確定申告|原稿料もデザイン料も同じ?知っておくと得する職業欄の話
(税額が変わる場合も)知っておくと得する職業欄の話
確定申告書には、主な所得が給与または年金受給者向けのA様式と、誰でも使えるB様式があります。このうち、B様式には職業を記入する職業欄があります。職業の種類によっては、その後の税額が変わってくる可能性も。職業欄に記入するときのポイントを説明します。
[目次] ■1)職業欄には実際の職業を記入する ■2)職業欄に記入した職業によって事業税がかかることがある ■3)支払調書を要チェック ■まとめ)職業によって税額が変わる!?確定申告の職業欄を要チェック
■1)職業欄には実際の職業を記入する
確定申告書B様式の氏名欄の下に、「職業」欄があります。この職業欄は空欄にせず、できるだけ具体的な事業を記入します。もしどうしても該当する職業が思い当たらない場合は「無職」と記入することも可能ですが、申告の際は税務署に相談してください。
確定申告書B様式職業欄への記入注意点 ・1)文筆業、音楽家など、具体的な職業を記入する。 ・2)事業主として開業届を提出している人は、そちらに記入した職業と同じ職業を記入する。 ・3)文筆業とイラストレーターの兼業など、複数の職業がある人は、その全てについて記入する。 ・4)「アルバイト」や「パート」などの場合は、職業欄にその旨記入してよい。 ・5)主婦の内職などの場合、「主婦」と記入しても良い。
職業の記入ルールは比較的緩やかなため、相手に「大体こういう仕事・業務を行っている」ということが伝われば大丈夫です。どのように記入すればいいかわからない場合は税務署で相談してください。
■2)職業欄に記入した職業によって事業税がかかることがある
確定申告を行うと、事業所得に基づいた所得税が計算されます。それ基に今度は行政が「個人事業税」と「住民税」を計算し、後日納付書が送られてきます。「個人事業税」の税率は、確定申告の際に申告した事業の種類によって変化します。
・1)「原稿料」は「文筆業」
課税対象の事業は法律で70種類が定められており、ほとんどの事業はこれに該当します。 ただし、「文筆業」はこの中に含まれないため、個人事業税が課税されない可能性があります。
・2)「デザイン料」は「デザイン業」
「イラストレーター」などの「デザイン業」の場合は、事業所得の5%が課税対象となります。 職業欄に「イラストレーター」「ウェブデザイナー」などと記入した場合は、後日個人事業税の納付通知が送られてきます。
・3)複数の事業から収入がある場合
職業欄に複数の職業を記入し、それぞれ「文筆業」「イラストレーター」だった場合は、課税対象の「イラストレーター」としての事業所得に関してのみ個人事業税を支払います。
なお、「文筆業」を個人事業税の課税対象とするかどうかは、各都道府県の主税局が判断します。 場合によっては「文筆業」を「請負業」とみなし、個人事業税の課税対象とされる可能性もあります。
詳しいことはお近くの税務署および主税局にお問い合わせください。
■3)支払調書を要チェック
支払調書とは、取引先から送られてくる「取引先が支払った金額」の証明となる書類です。 確定申告書の職業欄に書くべき職業の根拠となるのは、支払調書に記入された報酬の区分です。 取引先からこれらの書類が送られてきたら、確認しておきましょう。
・1)支払調書は必ず手元に保管しておく
取引先から送られてくる支払調書は事業所得の証明となり、個人事業税の課税対象額の根拠ともなります。必ず手元に保管しておきましょう。取引先から支払調書が送られてこない場合は、早急に取引先へ確認しましょう。
・2)支払調書の「区分」を必ずチェックする
ライター業の人は、区分が「原稿料」になっていることを確認しておきましょう。万が一「デザイン料」などとなっている場合、「デザイン業」とみなされて、行政から個人事業税を課せられる可能性があります。
■まとめ)職業によって税額が変わる!?確定申告の職業欄を要チェック
職業欄には自分の職業を記入しましょう。ただし、職業欄に記入する職業によっては、その後課される税額が変わってくる場合があります。自分の職業を何と記載すべきか迷ったときは、税務署や主税局に相談してください。
※参照:SOHO起業実例書「個人事業主 起業・開業.net」 ※参照:inQup ※参照:小説家わかつきひかるのブログ