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サテライトオフィスとは?働き方改革で脚光を浴びるオフィスの在り方

経営ハッカー編集部
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サテライトオフィスは1980年代から企業に導入されてきました。一時期在宅ワークの浸透によって停滞しましたが、近年、働き方改革や地方創生政策によってサテライトオフィスが再度脚光を浴びるようになってきています。今回は、サテライトオフィスの成り立ちや、サテライトオフィスのメリット、デメリット、活用方法について考えてみます。

目次

    サテライトオフィスとは?

    サテライトオフィスとは、企業または団体の本拠から離れた場所に設置されたオフィス拠点のことを指します。本拠を中心としてみた時に衛星(サテライト)のように存在するオフィスとの意から命名されました。最近のサテライトオフィス再活性化の背景には、労働力人口の減少をカバーするため、働き方改革を実施し、一億総活躍社会の実現をしようという政策の流れ。また地方創生によって、地方の雇用を創出しようという政策の流れの2つがあります。
     

    サテライトオフィスの生まれた背景と今日までの動向

    まず、日本におけるサテライトオフィスの歴史と変遷を見ていきましょう。
     

    初期:創世期のサテライトオフィス

    ICTの発達に伴う勤務環境の改善にいち早く取り組んでいたのがNECです。NECは1984年、東京・吉祥寺に日本初のサテライトオフィスを開設しました。
     
    1988年には住友信託銀行、鹿島建設、富士ゼロックス、内田洋行、リクルート、住信基礎研究所の6社により「志木サテライトオフィス」が設置されました。新しい働き方の象徴としてメディアに取り上げられ、サテライトオフィスは一般に広く知れ渡りました。
     
    この時期に相次いでサテライトオフィスが誕生した背景には、東京一極集中の是正、個人のゆとりの確保といった課題がありました。さらに経済的インパクトとして最も大きかったのが、バブル経済による地価の高騰によるオフィス取得難です。当時の都市の地価高騰は働く社員にも影響を及ぼしました。マイホーム購入は郊外へと広がり、通勤時間が負担となっていた社員の勤務環境を改善する意味でも、郊外型のサテライトオフィスは歓迎されました。
     

    中期:在宅ワークの進展にともない、サテライトオフィスは下火に

    バブル崩壊を機にサテライトオフィスの設置は下火となります。都心のオフィス賃料が下がったことに加えて、当時はITを活用した業務がそれほど多くなかったことも原因のひとつです。そんな中、オフィスや自宅にパソコンが普及し始めたことで、1990年後期より在宅ワークが再評価されていきます。自宅等を拠点に事業を展開するSOHO(Small Office Home Office)が多く誕生していた時代です。
     

    現在:働き方の多様化と地方創生でサテライトオフィスが増加

    情報通信技術(ICT)が飛躍的に進歩したことにより、どのような場所にいても働くことができるようになってきました。モバイル端末やオンライン会議、クラウド型の業務システムが一般に普及したことにより、柔軟な働き方ができる環境が急速に充実してきています。このような中、働き方の多様化に対応するためオフィスか、在宅かという二者択一ではなくその中間に位置するサテライトオフィスが再び注目されるようになりました。オフィスであれば、在宅とは違い対面のコミュニケーションも可能になるからです。また、コワーキングスペースも増えたことにより、サテライトオフィスの設置が容易になったことも増加に寄与しています。
                                                                                         
    もう一つは地方創生を推進したい国の思惑もあります。人口の東京一極集中で地方衰退が叫ばれるなか、地方にサテライトオフィスを開設することで、地方に住みながら都市部の仕事を行うことが可能になります。人口減少を抑制する効果だけでなく、地域活性化も期待されています。
     

    テレワークにおけるサテライトオフィスの位置づけ

    サテライトオフィスの上位概念であるテレワークとは、ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。つまり、テレワークを構成する「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の一形態がサテライトオフィスと言えます。その違いは下記の通りです。
     
    ※「tele=離れたところ」「work=働く」をあわせた造語
     

    在宅勤務

    自宅からパソコン、インターネット、電話、ファックスなどを使い、会社と連絡をとりながら仕事をするスタイルです。妊娠や子育て、介護などの理由により恒常的に通勤が困難な人に適した働き方といえます。
     

