確定申告|職場で源泉徴収票が出なかった場合の確定申告ってどうする?
給与所得者の場合、給与の支払い総額や天引きで徴収された所得税額、社会保険料を知るための手段として、源泉徴収票が必要です。確定申告の必須書類にもなっています。それでは、手元に源泉徴収票がない場合や、職場で源泉徴収票を発行してもらえなかった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
1)税務署に相談
給与支払者には、源泉徴収票の発行義務がありますので、まずは源泉徴収票の発行を再度依頼しましょう。それでも、源泉徴収票が発行されずに解決しない場合には、税務署へ電話で相談をするか来訪し、指示を仰ぎます。
1)源泉徴収票の不交付の届出書の提出
住まいの住所地を管轄する税務署へ、「源泉徴収票の不交付の届出書」を持参するか郵送にて提出します。事業主の名称や収入金額、源泉徴収額、これまでの事業主とのやり取りを記載するものです。給料明細を保存してあれば、添付します。
■源泉徴収票の不交付の届出書 見本
2)税務署の対応
「源泉徴収票の不交付の届出書」を提出すると、源泉徴収票を発行しない事業主に対して、税務署の行政指導が行われます。そのため、税務署に届け出をする旨を事業主に伝えると、慌てて発行してくれる可能性もあります。
2)会社が倒産した場合
会社が倒産してしまった場合には、源泉徴収票を手に入れることは、さらに困難となります。会社倒産しても源泉徴収票を手に入れる方法はあるのか、源泉徴収票がなくても、確定申告できる方法はあるのか見ていきましょう。
1)特例として給与明細で認められることも
会社が倒産しても、破産管財人が事後処理を行っているケースでは、源泉徴収票が発行されることがあります。社長が夜逃げ同然で逃げて、事実上倒産した場合には、源泉徴収票を手に入れることはほとんど不可能です。このようなケースでは、税務署の判断で給与明細での確定申告が認められるケースもあります。
2)給料明細はとっておこう
源泉徴収票が発行されない場合、通帳に記帳された振込額だけでは、源泉徴収額を判断することは困難です。日頃から1年分の給料明細は保管しておくようにしましょう。
3)給与所得ではない可能性
源泉徴収票が発行されない一部のケースでは、報酬が給与所得ではない可能性もあります。給与として報酬を受け取る場合には、事業主と雇用関係を結び、指揮命令下のもと業務に従事します。一方、個人事業主は請負契約によって役務などを提供します。
1)事業所得か雑所得として申告
報酬が給与所得ではない場合、収入の額や実態に応じて、事業所得か雑所得として申告します。副業として、20万円以下の所得であれば、申告の義務はなく、申告する場合も雑所得として申告できます。20万円を上回るようであれば、事業所得として確定申告を行いましょう。
2)支払調書
個人事業主も職種によっては、報酬から源泉徴収されて支払われます。この場合は源泉徴収票ではなく支払い調書で、事業所得としての申告となります。
4)源泉徴収票を発行してもらえない場合
そもそも源泉徴収票については、雇用者側に発行が義務化されているため、従業員が求めてもこれを拒否するということは本来あり得ないはずです。 けれども、例えば年の途中で会社と揉めて退職したような場合は、会社側が源泉徴収票の発行に応じない可能性があります。 その場合は、所得税法違反となりますので、その旨を会社側に伝え、それでも発行されない場合はすぐに税務署に相談しましょう。 実は、このような場合には、税務署に対して「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を提出することで、その会社には税務署から直接指導が入るため、最終的には発行されるでしょう。 なお、万が一会社が倒産して源泉徴収票の発行が受けられないような場合についても、同じくこの書類を提出することになりますので覚えておきましょう。
まとめ|源泉徴収票がもらえない場合には税務署に相談
勤務先で源泉徴収票が発行されない場合には、税務署に相談しましょう。指示に従って申告すれば確定申告が認められる可能性もあります。