青色申告の複式簿記の流れを5分で理解する5つのポイント
基本を理解すれば複式簿記も怖くない!!
経理の専門的な知識がなければ理解が難しいと言われる複式簿記。確かにそれを事業展開などに役立てようと思えば専門的な知識や経験が必要になりますが、青色申告の備付帳簿として作成する程度なら、基本を理解できればそれほど難しくはありません。以下では5つのポイントに分けて複式簿記の流れを見ていきたいと思います。
[目次] ■1)「取引」とは何かを理解する ■2)仕分けを理解する ■3)仕訳帳を作成する ■4)総勘定元帳を作成する ■5)買掛帳、売掛帳、固定資産台帳を作成する
■1)「取引」とは何かを理解する
取引と聞いて一番初めに思い浮かべるのはどんなことでしょうか?おそらく「モノのやりとりがあってそこに金銭のやり取りがある」といった内容を思い浮かべると思います。確かにそれも取引には違いないのですが、簿記上の取引はもう少し解釈の幅が広くなります。定義としては資産・負債・資本・収益・費用、いずれかの項目に変動があれば、それは全て取引です。どんな形であれ企業にお金が入ってくれば取引で、どんな形でもお金が企業から出ていったのならそれは取引なのです。
例えば会社に強盗が押し入り、金庫に入っていた1000万円を奪って逃走したとします。この場合の1000万円は費用として計上され、取引として簿記上は成立します。また、A社とB社が商品の売買契約を結んだとします。この売買契約が成立した段階では、まだ両者の間に先の4項目のやりとりは発生していないので、取引とは呼びません。
この取引という企業活動の最も根本的な概念を理解していないと、のちのち複式簿記においての理解が進まなくなってしまうので、よく覚えておきましょう。
■2)仕分けを理解する
取引を理解したら次は、その取引の仕分けの理解に進みましょう。ここからは少し話がややこしくなってきます。 まず先ほど述べた取引=資産・負債・資本・収益・費用の5つの変動であることを思い出してください。これが最も基本的な取引の形になります。 次に取引の仕分けは2つに分かれます。「貸方」と「借方」がそれです。
★会社の「資産・費用」が「増加」すれば「借方」に記入 ★会社の「資産・費用」が「減少」すれば「貸方」に記入
☆会社の「負債・資本・収益」が「減少」すれば「借方」に記入 ☆会社の「負債・資本・収益」が「増加」すれば「貸方」に記入
例えば200万円の融資を銀行から受けたとします。 これは「資産」が「増加」し、「負債」も「増加」しています。 従って、「借方」に「現金200万円」、「貸方」に「借入金200万円」という風に記録します。
■3)仕訳帳を作成する
さて仕分けの概念が理解できたら、今度はそれを仕訳帳に書き起こさねばなりません。
例えばアパレルショップで30,000円のジャケットが売れると、お店には30,000円の「資産」の「増加」があったので借方金額に30,000円が記入されます。 同時にお店からは売り上げとしてジャケットという「資産」が「減少」しているので、貸方金額に30,000円が入ります。
また他店ヘルプの交通費は、お店には10,000円の「費用」の「増加」になるので、借方金額に10,000円、「資産」が「減少」するので貸方金額に10,000円が入ります。
そして食費は「費用」の「増加」なので借方金額に3,000円、同時に「資産」が「減少」しているので貸方金額にも3,000円が記入されます。
これらをその都度記入していくのが仕分けであり、仕訳帳の作成です。
■4)総勘定元帳を作成する
総勘定元帳は、仕訳帳の内容を勘定科目別に転記したものを言います。ですので、言ってみれば流れ作業になるので、仕訳帳のようなややこしさはありません。しかし、借方なのか貸方なのかを間違えて転記してしまうと、修正が大変なので、慎重さが必要になります。
例えば先ほどの仕訳帳の例を使って説明すると、まず総勘定元帳の「現金」のページと「交通費」のページ、「飲食代」のページが必要になります。 現金のページでは11/21の現金30,000円の借方を記入します(残高は増加・相手勘定科目は売上)。次に11/22の現金10,000円の貸方を記入します(残高は減少・相手勘定科目は交通費)。最後に11/30の現金3,000円の貸方を記入します(残高は減少・相手勘定科目は飲食代)。
そして売り上げのページで売上30,000円の貸方を記入します(残高は増加・相手勘定科目は現金)。また交通費のページでは交通費10,000円の借方を記入し(残高は減少・相手勘定科目は現金)、飲食代のページでは食費3,000円の借方を記入します(残高は減少・相手勘定科目は現金)。
こうしてすべての仕訳帳の内容を転記して総勘定元帳は完成します。
■5)買掛帳、売掛帳、固定資産台帳を作成する
掛け金事業がある場合は買掛帳、売掛帳の作成が必要です。 また固定資産がある場合には固定資産台帳も必要です。
買掛帳・売掛帳は基本的な取引と仕分けのメカニズムがわかっていれば難しくありません。 また、固定資産台帳も同じで、それぞれに固有の項目はありますが、それに関してはここまでの話を理解していれば簡単に理解できます。
■重要なのは基礎!それがわかれば理解は早い
1~5の理解、作成ができれば複式簿記での青色申告は可能です。もちろんわざわざ資格を取ったり、専門職に就いている人もいる分野なので一朝一夕というわけにはいきませんが、それほど難しいわけでもないということはご理解いただけたのではないでしょうか。簿記3級の問題集などにはちょうどいい練習問題がたくさんあるので、それを使って勉強するのもいいでしょう。
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