年末調整時に必要!保険料控除申告書の書き方まとめ
年末調整時に必要!保険料控除申告書の書き方まとめ
(平成28年(2016年)12月6日更新)
給与所得者(サラリーマンなど)なら、このシーズン(11月~12月)になると「年末調整」をしなければなりません。年末調整とは、会社が毎月の給与から源泉徴収し納めた所得税の総額と、1年の所得から再計算した年税額を一致させ、過不足額を調整し、精算することです。毎月源泉徴収し納税することは、給与所得者と税務署双方の負担軽減となり、国にとっては1年を通じて定期的に税収を確保できるというメリットがあります。
年末調整では、個人の状況にあわせて所得税の控除をすることができ、控除を調整に反映できます。そのために従業員は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」の2種類の書類を会社に提出します。
年末調整で受けられる控除は、「配偶者控除」「扶養控除」など11種類あります。控除を受けることでサラリーマンでも節税することが可能になりますので、ぜひ押さえておきましょう。※今回は保険料控除と保険料控除申告書の書き方について取り上げます。 [sc:ads-freee-payroll-more ]
■保険料控除と保険料控除申告書について
保険料控除を受ける場合、こちらの申請用紙(平成28年分給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書)を使用します。通称「マルホ」と呼ばれています。マルホに保険料控除の金額などを記入し、支払金額を証する書類(控除証明書)を添付の上、会社に提出します。保険料控除申告書を提出することで、会社は、控除対象となる保険料支払いがあったことを確認し、年末調整の計算へ反映し、納税額を減額することが可能になります。
保険料控除には以下の4つがあります。
1)生命保険料控除 2)地震保険料控除 3)社会保険料控除 4)小規模企業共済等掛金控除
このうち3)社会保険料控除 と4)小規模企業共済等掛金控除 に関しては 支払った全額が控除額となりますので、そのままの金額を記入すれば問題ありません。しかし、1)生命保険料控除と2)地震保険料控除に関しては、自分で控除額を算出し申請用紙に記入する必要があります。それでは、各々の控除について見ていきましょう。
1)生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険料を支払った際に適用でき、「一般の生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」に区分されています。保険会社から送られてきた「保険料控除証明書」をしっかりと読んで、自分が加入している保険料がどの区分に入るのかチェックしてみてください。
生命保険料控除額は、上図にあるように、平成23年以前と平成24年以降の契約で異なっています。平成24年以降は40,000円が最高額となります。また平成24年度以降の契約には、「介護医療保険料控除」が新設されています。
国税庁のサイトにある記入例を見てみます。計算式を参考にしながら、旧保険・新保険の控除額を計算し、表に記載していきます。
ここでの注意点は、「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」の箇所。年末調整は、平成28年12月31日時点の情報を記載するため、12月31日の保険料支払額を申告します。よって、書類にはかならず参考額(申告額)を記入します。また、「保険料の受取人」については控除証明書などを参考に正しく記入してください。
あとは、計算式ⅠとⅡを参考にしながら、上の図のようにA欄・B欄、①欄・②欄・③欄、イ欄を記入していきます。イ欄には②と③のいずれか大きい金額を書いてください。
同様にして「個人年金保険料」「介護医療保険料」も記入します。
※介入している保険が多く行数が足りない場合は、控除の限度額までの記入で問題ありません(すべての保険を記入しなくても大丈夫です)。
生命保険料控除の計算方法は、下記記事で具体例もご紹介しています。 生命保険料控除の書き方・計算方法を解説!計算例付き
2)地震保険料控除
地震保険料控除は、居住用家屋や生活用動産を保険の目的とする地震保険料を支払った時に適用できます。地震保険料の控除額は全額(最高5万円)です。
地震保険料控除の記入方法は上図(こちらも国税庁のページから引用しました)。
旧長期損害保険は、1万円を超える場合には「支払金額」を書きます。1万円超2万円以下の場合は「支払金額÷2+5千円」を計算した額を、2万円超の場合は「1万5千円」を記入します。
3)社会保険料控除
この欄には社会保険料控除の額を記入します。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。 参考:社会保険料控除(国税庁のページ)
4)小規模企業共済等掛金控除
この欄には小規模企業共済や401K(確定拠出年金法に規定する企業型または個人型年金加入者掛金)などの支払金額を記入します。控除できる金額は、社会保険料控除と同様、その年に支払った全額となります。
参考:小規模企業共済等掛金控除(国税庁のページより)
■まとめ:見本を見ながら保険料控除申告書に正しく記入!
年末調整は普段意識していない分、保険料控除申告書の記入も、実際に書行ってみると分からない点があり面倒に思えてしまうかもしれません。ですが、保険料控除申告書も見本を見ながら書くと、それほど手間なく、正確に書けるのではないでしょうか。本記事が保険料控除申告書の記入のお役に立てば幸いです。
Text = 安齋慎平