確定申告で逮捕されないための株で節税する方法まとめ
確定申告は節税対策にもなり得えるってご存知でしたか?
この記事のタイトルで「逮捕」という言葉に少し驚かれた方もいるかも知れませんね。それは何も株に限りませんが、「脱税」という脱法行為に及んだ場合の話です。きちんと確定申告と納税を行っていれば、株の収益に対する税金を理由に逮捕されることなどあり得ませんのでどうかご安心を。それどころか、株での確定申告は大きな節税効果を生む場合があるのです。ではそれはどのような場合で、どうすれば良いかポイントをご説明します。
[目次] ■1)確定申告で節税できる可能性のある人ってどんな人? ■2)ポイントは「譲渡損失の繰越控除」 ■3)もう一つのポイントは「損益通算」 ■4)確定申告を面倒に思わないことが節税の第一歩
■1)確定申告で節税できる可能性のある人ってどんな人?
まず、株をやっている方で確定申告することにより節税につながる可能性がある方からご紹介することにします。
それはつぎのような方です。
1.株で損した方
2.複数の証券会社の口座で株を運用している方
3.源泉徴収ありの特定口座で株を運用している方
如何でしょうか、株を積極的に運用されている方ならいずれかに該当している方は多いと思われます。 ではなぜそうした方が確定申告することで節税の可能性が生まれるのか、一つずつ見てゆきましょう。
■2)ポイントは「譲渡損失の繰越控除」
一つ目の「株で損した方」の場合についてです。「株で損しているんだから、納める税金なんかないのは当たり前。そんなの節税って言えないよ」と思われたとしたら、それは早合点ですよ。株で損した方のポイントは、「損したら税金なし」ということにあるのではありません。言葉が難しいのですが、「譲渡損失の繰越控除」ができることが大きなポイントなのです。
譲渡損失の繰越控除とは、簡単に言えば株で損したらその損した分を最大3年間繰り越せますという制度のことで、仮にその間に株で儲けが出ても、その利益と繰り越した損失分を相殺して計算して良いという、投資家にとってはなんとも有り難い制度なのです。
例えば、数字上わかりやすいので2010年を基準として具体例でご紹介します。
・2010年:100万円損しました → 2011年に損したことを確定申告しました(2011年から3年間となります!)
・2011年:50万円儲かりました → 50万円-100万円で-50万円となり、50万円の儲けに課税されないだけでなく更に50万円次年度に繰り越せます。
・2012年:20万円儲かりました → 20万円-50万円で-30万円を次年度に繰り越せます。
・2013年:20万円儲かりました → 20万円-30万円で-10万円となりこの年まで相殺できますが、3年目ですのでこの年が最後となります。
・2014年:10万円儲かりました → 10万円の利益に対して課税されます。
つまり、申告した年から3年間も利益から控除できますので、ご紹介した例の通り、その期間に利益が出た場合の節税につながります。 従って、株で損した方は「損した」だけで終わらせるのではなく、確定申告を行い将来の儲けからもしっかりと節税するようにしましょう。
■3)もう一つのポイントは「損益通算」
二つ目の対象者は「複数の証券会社の口座で株を運用している方」です。この方の場合のポイントは、これも言葉が難しいのですが「損益通算」にあります。
損益通算とは、簡単に申し上げれば複数の証券会社の口座で株を運用した結果、A社では100万円儲けが出たのにB社では逆に100万円損していたならこの儲けと損を通算していいですよ、つまり株での儲けはゼロと言うことに出来ますよという制度です。
ネット証券の普及も手伝って、株は複数の証券会社で運用されている方は大変多いのではないでしょうか。また分散投資によるリスクヘッジを考え、例えばA社は輸入企業銘柄をB社では輸出企業銘柄を運用されているといった場合も珍しくないと思われます。ところが、三つ目としてご紹介している「源泉徴収ありの特定口座で株を運用されている方」はA社の口座の利益から自動的に税金をとられてしまうことになります。
そこで確定申告の出番となります。確定申告でA社とB社の損益状況を正確に申告すれば、取られてしまった税金の還付を受けることが出来るのです。ゆえに複数の口座で株を運用されている方でプラスとマイナスが生じている方は、それら収益状況を正確に把握した上で確定申告を行うことを強く推奨します。
さて、最後になりました三つ目の「源泉徴収ありの特定口座で株を運用されている方」ですが、先ほどの事例でご紹介した通り自動的に税金を徴収されることになりますので、「税金の取られ過ぎ」が起こり得るのです。従って、特に複数の口座をお持ちの方で共に「源泉徴収あり」を選択されている方は証券会社任せにせず、トータルの収支等を自身でチェックし、必要に応じて確定申告を行うようにしましょう。
■4)確定申告を面倒に思わないことが節税の第一歩
三番目の対象者の中でご紹介した「源泉徴収あり」という口座は、証券会社が投資家に変わって税金を計算して納めてくれる方式ですから大変便利ではあります。しかし、源泉徴収のありなしに関わらず、株の収益で節税できる方法とは確定申告する以外に方法はないと言えます。
繰越控除のような節税メリットの大きな制度も利用出来ますので、確定申告を面倒がらずに前向きに取り組もうと考えることが、株投資家の皆さんにとっての「節税の第一歩」になると言えます。