平成29年度(28年分)「給与支払報告書」の書き方と提出方法まとめ
(最終更新: 2016年12月27日)
給与事務に必要となる「給与支払報告書」。給与支払報告書とは何かをはじめ、書き方や提出方法についてまとめました。
*「法定調書合計表」と「支払調書」の記載方法については、こちらの記事をご覧ください。
目次
1) 給与支払報告書とは
給与支払報告書とは、住民税額を決定するために市区町村へ提出する書類です。給与支払報告書には、以下の2種類の書類から構成されます。
1.「給与支払報告書」の個人別明細書 税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」と記載内容がほぼ同じで、以下のような項目が記載されます。
・給与支払いを受ける者の基本情報(個人番号を含む) ・給与額 ・源泉徴収額 ・保険料額 ・控除対象の扶養親族の情報 ・給与の支払者の情報(個人番号または法人番号を含む) など
2.「給与支払報告書」の総括表 給与支払報告書とあわせて、市区町村ごとに総括表を提出します。総括表には、以下のような項目が記載されます。
・給与支払者の基本情報(個人番号または法人番号を含む)
・給与を受ける者の総数
・給与を受ける者のうち、その市区町村に住む者の人数
・特別徴収の人数、普通徴収の人数
なお 人事労務 freeeでは、年末調整後、給与支払報告書の総括表・個人別明細書を転記いらずで発行できるほか、窓口への宛名ラベルもあわせて市区町村ごとに印刷を行えます。
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2) 給与支払報告書の総括表の書き方
手元に給与支払報告書の総括表を準備して一緒に書いていきましょう。
法人番号 2017年(平成29年)1月に提出〆切となる、平成28年分の給与支払報告書については、法人番号の記載が必要となります。
提出区分 原則として年間分を◯で囲みます。もし退職者分のみの提出となる場合は、退職者分を◯で囲みます。
事業種目 事業の分野を記入してください。
提出先市区町村数 給与支払報告書を提出する市区町村の数を記入してください。
受給者総人員 給与を支払われている総人数を記入してください。
報告人員 該当市区町村に個人別明細書を提出する対象となる人数を記入してください。 今回、品川区の総括表を例に扱っていますが、東京都において平成29年から特別徴収を推進を徹底していることから、特別徴収(給与天引き)と普通徴収(個人納付)とに分けて人数を記入する欄があります。
・特別徴収 会社が、給与支払いの際に税金を天引きして代わりに納める
・普通徴収 給与所得者が直接納める
※普通徴収対象者がいる場合は、普通徴収該当理由書の添付が必要です。
3) 給与支払報告書の個人別明細書の書き方
手元に給与支払報告書の個人別明細書を準備して一緒に書いていきましょう。平成28年分から、用紙サイズがA5からA4に変更となり、マイナンバーをはじめ、従来の個人別明細書の様式にはなかった記載欄が増えています。なお、赤で色付けされている部分が、平成28年分において変更のあった箇所になります。
①.「種別」から「源泉徴収税額」まで 「平成28年分給与所得/退職所得に対する所得税源泉徴収簿」によって年末調整をした結果を記入してください。
②.「控除対象配偶者の有無等」から「配偶者特別控除の額」まで 配偶者控除の対象となる配偶者がいる場合は「有」欄に、いない場合は「無」欄に○を記入してください。控除対象配偶者が70歳以上の場合は、「老人」欄にも○を記入してください。また、配偶者特別控除額を記入してください。
③.「控除対象扶養親族の数」から「非居住者である親族の数」まで
(左から順に)
1. 「特定」の枠のうちの一番左側に、特定扶養者(19歳から22歳)がいる方は人数を記入してください。
2.「老人」の枠のうちの一番左に、老人扶養者(70 歳以上)のうち、同居している人数を記入してください。
3.「老人」の枠のうちの真ん中に、老人扶養者に該当する人数を記入してください。
5.「その他」の枠の左側に一般扶養者(16歳から18歳、23歳から69歳)がいる方は、人数を記入してください。
