青色申告者とは?個人の青色申告者数の推移を調べてみた
この10年で激増した青色申告者の正体とは!?
2013年の調査によると、現在就業者の実に13人に1人が個人の青色申告者であると言います。その数実に480万人。さてそれではこの青色申告者とはいったい何者なのでしょうか。なぜこれだけ人数が増えているのでしょうか。統計データと社会的背景からその実態を考察します。
[目次] ■1)青色申告者ってなんなの? ■2)個人の青色申告者数の推移 ■3)個人事業主のこれから
■1)青色申告者ってなんなの?
この青色申告者とは、端的に言えば個人事業主です。しかし個人事業主の確定申告の方法には2種類あって、1つが青色申告、2つ目が白色申告というものです。
白色申告というのは簡易簿記と呼ばれる、家計簿やお小遣い帳などのような簡単な帳簿を提出するだけで確定申告を終えてしまえる事業主を指します。事前申請もいらず、確定申告の時期に帳簿を提出して申告が終わる代わりに、青色申告に用意されている様々な特典を一切受けられません。
対して青色申告者は事前申請と帳簿の提出が必要な代わりに、事前申請+簡易簿記の提出で10万円の特別控除、事前申請+複式簿記の提出で65万円の控除が受けられるうえ、ほかにも多くの課税対象額削減のための特典が受けられます。
また傾向として、年収が高い人個人事業主ほど青色申告を選択する傾向があり(節税による効果が大きいためと考えられます)、その意味でも日本の就業者の13人に1人が青色申告者というのは、日本の労働環境が変化しつつあることを示しています。
■2)個人の青色申告者数の推移
どれだけ増えているのかというと、国税庁の調査によれば2002年の労働者人口が6689万人であるのに対し、青色申告者のうち「営業等所得者」=「事業所得者」は100万人でした。
それから5年後、2007年の労働人口は6664万人と減少しており、それと呼応するかのように営業等所得者の数も93万人に減少します(国税庁:所得階級別人員より)。しかし、その6年後、2013年になると労働人口が6577万人と2002年時点よりも100万人以上減少しているにもかかわらず、事業所得者数は375万人にまで膨れ上がっているのです。
実にその増加率は3.8倍にも上ります。ここでは他の所得種別の人口比率の変化まで追う余裕はありませんが、たったこれだけの期間に4倍近くもの増加率を示しているのが正常な変化だとは言い難いはずです。一体この10年の間になにが個人の青色申告者をここまで増加させたのでしょうか。
■3)個人事業主のこれから
個人事業主2.0という言葉をご存知でしょうか。これは野村総合研究所が2014年の3月に発表したレポートで、今の日本にはウェブやクラウドシステムを駆使して今までの日本にはなかった働き方をしている人たちに名付けたものです。個人事業主2.0は72万人、つまり現在の日本の事業主の5人に1人がこの事業主2.0ということになります。しかもこの72万人の平均年商は1554万円となっており、従来型の個人事業主のそれを上回っています。
また、日本のフリーランスの人口は労働人口の40人に1人、164万人と言われていますが、対してアメリカのそれは4人に1人という調査結果が出ています。この意味で日本の個人事業主及び個人事業主2.0の労働人口比は、これからまだまだ伸びていくと考えて間違いないでしょう。であれば、今の税制のままである限りは、個人の青色申告者の数もこれから増加の一途をたどるはず。
これらのことから考えるに、個人の青色申告者がこの6年間で3.8倍にも膨れ上がった事実は、今の日本の雇用体系、労働環境、国民生活に大きな変化が生まれ始めていると推測できます。それは終身雇用制、年功序列賃金制度、大企業病、企業戦士、過労死などこれまで日本の労働社会を時には支え、時には蝕んできたキーワードとの決別ではないでしょうか。これからの日本を生きていくうえで、「個人の青色申告者」というあり方は、スタンダードになっていくのかもしれません。
■次の時代を生きるための「青色申告」
個人の青色申告者は、何から何までを「自分で」やってのけます。確かに家族や少数の従業員を雇う人もいますが、個人事業主2.0がどんどん増えていくにあたって、より「一人で何でもできる」事業主が増えていくことは明らかです。企業や組織とともに生きていく在り方、一人でこの世の中を生きていく在り方、どちらも当然ありだと思います。しかしもし今の会社員としての在り方に疑問があるのなら、青色申告者=個人事業主への一歩を踏み出してもいい時期なのかもしれません。
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