青色申告|青色申告承認申請書はどのタイミングで提出するもの?
所得税の確定申告には白色申告と青色申告の2通りがあり、青色申告を行うと白色申告にはないいくつもの特典を利用できるようになります。
青色申告では、「複式簿記」で帳簿に記録したものをもとに確定申告書を作成しますが、青色申告を行うことができるのは「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出して承認を受けている事業者です。
そこで今回は、所得税の青色申告承認申請書の書き方について解説していきたいと思います。
青色申告とは
青色申告の承認を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
・事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかが生じる事業を運営している
・複式簿記で取引を記録し、帳簿を7年間保管している(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳による簡易的な記帳でも可)
・期日までに所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出している
青色申告で受けられる特典とは
青色申告の特典には以下の4つがあります。
65万円の青色申告特別控除を受けられる
売上から仕入れや経費を差し引いて算出された「所得」から65万円を控除できるようになります。
3年間赤字を繰り越せる
青色申告をすると、赤字が出た年から3年間は黒字と相殺できる「純損失の繰越控除」を受けることができます。
家族への給与が全額経費になる
個人事業主の家族に対して支払われる給与は本来経費とならないところ、青色申告を行う場合については家族に対して支払われる給与を全額経費として扱うことが可能になります。
30万円未満の固定資産を全額経費にできる
事業用として購入した機械や備品などの減価償却資産は減価償却で処理されるのが基本ですが、青色申告をしている場合は「少額減価償却の特例」を適用して全額経費として会計処理できるようになります。
青色申告で注意すべきこと
青色申告には多くのメリットがあるのですが、気をつけなければいけないポイントがいくつかあります。
雑所得は対象外
青色申告が受けられるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3つのみであって、その他の所得には適用されません。
そのため、アフィリエイト収入やその他の事業でサラリーマンの副業所得を「雑所得」として申告する場合などには青色申告を適用できません。
控除額が65万円とは限らない
青色申告最大のメリットといえば65万円の控除ですが、65万円の控除を受けるためには「事業的規模で事業が営まれていること」「複式簿記で記録していること」を確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付し控除額を記載して、法廷申告期限内に提出していること」が条件で、条件を満たしていない場合の控除額は10万円となります。
所得税の青色申告承認申請書の提出期限
所得税の青色申告承認申請書の提出期限は、「開業してから2ヶ月以内」もしくは「青色申告をしようとする年の3月15日」のどちらかで、これを逃すとその年の確定申告は白色申告のみとなります。
“青色申告の承認を受けようとする場合の手続です。”
<引用元>国税庁:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続
所得税の青色申告承認申請書の記入方法
所得税の青色申告承認申請書の様式と記入方法は以下のようになります。
<参考>国税庁:所得税の青色申告承認申請書
税務署長:管轄の税務署名
提出日:申請書の提出年月日
納税地:自宅の住所・居所もしくは自宅以外の事務所や仕事場の住所
上記(納税地)以外の住所他・事業所等:納税地は自宅で事務所や仕事場が別にしている場合の事務所や仕事場の住所(納税地を事務所や仕事場にしている場合は自宅の住所を記載し、該当なしの場合は空欄)
氏名・フリガナ・生年月日:申請する人の氏名とフリガナ、生年月日
職業:仕事が判別できる職業名
屋号・フリガナ:屋号とフリガナ(不動産所得の場合はなし)
上記の基本事項を記載したら、以下該当する部分に必要事項を記入していきます。
「年度」のところには青色申告の適用を受ける年度を記入します。
1:自宅の他に事務所や仕事場を持っている場合にはその住所を記入
2:所得の種類の丸を黒塗りにするかチェックマークをつける
3:過去に青色申告の承認を受けていた場合は「有」と「取消し・取りやめ」のいずれかの丸を黒塗りにするかチェックマークをつける
4:1月16日以降に事業を開始した場合は開業日を記入(個人事業の開業届の開業日と同日
5:相続による事業継承の有無の該当するほうの丸を黒塗りにするかチェックマークをつける
6(1):該当する簿記形式の丸を黒塗りにするかチェックマークをつける
6(2):採用する帳簿方式の丸を黒塗りにするかチェックマークをつける(固定資産台帳・総勘定元帳・仕訳帳は必須)
6(3):記入不要
個人事業開業に必要な届出書類
・個人事業の開業・廃業届出書
・所得税の青色申告承認申請書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
必要に応じて「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出します。
まとめ
青色申告の承認を受けるための条件を満たしている事業者は、税制上のメリットをいくつも受けることができます。
申告期限によってはその年の青色申告ができなくなってしまうので、開業したら2ヶ月以内に申告書を提出するよう心がけましょう。
“青色申告制度とは、一定要件を満たす正しい申告に対し、所得控除などの特典を認める制度です。青色申告制度には大きく分類して4点の特典があります。”
<引用元>経営ハッカー:青色申告特別控除を利用しよう|確定申告の基礎知識