[「働き方改革」は業務プロセスの見直しから バックオフィスクラウド活用セミナー④] SaaSをフル活用したワークフロー構築 株式会社スタディプラス 管理部 藤本了甫氏
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今、企業に求められる最適な業務プロセスとはどういうものなのでしょうか?
急成長している企業ほど、それに悩んでいるのではないでしょうか。去る2019年6月13日に「クラウドERP freee」と「出張管理システム AIトラベル」の主催で行われたバックオフィスクラウド活用セミナーでは、そういった悩みを解決してくれる最新のバックオフィステクノロジーについての講演がありました。最後となる第4回は株式会社スタディプラス藤本了甫氏による、実際のワークフロー構築についてのセッションをレポートします。
藤本:本日はよろしくお願いいたします。私は株式会社スタディプラスで経理担当を1人でしています。弊社は現在従業員50人、アルバイトを入れると60人ほどがいるのですが、1人で経理をしていくために、既に導入されていたのですが、使われていなかったfreeeを、試行錯誤して活用できるようにしていきました。今では購買・経費精算・給与・入出金管理・受注管理・予実管理などを全てfreeeを中心に管理しています。
弊社でのワークフロー運用としては、出張申請はAI Travel、それ以外はfreeeという2パターンにしていますが、それは意思決定の迅速化というのが1つと、もう1つが仕訳を連動させたいという理由からです。ワークフローを導入している会社は多いと思いますが、実際に全て稟議を通そうとすると、かなりの数になります。それをシステムが分かれている中で仕訳て紐付けるとなると、とてもしんどい仕事になってしまいます(笑)。
意思決定の迅速化という点でも、freeeのワークフローはSlackで確認し、すぐに承認出来るので、購買申請が降りていないことに月次・年次決算まで気づかない、といったことを防ぐこともできます。
私がfreeeで使用しているワークフローは3つです。経費精算・支払い依頼・その他の申請です。経費精算は立替え払いを承認して支払いに繋げるものです。支払い依頼は請求書払いのことで、月末までにまとめて支払いをかけるものの承認です。その他申請は稟議に関係するものです。押印申請ですとか購買申請・会食申請・出張申請(AI Travel以外)・領収書紛失・入社申請・部活動の申請・モバイルsuicaのプライベート利用申請・予算バジェッティングの申請・固定資産の除却・貸与品の破損などをここにまとめています。これらが結局仕訳に繋がっていくわけですが、これらを全て処理していくのにfreeeを使うことでだいぶ手間を軽減させることができました。
ところで、なぜワークフローを起こすのかというと、適切に承認されてそれに従って購買行動がなされているのかを見たいからです。そしてそれを確認する時に仕訳から戻って見なければならないからでもあります。そこが担保されているのはfreeeの強みだと思います。実際に弊社は今監査を受けているところなのですが、稟議などを全てのワークフローもチェックされています。今回はfreeeのアカウントを監査法人に渡してしまい、それを使って見てもらっているのでスムーズです。
経費精算撲滅の大原則「立替えを無くす」!

経費精算という業務を改めて考えると、働き方改革のネックになるポイントになると思っています。私自身、社員の経費精算のために深夜残業をしてきました。領収書が無いものはリジェクトして差し戻しをしたり、Slackで確認をとったり。上場準備でシステムを作るために来ているのに経費精算で毎日が終わってしまっていました。それを改革するために経費精算を撲滅するプロジェクトを始めることにしたのです。
プロジェクトを考える中で、私が気づいた経費精算を撲滅する大原則が「立替えを減らす」ことでした。経費精算の申請を減らすことができれば精算を減らすことができる、と思い至ったのです。
弊社には営業が10名ほどいますが、彼らは週の大半出張しています。彼らの出張経費は多く、月35万円という者もいました。そして経費申請に1人4時間もかけていて、承認にも1人あたり1時間程もかかっていました。立替えが多いと個人のキャッシュフローもカツカツになります。そこで払い漏れがあったりしたら大変なことになってしまいます。ですので立替えを減らすというのはフロント側にとっても管理側にとっても最大のソリューションだったのです。
そこで使ったツールが、モバイルsuica、AI Travel、クレジットカードを活用することでした。電車代はモバイルsuicaとコーポレートカードを紐付けてチャージしてもらいます。そしてクレジットカードのデータで仕訳、同時にsuicaの履歴をウェブで確認してチェックします。出張の際にはAI Travelを使ってホテルや移動の手配をしてもらい、その利用明細・請求書を会計システムにそのまま入れてしまいます。
クレジットカードは経費精算に非常に効果的です。弊社ではまずJCBを国内サービスとAmazonに利用しています。アメックスはデポジットして利用していくと与信枠を上げることができるので、与信枠の低いベンチャーのとっては便利です。MUFGカードは会食等交際費として利用してもらう為に部長以上に渡しています。ライフカードはモバイルsuica用です。モバイルsuicaは便利なのですけれども、1人につき1クレジットカード、1対1の紐付けになるので、モバイルsuicaを運用する時にはモバイルsuicaの数だけクレジットカードが必要になってしまう。そこでライフカードはコーポレートカード発行枚数が無制限なので、今後のことも考えて利用しています。新幹線はEXカードです。
こういったを使い分けをするのは仕訳に便利だからです。freeeと口座連携をしているので、使われたカードの種類によってほぼ自動的に仕分けることができるのです。
最後にお話するポイントは小口現金ですが、弊社では小口現金を廃止してしまいました。いくらfreeeでも現金管理は自分でしなければならず、出納帳をつけたり小銭を数えたりしなければなりません。ですから簡素化するためにも無くしたほうが良いと思います。急に無くすと反対されるので、代替案などを出すと良いでしょう。
精算申請は10分で終了。簡素化できる経費精算
今、経費精算は申請者側は1人10分程度で終わっています。承認側は1時間半から2時間ほどで承認から支払いまで終わっています。ここまで簡素化することができました。
ここに辿り着くまで様々なトライアンドエラーを繰り返しましたが、経費精算の勘所は「いかに立替えを無くすか」に尽きます。仮にこれからバックオフィスの簡素化を考えて会計システムの変更を考えている企業があるのでしたら、それによって手間が軽くなるのは経理だけです。フロントの手間も多少変わるかもしれません。しかし本当に経費精算の手間を無くすためには立替えを無くすしかない。つまり後払い化することです。
現在はAI Travelの明細をそのままfreeeに移せるようにしています。以前のようにCSVダウンロードなどをしているとやはりどうしてもヒューマンエラーが発生する危険があるからです。ですから1次データをそのまま活用できるようにしています。それがこれからの業務プロセスの主流になっていくと思います。
弊社ではBS明細も自動化し、各BS科目の月次推移なども10分弱で出せるようになっています。これからはそういう時代になっていくと思いますし、そういう時代の経理は分析や、いかに早く経営成績を出すかに注力していくことになると思います。それが本当の働き方改革になると思います。
本日はありがとうございました。
スタディプラス株式会社 管理部 藤本了甫
東洋アルミニウム(株)に未経験で経理部主計課所属後、ブリヂストンプラントエンジニアリング(株)、ル・クルーゼ・ジャポン(株)等で経理部の業務改善・標準化に従事する。中小企業診断士登録後はベンチャー企業に興味を持ち、サイトビジット(株)でマネージャーを経験する。2018年7月にスタディプラス株式会社入社。