年末調整|今年の年末調整が来年の住民税を決定する?給与明細から納税を知ろう
自分の納めている税金を知るにはまず給与明細書から
日本に住所がある限りついて回るのが住民税です。県単位と市町村単位の2種類があり、それぞれ納税者が毎年納付する義務があります。本来であれば、納税者自身が役所に納めるのが筋ですが、サラリーマンであれば、給与で天引きされています。便利な仕組みではありますが、市民が大切なお金を納税していることを意識しづらいのも事実です。住民税が会社の給与から引かれる仕組みを学んでみましょう。
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サラリーマンは毎年10月~11月頃に年末調整をします。年末調整の目的は、1年間の収入から所得税額を算出し税務署に申告することと、年間収入を地方自治体に申告することです。会社は従業員が居住している市区町村役場に「給与支払い報告書」を提出する義務があり、役場はこれをもとに住民税額を算出して、翌年5月までに会社宛に「住民税の決定通知書」を発送します。「住民税の決定通知書」に従い、会社は毎年6月分の給与から住民税を天引きするようになっています。これが、年末調整と住民税の関係です。
[目次] ■1)住民税ってなに? ■2)特別徴収の概要 ■3)特別徴収税額通知書 ■4)住民税の計算方法
■1)住民税ってなに?
住民税というと住所に応じて個人が納める税金をいいます。都道府県と市町村それぞれに納めることになっており、合わせて個人住民税と呼ばれています。住民税というと個人のものだけをイメージしがちですが、会社や団体などの法人もそれぞれ法人住民税として納税しているため、個人住民税という名称になっています。
納税の方法としては普通徴収と特別徴収があります。普通徴収は県民や市民としてそれぞれの役場に払い込む方法です。一方、サラリーマンなど給与をもらっている人は会社が給料から住民税額を天引きして代わりに納税してくれています。これを特別徴収と呼びます。
■2)特別徴収の概要
給与を支払っている会社が社員から預かって市町村に納税するのが特別徴収です。まず、会社といった給与支払者は特別徴収義務を負っています。市町村に毎年1月、給与支払い報告書を提出すると、5月末日までに税額の通知が届きます。会社はこれを社員に知らせた後、給与支払いを行うことになります。毎月の給与から税額を差し引く流れは6月から翌年5月までが1年のサイクルです。
特別徴収では毎月の給与支払日に住民税額を徴収して、その翌月10日までに市町村へ納入します。これの一連の流れを社員が退職するまで毎月、毎年続けていくことになります。
■3)特別徴収税額通知書
毎年5月に、6月から翌年5月までの間に納める税額が書かれた通知書が会社に届きます。 社員本人にも通知書は渡されるのですが、毎年ちゃんとチェックしていますか? 「そんなのもらったっけ?」 なんていう人が多いかもしれませんが、記載や税額が間違っていることもあるので気をつけましょう。
特別徴収税額通知書で注意したいのは次の5つです。
1)通知書を渡されていない 5月ごろには必ず会社に通知書が届いているはずなので経理に確認しましょう。 会社に届いていないのなら経理担当が市町村に問い合わせてくれます。
2)正社員でなくても対象 特別徴収は正社員以外のアルバイトやパートで働いている勤務者も対象です。 正規雇用かどうかは関係なく特別徴収で住民税を納付します。
3)新入社員 6月から翌年5月が一年となっている特別徴収の場合、期間の途中で入社した社員については「特別徴収切替届出書」の提出が必要です。
4)転勤や休職 社員が転勤して支払者が異なったり、休職して給与の支払いがストップした場合には変更届を出して特別徴収義務者でなくなったことを報告します。
5)退職 社員が退職した場合は給与支払日の翌月から特別徴収がなくなります。
■4)住民税の計算方法
どうやって住民税が決まっているのでしょうか? 主な計算方法には所得割と均等割の2種類があります。
・所得割 納付する前の年の所得金額によって計算される方法です。
(前年の総所得金額等 - 所得控除額)× 税率 - 税額控除額
上記の計算式によって知ることができます。 一律に適用される住民税の基礎控除は33万円です。 税率はシンプルで一律10%となっており、そのうち4%が都道府県民税、残りの6%が市町村民税に分けられます。
・均等割 所得があるかどうかに関係なく都道府県民税1,000円、市町村民税3,000円を納付する方法です。
■住民税|給与から引かれる住民税の仕組みご存知ですか?まとめ
天引きされていて納めているかどうかあまり意識することの薄い税金の一つに住民税があります。普通徴収であれば払込書や口座振替で意識することもあるのですが、都道府県民として、市町村民として、行政を支える大切な納税です。サラリーマンであれば特別徴収の強化の流れがさらに加速しています。
とはいえ、通知書の存在すら忘れてしまっているのは一生懸命働いたお金の行き先としてチェックしておきたいところです。とくにこの通知書は社員のそれぞれのケースによって届け出が必要なこともあります。基本的に会社の経理部門がやってくれることではありますが、万一間違いがあるかもしれません。まずは5月にもらった通知書を眺めてみるところからスタートしてみましょう。