確定申告書|なぜ収入金額等と所得金額の欄は違うのか?
収入・所得・課税される所得金額の違い
いざ確定申告書に記入しようとして、似たような単語が並んでいて判断に迷うことも。 第一表には左側に収入金額等、所得金額、所得から差し引かれる金額と続き、右には課税される所得金額が記載されています。 事業主なら、収支内訳書の中にはまた収入が。面倒ですが、一度理解してしまえばあとは簡単なので、仕組みを分かりやすく解説しました。
[目次] ■1)確定申告書の収入金額等って? ■2)確定申告書の所得金額って? ■3)確定申告書の課税される所得金額って? ■4)収支内訳書の中の収入って? ■収入と所得金額、課税される所得金額の関係は
■1)確定申告書の収入金額等って?
確定申告書にはAとBがあり、主に給与所得者が使用するAと、事業主が使用するBに分けられます。 (事業主ではさらに白色と青色の区別もあります。) ここでは、AとBそれぞれに分けて中身を見てみます。
まずは一番初め、計算の基盤となる収入の内容について解説します。
・1)確定申告書A
予定納税ができない申告書で、主に給与所得者が使用するタイプです。
第一表の左側上の部分にある収入金額等の部分に記入するのは、給与、公的年金、配当などすべて、手取り額ではなく支給額(支払金額)を記入します。収入は「何か引かれる前の金額」というのがポイントです。給与でいうといわゆる年収に当たります。各欄ごとに複数個所から収入があった場合、その合計金額を記入します。
年金が基礎年金Aと企業年金Bからあれば、その合計金額を年金欄に記入します。 給与の場合、源泉徴収票の支払金額欄から転記すると簡単です。
・2)確定申告書B
主に事業所得者が使用するタイプです。
第一表の左側上の部分にある収入金額等の部分に記入するのは、収支内訳書で計算した収入を事業欄に、そのほか配当などがあればやはり源泉を引かれる前の金額を記載します。
ここでもポイントとなるのは、何か引かれる前の金額ということです。
■2)確定申告書の所得金額って?
収入が支給額だとすると、所得金額は手取りのようですが、確定申告書の場合は違います。収入から経費を引いた金額のことで、給与では給与所得控除額を差し引いた金額、自営業の場合は収入から原価などの経費を引いた部分になります。
ここで大切なのは、あくまで引かれるのは経費だけということです。
所得金額とは収入金額から経費を引いたものです。 以下で、申告書の様式別の具体的な記入方法を見ていきましょう。
・1)確定申告書A様式
給与所得者が受けられるものに給与所得控除があります。収入金額によって変わり、年末調整をして源泉徴収票を受け取った場合には、その中から給与所得控除後の金額を転記します。
途中退職している場合、源泉徴収票のこの部分は空欄の物を渡されます。年末調整を受けないで自分で確定申告する場合は、国税庁のサイトなどで給与所得控除額を調べ、収入欄に記入した金額から引いたものを記入します。
年金も同じように公的年金等控除額を引いた金額を記入します。
・2)確定申告書B様式
収支内訳書の1枚目、中心部分の下部にある収入から経費を引いた、所得金額欄から転記します。 その他の収入があれば同じように経費を引いたものを記載します。
■3)確定申告書の課税される所得金額って?
ここまでで、収入から経費を引いた所得を計算しました。次に各種控除額の記入に入ります。「所得から差し引かれる金額」欄に記入します。 所得から控除額を引いた金額が、「課税される所得金額」です。 所得税の計算のおおもとになる金額です。
・1)誰でも受けられる控除 誰でも条件なく受けられる控除を基礎控除といいます。一人38万円です。
・2)条件次第で受けられる控除 その他の控除で、よくあるのが、生命保険料控除や地震保険控除、配偶者控除などです。忘れられがちなものとして、医療費控除や寄付金控除があります。年末調整を受け、源泉徴収票があるときは、そこから転記できます。
・3)ふるさと納税は2カ所記入
最近話題になっている「ふるさと納税」ですが、これも寄付金控除に当たります。
注意しなくてはいけないのは、第一表では納税額そのままではなく納税額から2000円引いた金額を書き、また第二表にある住民税に関する事項の部分にも記入します。こちらは納税額をそのまま記入します。
■4)収支内訳書の中の収入って?
収支内訳書の中にも収入金額欄があります。
これは基本的にはその年度の事業の売上金額を指します。やはり経費を引く前の金額になります。注意しなくてはいけないのは、家事消費を計上することです。またその年にその他の収入があれば、これも計上します。
・1)家事消費
事業用で購入したものを、事業以外で使用した金額を指します。
例えば飲食店で、事業用として食材を購入したが家族や友人にその食材で料理をふるまった場合などがこれに当たります。 計算方法は、取得価格または通常販売価格の70%のどちらか高い方になります。
・2)その他の収入
通常の事業以外の収入、雑収入になります。
例えば、飲食店で料理教室を開催した場合の指導料などがこれに当たります。 資産を売却した場合は、譲渡所得となるのでここには記入しません。
■収入と所得金額、課税される所得金額の関係は
収入-経費=所得金額 所得金額-控除額=課税される所得金額
基本はこれだけです。あとは細かな違いを加えるだけです。