有給休暇が義務化に | 労働基準法、2016年に改正の見込み
2016年は様々な法律の改正があります。企業にとってその中でも大きな変更となるのが、春以降に改正される予定になっている改正労働基準法ではないでしょうか。今回は、改正労働基準法の中でも、特に注目が集まっている有給取得に関する改正について見ていきましょう。
有給休暇(年次有給休暇)とは?
そもそも有給休暇とは、労働基準法によって定められている従業員のための休暇制度のことです。よって、会社が就業規則などで独自に定める休暇とは違い、法律によって必ず取得することができる、いわば労働者の「権利」とも言うべき休暇が有給休暇なのです。ですから、会社の経営方針などでこの有給休暇制度を廃止することはできず、一定の期間就業することで自動的に有給を取得することができます。また、有給休暇はその名の通り、「有給」ですから有給休暇で休んでも給料は減りません。つまり、休んでも給料がもらえるのが「有給休暇」最大の特徴でありメリットなのです。なお、有給休暇は原則として労働者が希望する時期に取得することができ、事業の運営を定める程の影響がなければ、会社はこれを妨げることができません。
年次の有給休暇の取得を促進
改正労働基準法では、年次の有給休暇の付与が10日以上の労働者を対象にして、付与した有給休暇日数のうち、年5日分については企業が1年以内に時期を定めることで与えなければならないという方向で話が進んでいます。つまり、今までは、有給休暇を取得する際に、従業員から取得する旨を伝えていたものを、年5日に関しては会社が有給休暇を取るように従業員に指定できるようになったということです。
今回の改正の対象はかなり広い
そして、この改正案の対象として検討されているのは、一般社員だけでなく、管理職の従業員も対象となります。また、従業員の多い大企業だけでなく、中小企業など、全ての企業がこの有給休暇の指定義務化の対象になることが予想されています。
また、有給休暇を未消化の社員が多い企業に関しては、罰則規定が設けられる可能性もあります。ですから、企業は特に従業員の有給休暇の取得に対してしっかりと管理し、対応する必要が出てくるでしょう。
有給休暇が消化されない文化が日本にはある
この改正案の原因となっているのは、日本がもともと有給休暇の消化率が非常に悪いということが挙げられるでしょう。ある調査によると、日本の有給消化率は先進国の中で見てもワーストを争うレベル。こうした状況から脱却し、労働環境を整備することが政府の狙いだと言えるでしょう。
また、中小企業や管理職の従業員は、比較的有給消化率が悪いことが問題視されており、今回の改正法案の対象が非常に広範囲に渡るのも、そうした背景を加味してのことだと言えるのではないでしょうか。
まとめ
2016年の4月から施行予定だった改正労働基準法ですが、一部法案に対しての大きな反発などにより、春からの施行は先送りされる見込みになっています。しかし、このような取り組みが実際に法案として提出される可能性があることは間違いありません。中小企業も含めて、企業の総務や人事担当者はチェックしておくべきなのではないでしょうか。