確定申告で提出する消費税申告書の書き方をわかりやすく解説!記入例付き
はじめに
個人事業主は日本国内で事業を行う場合、売上高が一定金額を超えると、消費税の確定申告をしなければなりません。今回は、事業所得がある個人事業主が行うべき、消費税申告書の書き方について確認しましょう。
1)消費税の仕組み
消費税額の計算方法を一行で表すと、以下のとおりです。
売上に含まれる消費税額 - 仕入に含まれる消費税額 = 納付すべき消費税額
なお、上の計算式は、消費税額の計算方法をつかむ為のイメージであり、あくまで参考程度に考えてください。実際の計算方法はこれより複雑になる場合があります。
2)個人事業主の消費税申告書の具体的な書き方
まず、所得税の青色申告決算書または収支内訳書を作成しておくことをおすすめします。その後、消費税申告書を作成していきましょう。
なお、今回の計算例の前提として青色申告決算書、または収支内訳書が以下の条件で作成されているものとします。(金額は税込金額、単位は円単位、消費税率はすべて8%として計算しています。)
売上金額 15,000,000 仕入金額 8,000,000 経費合計 2,000,000(うち、課税仕入れにならないもの300,000を含む。)
3)消費税申告書の記入例
それでは、消費税申告書の「課税標準額」から「消費税および地方消費税の合計(納付又は還付)税額」までの各欄について、順番に記載していきます。
①課税標準額
15,000,000×100/108=13,888,888→13,888,000(千円未満切捨)
課税標準額とは税率を掛ける前の金額となります。税額計算の「もと」となる金額を意味しており、計算の便宜上、千円未満は切り捨てましょう。売上金額に含まれている8%の消費税額を税抜きにすることで、課税標準額を求めています。
②消費税額
13,888,000×6.3/100=874,944
ここでは、①課税標準額に消費税率を掛けることで、売上金額に含まれる消費税額を計算します。なお、消費税申告書の項目のうち、①から⑯では、消費税額の国税部分だけを計算しています。8%の消費税額の6.3%が国税部分であり、残りの1.7%が地方税部分ですから、分子は8ではなく6.3になりますので注意しましょう。
④控除対象仕入税額
8,000,000+2,000,000-300,000=9,700,000 9,700,000×6.3/108=565,833
ここでは、仕入金額に含まれる消費税を計算します。仕入金額と書いていますが、経費に含まれる消費税額も控除の対象となりますから、仕入金額と経費の合計を足します。
なお、経費合計のうち、課税仕入にならないものには、給料賃金、租税公課、減価償却費のように所得税法上の経費とは認められるものの、消費税が含まれないと考える取引が含まれます。したがって、課税仕入にならないものを差し引いた後の金額に6.3/108を掛けます。
国税部分のみを計算しますので、×100/108×6.3/100の算式が省略された結果、×6.3/108となります。
⑦控除税額小計
④+⑤+⑥=565,833
⑨差引税額・⑪納付税額・⑱差引税額
②-⑦=309,111→309,100(百円未満切捨)
※売上に含まれる消費税額から仕入に含まれる消費税額を差し引き、百円未満を切り捨てます。納付税額も同様の額になります。
⑮課税資産の譲渡等の対価の額・⑯資産の譲渡等の対価の額
13,888,888
※ここでは、千円未満を切り捨てする前の課税標準額を記載します。
⑳納税額・㉒納付譲渡割額
309,100×1.7/6.3=83,407→83,400(百円未満切捨)
309,100は国税6.3%分の消費税額ですから、×1.7/6.3とすることで、1.7%分の地方税部分が求められます。
㉖消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額
⑪+㉒=392,500
最初に紹介した
売上に含まれる消費税額 - 仕入に含まれる消費税額 = 納付すべき消費税額
の算式に当てはめて、検算をすることで誤りを減らすことができます。
15,000,000×8/108-(8,000,000+2,000,000-300,000)×8/108=392,592→392,500
なお、ここで紹介しなかった項目については今回の例では空欄となります。
おわりに
ここでは、消費税申告書の書き方を記入例をもとに紹介しました。消費税申告書の書き方に慣れた後は、課税仕入になるものとならないものの区別について勉強することで、理解を深めることができるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。