現役税理士が語る!知らないと損する青色申告のメリット9選
青色申告とかけて「夏休みの宿題」と解く。答えは、「分かっちゃいるけど、ついつい後回しになっちゃう」そしてどちらも、提出期限が決まっているというオマケ付きです。あー、イヤだ、イヤだと言ってるうち、時は刻々と過ぎていく。「いったい青色申告って何なの?」 今回は、そんな皆さんのために、青色申告の基本を教えちゃいます。今回のテーマは、「現役税理士が語る!知らないと損する青色申告のメリット9選」。申告前にチェックして、メリットを最大限に活かしましょう! *今回の記事は、「世界一ラクにできる確定申告」から一部内容を抜粋・編集して掲載しています。更に詳しい内容は Amazon にて、本書をお買い求め下さい。
現役税理士が語る!青色申告のメリット9選
青色申告は、白色申告に比べ様々なメリットがあります。そのメリットを一気に9つ紹介します。大事なものは、少し文章量を増やしています。
1.利益から65万円を無条件に控除
これは、青色申告を選んだだけで10万円、青色申告を選んで貸借対照表を作成すれば65万円を、無条件に利益からマイナスできるという、ありがたーい制度なのです。
2.赤字を繰り越せる
次に大きなメリットは、「今年の赤字を、来年以降に繰り越せる」ことでしょう。本来、ビジネスとは、いったんスタートしたら、廃業するまでずっと続くものです。それなのに、今年はいくら売れたとか、いくら損したとか、無理やり1年に区切って、税金の計算をするのが確定申告という制度です。だから、「絶対に毎年黒字」という保証はどこにもありません。調子のいい年もあれば、悪い年もあるからです。なので、今年の赤字を3年間くりこせる青色申告の制度は、思うように利益のあがらないアーリーステージの皆さんにとって、節税メリットは計り知れないものがあります。
3.家族に給料が払える
青色申告の3番目のメリットは、「生計が同じ家族にも給料を払える」ということです。 残念ながら、個人事業者の場合、夫から妻に渡したお金が、生活費なのか、給料なのか区別をすることが難しいので、同居の家族への生活費は認められていません。 「いやいや、うちの母ちゃんキビシイから」とか「うちは家庭内別居だから」とか、そんな個別事情はくんでくれないのが、税務署というものです。 青色申告の場合は、生計が同じ家族に対して、労働の対価として払った給料を、経費にすることができます。ただし、無条件というわけではありません。まず、その年の3月15日までに、「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を税務署に提出しなくてはなりません。 大きなメリットとしては、以上の3つですが、他にも青色申告のメリットはあります。
4.一定の①機械装置②工具③器具備品④ソフトウェア⑤輸送用車両を取得した場合
- 取得価額 × 30 %を特別償却できる
- 取得価額 × 7 %相当の税金を控除できる
5.30万円未満の資産を取得した場合
購入金額を一度に経費にできる
6.試験研究をした場合
試験研究費の総額×10%の税金を控除できる
7.試験研究費が増加した場合
増加した試験研究費に一定の割合をかけた金額相当の税金を控除できる
8.雇用者の数が5人以上(中小企業者は2人以上)増えた場合
20万円×増加雇用者数相当の税金を控除できる
9.売掛金や未収金がある場合
貸借対照表の12月末残高×5.5%を控除できる
青色申告の節税効果で、どのくらい税金が安くなるかは、「世界一ラクにできる確定申告」の158ページ以降に詳しく載っているので、ここでは割愛しますね。
青色申告にはデメリットもある
さて、一見いいことづくめの青色申告ですが、メリットばかりではありません。青色申告を選んだら、どんなデメリットがあるのでしょうか?まず、青色申告を選択したフリーランスは、「キチンと」帳簿をつけたり、領収書などの証拠書類を「キチンと」保管しなければなりません。さらに、「複式簿記」を使って記帳し、損益計算書だけでなく、貸借対照表を申告書に添付するなどの条件を満たさなければならないということになっているのです。また、青色申告をする際は、申請書を税務署に送付する必要もあります。 青色申告者にとってはデメリットでも、税務署にとってのメリットと言いかえてもよいかもしれません。複式簿記を使って帳簿をつけると、その内容が正しいか正しくないか、税務署がすぐに検証できるのです。
たとえばですね。あなたが、50万円のコンサルタント売上を通帳に振り込んでもらったとします。このとき、「コンサルティングというサービスを売ったから(原因)、通帳の残高が50万円増えた(結果)」と考えるのが、複式簿記です。 【結果】預金 50万円 / 【原因】売上 50万円
複式簿記を使わないで、売上を記帳したらどうなるでしょうか。単式簿記の場合は、ただ単に「50万円を売りました」と記録しておしまい。税務署としても、この50万円が正しいのか、間違っているのか、全く検証の仕様がありません。複式簿記を使うと、50万円を売ったことが、「通帳の残高」という客観的な事実に裏付けられるので、正確な記帳ができるというわけです。
青色申告を選ぶか選ばないかはあなた次第
青色申告にしたら、税金がやすくなるんだから、やらない理由はないなーと思うか、青色申告はいろいろとメンドくさそうだから、やっぱりやーめた!と思うか、それは、あなたの自由です。 しかし、起業家マインドにあふれるあなたが、税金が安くなるとわかっていて、青色申告を選ばないはずがありません。今回、青色申告のメリットを抑えたとこで、次回は青色申告までの道のり・いつまでに何をすればよいのかをお話しましょう。 *今回の記事は、「世界一ラクにできる確定申告」から一部内容を抜粋・編集して掲載しています。更に詳しい内容は Amazon にて、本書をお買い求め下さい。
*今回の記事は、東京都大田区の会計事務所 原会計事務所 原尚美さんより書いていただきました。
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