6.「障害者」の枠のうちの一番左に、特別障害者で、同居している方の人数を記入してください。
7.「障害者」の枠のうちの真ん中に、扶養親族(配偶者・年少扶養者を含む)のうち、特別障害者の人数を記入してください。
8.「障害者」の枠のうちの一番左に、扶養親族(配偶者・年少扶養者を含む)のうち、普通障害者の人数を記入してください。
④.「社会保険料等の金額」から「住宅借入金など特別控除の額」まで
1.社会保険料の控除額を記入してください。
2.生命保険料の控除額を記入してください。
3.地震保険料の控除額を記入してください。
4.住宅借入金等特別控除額を記入してください。
⑤.「(摘要)」
・前職など他社分と合わせて年末調整をした場合、他社の住所や名称、支払金額などを記入してください。
・扶養親族が5人以上いる場合、()で囲った数字と氏名を記入してください。また、扶養親族が16歳未満の場合、氏名の後に(年少)と記入してください。
・普通徴収かつeLTAX提出する場合、摘要欄に普通徴収の符号を記入してください。
その他の詳細は国税庁の給与支払報告書の書き方をご覧ください。
⑥.「生命保険料の金額の内訳」から「旧個人年金保険料の金額」まで ④で生命保険料の控除額を記入した場合は、その種類ごとの支払金額を記入してください。
⑦. 「住宅借入金など特別控除の額の内訳」 ④で住宅借入金等特別控除額を記入した場合は、その詳細を記入してください。
⑧.「控除対象配偶者」から「控除対象扶養親族」まで 1. ②で控除対象配偶者を有とした場合、控除対象配偶者の名前と区分、マイナンバー(個人番号)を記入してください。
- ③で控除対象扶養親族について記入した場合、控除対象扶養親族の名前と区分、マイナンバー(個人番号)をそれぞれ記入してください。
⑨.「配偶者の合計所得」から「旧長期損害保険料の金額」まで
1. 配偶者がいる場合、「配偶者の合計所得」を記入してください。
2. 国民年金保険料などを支払っている場合、その金額を「国民年金保険料等の金額」に記入してください。
3. 旧長期損害保険料を支払っている場合、その金額を「旧長期損害保険料の金額」に記入してください。
⑩.「16歳未満の扶養親族」 1. 16歳未満の扶養親族がいる場合、控除対象配偶者の名前と区分、マイナンバー(個人番号)を記入してください。
⑪.「5人目以降の控除対象扶養親族の個人番号」から「5人目以降の16歳未満の扶養親族の個人番号」まで 控除対象扶養親族、また16歳未満の扶養親族などが5人以上いる場合、5人目以降のマイナンバー(個人番号)を記入してください。その際、各個人番号の先頭には、摘要に記載した()で囲った数字もあわせて記載し、氏名と個人番号が対応するようにします。
⑫.「未成年者」から「勤労学生」まで 本人が該当する欄に、○を記入してください。
⑬.「中途就・退職」 その年に就・退職があった場合には、「就職・退職」のいずれかに○を記入し、月日を記入てください。
⑭.受給者生年月日 「明・大・昭・平」のいずれかに○を記入し、年月日を記入してください。
4) 給与支払報告書の提出方法
総括表と、個人別明細書が記入できたら、市区町村へ提出・郵送します。
特別徴収、普通徴収それぞれの給与支払報告書の先頭に、「区分紙」*を挟み、上から以下のような順番になるように重ねます。
1.総括表
2.特別徴収該当者区分紙
3.個人別明細書(特別徴収の人数分)
4.普通徴収該当者区分紙
5.個人別明細書(普通徴収の人数分)
*区分紙は各市区町村のサイトでダウンロードできます。
以上が準備できたら、期限までに市区町村の窓口に送付します。 提出の際には、個人別明細書が「市区町村提出用」であることを確認するようにしましょう。
給与支払報告書の提出期限
給与支払報告書の提出期限は、原則として毎年1月31日となります。遅れずに提出しましょう。
5) まとめ
給与支払報告書は、新しい住民税額の決定のために必要な書類となります。転記などによる記入ミスがあると、住民税額に影響することもありますので、正しく作成するようにしましょう。
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