「特定口座年間取引報告書」と確定申告|特定口座と一般口座の違い解説!
特定口座と一般口座に関わる確定申告についてまとめました
株などの投資をしている方には聞き覚えのある言葉かもしれませんが、投資を行う口座には特定口座などのいくつかの分類があります。
■その1
特定口座と一般口座の違い
株をはじめとする投資を行う口座には、『特定口座、一般口座、NISA口座』の3つに分けることができます。口座を開設する場合、主に特定口座と一般口座を選択することが可能です。NISA口座は小額の投資に対してメリットのある口座でまた別格になります。・1)特定口座と確定申告 特定口座とは確定申告を簡素化するために作られた口座です。源泉徴収有りか無しかを選択でき、源泉徴収ありを選択した場合、金融機関が投資家の変わりに納税などを代行してくれる口座です。
・2)一般口座と確定申告 一般口座は、特定口座と相対して、自分自身で年間を通しての損益を計算した上で、確定申告を行う必要があります。確定申告書の作成は、証券会社から送られてくる年間取引報告書を元に作成します。
■その2
特定口座年間取引報告書と確定申告
『特定口座年間取引報告書』は、確定申告をする際に必要は書類になります。『特定口座年間取引報告書』には、確定申告の際の必要事項が明記されているため、自分で年間の取引を計算する手間を省くことができ、確定申告をサポートしてくれます。<特定口座年間取引報告書の各項目解説>
・(a)勘定の種類 1.保管=特定保管勘定(現物取引) 2.信用=特定信用取引等勘定(信用取引) 3.配当=特定上場株式配当等勘定・(b)源泉徴収の選択 「1.有」は源泉徴収有りの意味 「2.無」は源泉徴収無しの意味。どちらかに◯をすること。
・(c)源泉徴収税額(所得税) 1年分の源泉徴収された所得税(復興税を含む)の合計額。 <※源泉徴収された場合のみ表示>
・(d)株式等譲渡所得割額(住民税) 1年分の源泉徴収された住民税の合計額。 <※源泉徴収された場合のみ表示>
・(e)譲渡の対価の額(収入金額) 1年分の株式等の売却取引の合計額。 <※売却手数料等を控除する前の金額>
・(f)取得費および譲渡に要した費用の額等 年間で譲渡した株式等の総取得金額及び取得時の手数料に、売却時手数料等を加算した金額。
・(g)差引金額(譲渡所得等の金額)[(g)=(e)-(f)] 年間で発生した株式等の譲渡損益。 <※損失の場合には「-」表示>
・(h)配当等の額 証券会社(等)を通じて支払われた配当等の合計額。 外国株式等の配当等は「(l)外国所得税の額」を差し引く前の金額が表示されています。 オープン型投資信託の場合は、特別分配金額を含まない。
・(i)源泉徴収税額(所得税) 証券会社(等)を通じて支払われた配当等から源泉徴収された所得税額(復興税を含む)。
・(j)配当割額(住民税) 証券会社(等)を通じて支払われた配当等から源泉徴収された住民税額。
・(k)特別分配金の額 分配金には『普通分配金』と『特別分配金』があります。特別分配金は「儲け」。特別分配金は「元本を払い戻し」の為、税金はかからないが、元本を返してもらっているだけです。要するに得も損も無い事になります。
・(l)外国所得税の額 海外投資で受取った配当等に対して、外国で課税される源泉所得税の合計額。
・(m)譲渡損失の金額 [③差引金額(譲渡所得等の金額)]欄がマイナス(損失)の場合表示される金額。利益が出ている場合は「0」表示。
・(n)差引金額 [配当所得の金額-(m)譲渡損失の金額]の差し引き金額が表示。損失が出ている場合は「0」表示。
・(o)納付税額 所得課税において2種類以上の所得があり、赤字の所得と黒字の所得がある場合、一定の順序で差し引き計算し、利益と損失を合算して計算する「損益通算」という計算をした結果生じた配当等「(n)差引金額」欄に対して課された源泉徴収税の額。
・(p)還付税額[(p)=(m)-(o)] 「損益通算」の結果還付された配当等の源泉所得税及び源泉住民税の額。
・1)特定口座年間取引報告書の記載事項 報告書内には、氏名や住所はもちろん申告に必要な事項が記載されています。譲渡対価の額や、取得費・費用の額、年間の譲渡損益が記載されており、取引での損益が明確になっています。確定申告では、損益の額に対し税額が加算されます。詳細が明確になっているので、自分で計算する必要がありません。
・2)特定口座を選ぶメリット 特定口座を選ぶことで、金融会社が報告書の作成を代行してくれるので、確定申告をよりスムーズにすることができます。また特定口座の源泉徴収ありを選ぶことで、収入を得た場合自動で源泉徴収してくれるため確定申告をする必要はありません。
■その3
特定口座で確定申告をするメリット
特定口座で源泉徴収ありを選んだ場合は、基本確定申告を行う必要はありませんが、確定申告を行うことによって、得をする場合があります。一般口座と特定口座を複数持っている場合も、確定申告によってメリットがあることがあります。・1)特定口座が複数の証券会社にある場合 複数の特定口座のうち、一つでも損失が出ているものがあれば、確定申告で通算することで、還付を受けられる場合があります。
・2)特定口座と一般口座の2つの口座を持っている場合。 特定口座か一般口座かのどちらかが損失を出している場合、確定申告で通算することで、還付を受けられる可能性があります。
・3)源泉徴収ありを選択した特定口座に利益がある場合 源泉徴収ありの特定口座に利益があり、かつ所得の合計が所得控除を超えずマイナスが発生している場合は、通算して還付を受けられる場合があります。