    モバイルワーク

    顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使いながら仕事をするスタイルです。営業やセールス・エンジニア、サービス・メンテナンス職など顧客訪問が多い業務に適した働き方と言えます。モバイルワークの導入により、顧客への迅速な対応が可能となるばかりか、直行直帰により社員のワークスタイル変革が実現しています。
     

    サテライトオフィス勤務

    本拠地から離れた施設を利用して仕事をするスタイルです。自宅に適切な執務環境がない場合も勤務が可能であり、営業先や自宅に近いオフィスで働くことができます。顧客先から立ち寄り、事務作業をこなすなど効率的な働き方も可能になります。
     

    サテライトオフィスの種類

    サテライトオフィスは開設場所によって3つに分類されます。
     

    都市型サテライトオフィス

    都市部にある企業が本社とは別に、営業上の交通の便が良い場所に拠点を開設する場合があります。(公共営業を行うチームが霞が関に在籍するなど。)また、地方に本拠を構える企業が、都心にオフィスを開設するケースもあります。移動時間の削減だけでなく、都市部での営業により売上拡大が期待でます。
     

    地方型サテライトオフィス

    都市に本拠を構える企業が、地方にオフィスを開設するケースです。地方在住者やIターンUターンなど地方勤務を希望する社員を獲得できるばかりでなく、国や自治体によるサテライトオフィス開設の支援を受けられる場合もあります。災害時の事業継続など、リスク分散のメリットも享受できます。
     

    郊外型サテライトオフィス

    都市に本拠を構える企業が、郊外にオフィスを開設するケースです。勤務先が近くなることで、通勤時間の短縮、混雑が少ない経路で通勤できるなど利便性が向上します。郊外に住む社員はもとより、子育てや介護と仕事を両立する社員にとっても働きやすい環境と言えます。
     

    サテライトオフィスの契約形態による分類

    契約形態では2つに分かれます。
     

    専用型サテライトオフィス

    自社または自社グループ企業専用のオフィスです。従業員が顧客先に向かう途中に就業したり、職住近接により子育てや介護と仕事の両立が可能になるなど活用の幅が広がっています。
     

    共用型サテライトオフィス

    複数の企業がシェアして利用するオフィスです。「シェアオフィス」「コワーキングスペース」とも呼ばれ、企業だけでなく、フリーランスや起業家など多様な人が集まる場として活用されています。
     

    サテライトオフィスのメリット

    それでは、サテライトオフィス設置には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
     

    メリット1.生産性の向上・ワークライフバランスの向上

    営業拠点の近くにオフィスを構えることで顧客への迅速な対応が可能になります。働く社員にとっても、通勤時間や移動時間を削減できるので、仕事とプライベートの調和がとれます。働きやすい環境を整えることで仕事に対するモチベーションも上がります。
     

    メリット2.コスト削減

    社員の移動距離が減ることで通勤交通費や出張費を抑制できます。支店や支社より低コストで設置することができます。また都市部の大型オフィスを縮小、郊外に分散させることでコスト削減が実現できます。
     

    メリット3.優秀な人材の確保

    職住近接型のオフィスでは効率的な働き方が可能になり、子育てや介護をしながら働くことができます。フレキシブルで働きやすい職場に整えることは離職防止につながります。
     

    メリット4.新たな雇用の創出・地方の活性化

    退職した高齢者や育児・介護で働く時間に制約がある人、遠方に住む人、通勤が困難な障害者など働く意欲があるにもかかわらず、従来の働き方では働きづらさを感じている人の雇用創出につながります。地方で働く若者が増えることで、地方創生に貢献できます。
     

    メリット5.事業継続計画性(BCP)の確保

    地震や大雨などの災害やパンデミック(感染症流行)など非常時にリスク回避できます。日本各地で災害が起きている今、会社の拠点を特定の地域に集中させるより、郊外や地方にオフィスを分散することで事業が継続・早期回復できます。
     
