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2015年06月29日(月)

公益財団法人の基本知識まとめ|設立要件、優遇措置、税金など

経営ハッカー編集部
公益財団法人の基本知識まとめ|設立要件、優遇措置、税金など

公益財団法人

公益財団法人は一般財団法人とは異なり、設立には非常に厳しい条件をクリアしなければなりません。公益財団法人の事業内容や設立要件、税金などについて知っておきましょう。

1) 公益財団法人とは?

公益財団法人(公財)とは公益を目的とする事業を行う法人のことをいいます。
公益財団法人が行う公益的事業は、「学術・技芸・慈善その他の公益に関する事業」として認められる23の事業に限定されます。

公益財団法人が行う23の公益的事業


公益財団法人として認められる23の事業は以下の通り


1. 学術及び科学技術の振興を目的とする事業 2. 文化及び芸術の振興を目的とする事業 3. 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業 4. 高齢者の福祉の増進を目的とする事業 5. 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業 6. 公衆衛生の向上を目的とする事業 7. 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業 8. 勤労者の福祉の向上を目的とする事業 9. 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業 10. 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業 11. 事故又は災害の防止を目的とする事業 12. 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業 13. 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業 14. 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業 15. 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業 16. 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業 17. 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業 18. 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業 19. 地域社会の健全な発展を目的とする事業 20. 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業 21. 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業 22. 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業 23. 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの。不特定多数の利益の増進に寄与すると認められる事業がこれにあたります

2) 公益財団法人設立の要件

公益財団法人は、従来の財団法人か新しく設立した一般財団法人から移行する必要があるため、いきなり設立する事はできません。また、公益財団法人に移行するためには非常に厳しい認定基準を満たす必要があります。

公益財団法人認定の申請
には、従来からある財団法人が申請する場合と、新しく一般財団法人を設立してから申請する場合があり、内閣府又は都道府県に申請して公益認定基準を満たせば公益財団法人として認められます。



公益認定基準としては、公益目的事業を行う目的であること、公益目的事業比が50%以上、事業を行うための技術的能力がある、社会的信用を維持するのにふさわしくない事業を行わない、相互に密接な関係にあるとされる理事・監事が総数の1/3を超えないなど、18の基準項目を満たす必要があります。

詳しい18項目はこちからご確認ください。 ・公益法人協会 公益認定の基準18項目

〈参考〉公益法人協会とは?『公益法人』『公益事業』などを徹底解説

3) 公益財団法人の優遇措置

公益財団法人の事業には公益目的事業と収益事業があります。高い公益性が求められ、設立に厳しい基準がある一方、公益目的事業の法人税が非課税になったり、寄付者が寄付税制優遇措置を受けられる等、税制面での優遇措置が設けられています。

1. 法人税が非課税

公益目的事業の法人税が非課税になります。

2. 利子・配当等に係る源泉所得税の非課税

公益財団法人が利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益及び利益の分配を受ける場合には、所得税は課されません。



3. みなし寄付

収益事業から得た収益の一部を、公益的事業に支出すると、一定金額まで寄付とみなす税制優遇処置です。公益財団法人の場合、この優遇処置を受けることができます。みなし金額の限度額は、所得金額の50%または公益目的事業の実施に必要な金額のいずれか多い金額となります。

4. 寄付者の税額控除

公益財団法人に寄付を行った場合、寄付を行った人は寄付額に応じて控除を受けることができます。この制度によって公益財団法人は寄付を集めやすいという特徴があります。控除額の計算方法に関しては以下のページをご確認ください。

・国税局 No.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき

まとめ

公益財団法人の事業には高い公益性が求められ、専門家などの人材が不可欠です。税制上の優遇措置もありますが、厳しい条件をクリアして認定されることによる社会的信用度の高さが一番のメリットかもしれません。


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