期的な視点で取り組むことが大切です。

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