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2014年11月26日(水)

白色申告|事業所得300万以下の場合、記帳の義務はありますか?

経営ハッカー編集部
白色申告|事業所得300万以下の場合、記帳の義務はありますか?

税制変更は頻繁にあるものと考えましょう

白色申告 今回のテーマは、白色申告においてもし事業所得が300万以下だった場合に記帳の義務があるかどうかということですが、皆さんはおわかりになるでしょうか。

正解については勿論解説致しますが、こうした質問が生じること自体、税制が大きく変更される可能性があることを象徴していると言えます。そのような意味で、以前はこうだったが今年から、或いは来年からこのように変わるといった税制に関する情報は今回の質問内容に限らず、絶えず問題意識を持って注意を払い続けることが大切です。

それでは事業所得が300万以下の場合の記帳義務の有無に回答すると共に、いつ、どのように変わったか等についてもわかりやすくご紹介して参ります。

[目次] ■1)記帳義務の有無について|2013年までの状況 ■2)2014年以降はこのように変わりました ■3)税制は不変ではない。毎年の確認が必要。

■1)記帳義務の有無について|2013年までの状況

白色申告の最大のメリットと言われてきたのが、この質問に関わることなのですが、課税所得300万円以下の場合には記帳の義務が免除されていたということです。

このメリットは二つありました。一つは何と言っても帳簿を付ける義務がなかったということ。表現は不適切かも知れませんが、どんぶり勘定が容認されていたと言っても良いでしょう。また、帳簿を付けるための事務負担や作業時間を奪われることもなかったと言う意味でも、大きなメリットだったと言えます。

もう一つは使用した経費に関して帳簿で立証する義務がありませんので、勿論正しく申告すべきですが、経費に対する裁量権が大変大きかったことは間違いなく、それもメリットだったと言えます。

ところがこのメリットがあったのは「2013年まで」だったのです。従って「事業所得300万以下の場合、記帳の義務はありますか?」に対する質問への回答を申し上げますと、「現在は義務があります」という回答になります。そのため、2013年までは記帳の義務が無かったのも事実ですから、例えば個人の方のブログ等には「課税所得300万円以下の場合には、記帳の義務が免除される」と大々的に書かれたままの記事が少なくありません。

従って、そのような記事をご覧になって混乱なさらないようにして下さい。もう一度繰り返します。現在は事業所得300万以下でも、記帳の義務はあるのです。

■2)2014年以降はこのように変わりました

では2014年以降、どのように変わったのかを具体的に見ていくことにしましょう。

・従来は300万円以下は免れていた記帳義務が、白色申告する全事業者に義務として課せられることになった。

つまり、事業を営んでいる方で記帳の義務を負わない方はいないと考えて頂いて結構です。

・義務化されたのは記帳だけでない。帳簿は「保存」することも義務化された。

これも見落としてはならない大きなポイントです。義務化されたのは記帳作業だけではありません。記帳した帳簿は一定期間保存しておくことも義務化されています。従って、「申告さえ終わってしまえば帳簿なんか捨ててしまえば良い」という訳にはいきませんよ。

ではその帳簿の保存期間ですが、「7年間」も保存が必要なのです。知らぬ間に紛失してしまったとしても、そのような言い訳は通用しません。従って、保管期間が長期に及びますから保管方法もちゃんと考えておいた方が良いと言えますね。

・「領収書」や「請求書」等の帳簿の裏付けとなる書類の保存期間が変更された。

領収書や支払証明書、請求書、納品書等の書類の類は従来3年間の保存が必要でしたが、これら書類の保存期間が「5年間」に延長されました。

変更されたことに加え、領収書等の保存期間は帳簿の保存期間とも異なりますから、その点でも注意が必要ですね。何れに致しましても、領収書の類は5年間も保存しなければならなくなった上帳簿と異なり書類も多いので、例えばクリアファイルに月ごとに領収書を入れておく等、こちらも保存方法をしっかりと検討しておくことが大切です。

■3)税制は不変ではない。毎年の確認が必要。

冒頭でも申し上げました通り、税制というのは不変ではありませんので、変更されていないか問題意識を持っておくことが大切です。

もっとも、何か特別な事態が生じない限り、申告等は「年1回」が基準になっていますので年度途中で変更が発表され、同じく年度途中から制度が変わってしまうといったことはまずありません。従って「翌年はどうなるのか」という問題意識を持ち、確定申告等を終えたら次年度の税制において変更がないかを年1回の頻度でチェックするということで良いと言えるでしょう。

税制においては、「従来はこうだった」といった過去の慣例や知識だけに依拠しないよう心掛けることが大切だと言えますね。

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