    このように、サテライトオフィスは企業、働く人、地方にとって数多くのメリットがあります。次に、サテライトオフィスのデメリットについて見ていきましょう。
     

    サテライトオフィスのデメリット

    デメリット1.コミュニケーション不足
     

    WEB会議やチャットなどのICTが発達したとはいえ、直接対面に勝るものはありません。本社とサテライトオフィスの社員間で十分なコミュニケーションが図れるように配慮する必要があるでしょう。
     

    デメリット2.セキュリティ問題

    サテライトオフィスにはシェア型と呼ばれる共有オフィスがあります。不特定多数の人が出入りするので、情報漏洩が起きないよう留意する必要があります。
     

    デメリット3.インプット機会の格差

    都会と地方では、研修会や外部の交流会などインプットの機会に差が生じます。インターネットの発達により、地方でも参加可能な場合もありますが、組織の中でインプット格差が起きないよう配慮していく必要があります。
     

    地方創生とサテライトオフィス

    国が人口急減・超高齢化という大きな問題を克服し、成長し続けるためには地方創生が不可欠です。そんな中、徳島県では多くの企業がサテライトオフィス設置に乗り出しています。徳島には県内全域に敷設されたCATV網があり、このインフラにより県内どこでも高速インターネットが利用できます。とくしまサテライトオフィスプロジェクトでは、自然豊かな過疎地域の古民家や遊休施設を一部改修、サテライトオフィスを数多く開設しています。
     
    サテライトオフィスは地方における安定した雇用を生み出し、地方への新しいひとの流れをつくります。また、若い世代が安心して結婚・妊娠・子育てできる環境を整えることで、人口減少と地域経済縮小の克服が期待されています。
     

    総務省 おためしサテライトオフィスプロジェクト

     地方が魅力的なサテライトオフィスを提供するためには、具体的なニーズの把握、戦略やノウハウをもって取り組む必要があります。総務省が行う「おためしサテライトオフィスプロジェクト」では、地方公共団体が民間企業のニーズを実践的に把握して、地域の特性を活かした誘致戦略を策定することを支援しています。

    サテライトオフィスを導入した企業の事例

    ここで、サテライトオフィスを導入した企業の事例を2つご紹介します。
     

    日立製作所:従業員の満足度向上とコスト削減を実現

    時間や場所にとらわれない効率的な業務遂行(タイム&ロケーションフリーワーク)活動を推進している日立製作所は、グループ社員が利用できる社内のサテライトオフィスBiz Terrace、社外サテライトオフィス@Terraceを設置しています。2018年には他社の社員と共同で使用するシェアオフィスを設置、社員の住居に近い地域にも拡大することで更なる利便性を高めています。
     
    多様な働き方を支えるIT基盤の整備、運用ルールやガイドライン策定といったITガバナンス強化も徹底。これらの取り組みにより従業員の満足度は向上し、在宅勤務やサテライトオフィス利用者も増加しています。一部のオフィスを賃料の安い郊外に移すことで、賃借料の50%削減が実現しています。
     

    富士通:事業所を活用した社内サテライトオフィスの活用で業務効率化を推進

    富士通では働き方改革の一環として、2017年よりテレワーク勤務制度を導入しています。グループ全社員を対象に自宅や出張先、移動中でもオフィスと同じように仕事ができる環境を整え、場所にとらわれないフレキシブルな働き方を可能にしました。
     
    働く場所の選択肢を増やすことを目的として、本社および各地の事業所内に設置した社内サテライトオフィスF3rd(エフサード)、社外のコワーキングスペースを利用する社外サテライトオフィスF3rd +(エフサードプラス)を活用しています。

    社員の出張時にも気軽に立ち寄れるサテライトオフィスは生産性の向上に寄与しており、80%以上がリピーターという好評ぶりです。「他の事業所にも作ってほしい」という声が多く寄せられ、サテライトオフィスは増加しています。
     

    まとめ

    ICTの飛躍的な進歩により「9時から17時まで1つの事業所で働く」という昔ながらの日本の働き方が大きく変わろうとしています。我が国は少子高齢化、労働人口の減少、地方の過疎化という大きな問題に直面しています。サテライトオフィスをはじめとする拠点政策の柔軟化により、多様な働き方を推進することで、「働く人」「企業」「まち」の再興が求められています。

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