青色申告するメリットQ&A|個人事業主が知っておくべきこと
Q.個人事業主は青色申告と白色申告とどっちをするべき?
A.青色申告をするべきです。
なぜかというと白色申告にはない優遇措置が青色申告にはあるからです。確かに青色申告は白色申告よりも手間がかかり、しかも素人が完璧な申告をするには難しい側面もありますが、ある程度所得が増えてくれば、優遇措置を受けたほうがお得なのです。では、その優遇措置とはいったいどんなものなのでしょうか?
[目次] ■1)青色申告特別控除ってなに? ■2)赤字を出した分が相殺されるってホント? ■3)家族への給与が全額経費に計上できるってホント? ■4)減価償却費が一括で計上できるって聞いたけど? ■5)自宅の家賃が経費になるの? ■6)貸倒し引当金ってなに?
■1)青色申告特別控除ってなに?
A1.青色申告をした人だけが受けられる課税対象額からの控除です。
控除額は10万円か65万円で分かれます。 10万円の控除を受けるには「単式簿記」で申告するだけで大丈夫です。 単式簿記というのは、家計簿やお小遣い帳のように、お金の収支だけに着目して作成する簿記です。 期首残高+収入と期末残高+費用の結果が必ず等しくなるので月末や期末の決算は最低限可能な方式です。 単式簿記は専門的な知識がなくとも作成可能なので、簿記の勉強をしている時間や余裕がない人にはこちらの10万円での控除を受けるのをおススメします。 ちなみに白色申告でも単式簿記の提出は可能ですが、10万円の控除は受けられません。
65万円の控除を受けるには、単式簿記よりも難しい「複式簿記」での申告が必要です。単式簿記には目の前の収支に気を取られて大局的な経営視点を失ってしまう危険が付きまといますが、複式簿記はそのような危険をできるだけ取り除くことを目的とした簿記方法です。税務署としても複式簿記の方が企業の財務状況をより正確に把握できるので、的確な課税が行えます。しかしこれを作成するには専門的な知識や会計ソフトが必要で、一筋縄でいかないため、経理の経験がない人には正直あまりおススメは出来ません。ですが、逆に言えばこれさえできれば毎年55万円分の青色申告特別控除を受けられるということなので、どちらを選ぶかは各々費用対効果で決めてください。
単式簿記、複式簿記、いずれで申告するにせよ、青色申告の場合は特別控除が受けられるのです。
■2)赤字を出した分が相殺されるってホント?
A2.本当です。青色申告をすると向こう3年の赤字を繰り越すことができます。
これがどういう意味かというと、例えば2010年に青色申告をした事業主の収支が以下の通りであったとします。
2010:-300万 2011:-400万 2012:-100万 2013:1000万
この時2013年の課税対象額は200万円で済む、ということです。 2010-2012年の期間の課税対象額は、所得がマイナスになっているのですべて0円です。 青色申告をすることによって、さらに2013年の課税対象額が800万円分も免除されるわけです。 こう考えると、かなりの節税になることがわかるのではないでしょうか。
■3)家族への給与が全額経費に計上できるってホント?
A3.本当です。白色申告の場合にある制限が青色申告ではなくなります。
白色申告者の場合、家族への給与は配偶者は86万円、他は1人につき50万円という制限付きで経費に計上ができますが、青色申告者はこの制限がなくなるのです。 つまり100万円でも200万円でも支払えば支払うほど課税対象額は減っていきます。
■4)減価償却費が一括で計上できるって聞いたけど?
A4.可能です。
減価償却費というのは例えば建物や機械設備などを300万円で買うと、それを例えば1年間に20万円分ずつ使っていって、15年後に300万円分全てを使ったという計算方法です。 白色申告者の場合、減価償却として一括計上できるのは10万円未満です。しかし青色申告者は一度に30万円、年間では300万円までを計上できるのです。経費分が増えるほど課税対象額は減少し、税金も減額されます。
■5)自宅の家賃が経費になるの?
A5.なります。ただし「按分」という考え方を理解しておきましょう。
例えば4部屋あるアパートを借りていたとして、そのうち2部屋を事業に使用していたとします。 この場合、家賃の50%が経費として計上でき、残りの半分は私費として負担します。 用途によってこのように配分することを「按分」と呼びます。 これを理解せずに家賃を全額経費として計上すると、あとで税務署から疑惑を受けるので注意しましょう。
■6)貸倒し引当金ってなに?
A6.売掛金の回収不能のリスクを経費として計上する際の金額のことです。
掛け金で事業をしている場合、まだ回収していない売掛金は、常に回収不能になる危険を抱えています。そのリスク分を経費として計上できるのが貸倒し引当金で、これは青色申告者にしか認められていません。
■Q.要は、青色申告者した方が得ってことなの?
A.その通りです。
複式簿記をしなくとも、単式簿記での申告をするだけで10万円の控除は受けられますし、それ以外の特典も受けられます。青色申告の申請手続きを面倒臭がっているだけでこれだけのメリットを逃す手はないでしょう。なお、青色申告をするためには青色申告承認申請書の提出が必要となります。こちらの記入を忘れずに行いましょう。