平成27年青色申告|個人事業主初心者にとって迷いがちな「事業所得」と「雑所得」の違い
個人事業主初心者にとって迷いがちな「事業所得」と「雑所得」の違い
フリーランスとして働いている場合、関係してくる所得は大まかに言えば「事業所得」「雑所得」「利子所得」の3つに集約されます。このうち、個人事業主初心者にとって迷いがちなのが事業所得と雑所得ではないでしょうか? 自分の収入のうちどれが事業所得でどれが雑所得なのか、きちんと押さえるようにしましょう。特に、事業所得しか受けられないメリットなどがあるので注意が必要です。
[目次] ■1)事業所得と雑所得の違い ■2)事業所得でできること(雑所得でできないこと) ■3)個人事業主として届出をしているなら、基本は事業所得 ■4)個人事業税との関係 ■5)アフィリエイトの報酬は申告すべき
■1)事業所得と雑所得の違い
・事業所得とは
農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業その他の事業から生ずる所得のこと。「総収入金額-必要経費」で計算されます。
国税庁:所得の区分のあらまし
・雑所得とは
「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」に当てはまらない所得のこと。公的年金等や、作家・ライター以外の人が受け取る原稿料などが当てはまります。
以下の計算方法で求められます。
・公的年金等=公的年金等の収入金額-公的年金等控除額 ・公的年金等以外=公的年金等以外の総収入額-必要経費
▶︎国税庁:所得の区分のあらまし
■2)事業所得でできること(雑所得でできないこと)
・損益通算
事業所得は「損益通算(赤字があった時、その金額をほかの所得の黒字から差し引くこと)」ができます。一方、雑所得は損益通算ができません。あなたの収入が事業所得と見なされれば、節税することが可能です。
▶︎国税庁:損益通算
・純損失の繰越しと繰戻し
事業所得に赤字がある場合、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じた時は。その損失額を翌年以後3年間にわたり繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。
・青色申告特別控除
事業所得であれば、青色申告特別控除(10万円or 65万円)を受けることができます。ちなみに青色申告特別控除を受けられるのは、不動産所得、事業所得及び山林所得がある人です。
・青色事業専従者給与の適用
生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、青色申告者は支払った給与を必要経費とすることができます。こちらも不動産所得、事業所得及び山林所得がある人のみが利用できます。
▶︎国税庁:青色申告制度
■3)個人事業主として届出をしているなら、基本は事業所得
フリーランスになった時に開業届を出したと思いますが、個人事業主として届出をしている場合は基本的には事業所得になります。フリーランスには、プログラマーやデザイナー、ライターなど様々な職種がありますが、どの職種でも納品して得たお金は事業所得です。
ちなみにブログなどのアフィリエイト収入を本業とした場合、個人事業主として認められれば事業所得になります。
■4)個人事業税との関係
個人で事業を行う人は、個人事業税を納付する必要があります。個人事業税は、所得税の確定申告を基に役所が計算して納付書を個人事業主などに送付します。税率が業種によって変わるなど、いくつかの注意事項があります(東京都の場合:東京都主税局のページ)。
基本的には前年の1月1日から12月31日までの1年間の事業から生じた事業所得または(および)不動産所得で、事業の総収入金額から必要経費、青色申告特別控除額等を控除して計算します。ただし、東京都主税局のページにもある通り、雑所得が課税対象となる場合もあります。
■5)アフィリエイトの報酬は申告すべき
しばしばニュースで「アフィリエイトの申告漏れ」のニュースが流れます。申告せずに年間数十万~数百万稼いでいる人の家にある日突然税務調査に入り、追徴課税されるケースが後を絶ちません。特に、アフィリエイトを本業ではなく「副業」として行っている人は、申告漏れをしないように注意しましょう。
Text = 安齋慎平